エレコムのトラックボール新モデル「IST」で始める腱鞘炎対策トラックボールに挑戦!(2/3 ページ)

» 2023年12月01日 12時30分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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 普段のオペレーションに支障のないレベルにはすぐに到達できたが、それでも手首全体で動かすマウスに比べると親指の構造上、動かしやすい方向や動かしにくい方向がある。どれくらい自分の意思に沿った操作が可能なのか、平仮名をなぞり書きして試してみた。

 マウスがほぼ全方位に滑らかに操作できているのに対し、トラックボールの方は全体的にガタガタな線になってしまった。筆者の場合は特に斜め上に向かうライン(「あ」や「お」の左側の膨らみ部分)が苦手なようだ。

エレコム トラックボール IST ボール支持部 接続方法 無線 Bluetooth USB トラックボールを使って、なぞり書きで操作精度を確認した。まだまだ慣れていないようだが、普段のオペレーションではストレスなしだ

 もっとも、これはどちらかと言えば筆者の熟練度を測るテストであり、トラックボールの精度が低いとか、操作がしづらいということではないことには注意してほしい。むしろ、このレベルの操作でも普段のオペレーションでは全くストレスを感じないという点が驚きだった。

 ISTの戻る/進むボタンは天面側、左ボタンの左隣にあるが、ちょっと押しづらいと感じた。筆者の場合、ホイールは人差し指で操作するため、普段から人差し指をホイールよりに置く傾向にある。

 そのため、戻る/進むボタンを押すにはかなり指を開かなければならない。さらに単純に指を開くと、その指があたるところは進むボタンの方だ。後述する「マウスアシスタント 5」で機能の入れ替えを行うことはできるが、通常のマウスと同様にボールの上に配置され、親指で操作する方が使いやすいように思う。

エレコム トラックボール IST ボール支持部 接続方法 無線 Bluetooth USB 筆者のスタイルだと、戻るボタンを押すには人差し指を大きく開き、さらに曲げなくてはならない

ベアリング VS 人工ルビー どちらが合う?

 ISTの最大の特徴は、ボールの支持部分にミネベアミツミ製のベアリングを採用したベアリングと人工ルビーの2種類のオプションを用意したことだろう。この支持パーツには互換性があり、人工ルビーモデルを購入したユーザーも、別売の交換用ユニットを購入してベアリングに変更することが可能だ。価格は人工ルビーが1280円、ベアリングが2380円、ボール自体が1580円(税込み、以下同様)となる。

エレコム トラックボール IST ボール支持部 接続方法 無線 Bluetooth USB 左がベアリングモデル、右が人工ルビーモデル。ユニット着脱用の治具が付属しており、別売のパーツを買うことで換装が行える

 今回、初めてきちんとトラックボールを使うにあたってはまず、ベアリングモデルを使うことになった。ISTのボール直径は一般的な34mmよりも大きめの36mmだ。周上に等間隔で配置された3基のベアリングでボールを支持する。

 採用されているベアリングはリニアベアリングという、シャフトにくるくる回転する外筒がついたような機構となっており、シャフトと外筒間の微細なボールによって滑らかに回転する。

 だが、仕組み上回転方向は1軸のみになるため、120度の等角度で配置されているISTの場合は回転の角度によってフィーリングが変わるのではないかと思ったのだが、実際にはそのようなことはなく、実に滑らかに回転する。

エレコム トラックボール IST ボール支持部 接続方法 無線 Bluetooth USB ISTのボールは、通常より大きめの直径約36mmを採用する
エレコム トラックボール IST ボール支持部 接続方法 無線 Bluetooth USB 交換可能な3点の支持パーツでボールを支持する

 とはいえ、そもそもトラックボールをきちんと使うこと自体が初めてである自分にとってはそれが当たり前なのか、そうでないのか分からない。そこで同じISTの人工ルビーモデルも試してみることにした。

 人工ルビーはモース硬度9と、ダイアモンドに次ぐ硬度を誇る鉱物だ。静摩擦が小さく摩耗しにくいこと、人工的に生産できるために均一な品質となることなどから、装飾品以上に工業製品の軸受けとしてよく使われているようだ。

 そのため、トラックボールの支持パーツとして利用されることも多いが、その硬度ゆえにボールを削ってしまい、ゴミが溜まりやすくなるという問題もある。だが、今回のテストは短期間ゆえ経年劣化については検証できない。確認できるものは操作感、フィーリングに限られてしまうが、果たしてトラックボール初心者にその違いは分かるのだろうか。

 結果は、素人でもすぐに判別できるレベルで完全に別物だった。

 まず、ベアリングは滑り出しの滑らかさ、そして慣性による回転力の維持が圧倒的だ。最初の一振りですっと長距離の移動が可能だ。人工ルビーだと、最初の滑り出しは明らかに引っかかっているという感じがある上に、勢いをつけてもすぐに止まってしまう。

 また、ベアリングモデルの使用時に懸念していた回転方向によるフィーリングの違いは、意外にも人工ルビーの方に見られた。各支持点への力の加わり方の違いか、それとも個体差なのか、3点それぞれの引っかかり具合が異なる感触がある。

 そのため、回転させる方向によって必要な力や、動きの均一性にブレを感じる。人工ルビーでもしばらく転がしているとなじんでくるのか、次第に滑らかさが増すが、ベアリングの方はそのような時間による変化もなく、最初から滑らかだ。

 唯一、人工ルビーに軍配が上がると思ったのが静音性だ。ベアリングは少しの動きでもゴロゴロと音が出るし、勢いよく回すと結構うるさい。この辺りは、静かな環境で使うと気になる部分かもしれない。

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