シート上のスペックだけでは実際のパフォーマンスが見えづらいため、複数のベンチマークテストを通してUN1265の実力を探りたい。
今回のテストでは、比較用として「Ryzen 7 7735HS」を搭載したMinisforum HX77Gで測定したテスト結果をあわせて掲載する。HX77Gは外部GPUを搭載しているため、GPUに依存する一部テストの結果は比較にそぐわないが、あくまでプロセッサの性能を評価する上での参考値として捉えてもらえると幸いだ。
まずは、3Dレンダリングを行いCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行して、Core i7-12650Hの実力を測ってみた。結果は以下の通りだ。
【マルチコア】
【シングルコア】
Core i7-12650HはPコアが6基、Eコアが4基の計10コア16スレッドであるのに対し、Ryzen 7 7735HSは8コア16スレッドとなっている。単純なコア数で見ればマルチコアスコアはCore i7-12650Hに軍配が上がりそうだが、PコアとEコアの組み合わせであるために、パフォーマンスに影響が出ていると推測できる。
CoreシリーズのEコアは第13世代では大きな性能向上を見せたが、第12世代のEコアの性能については致し方ない点もあるかもしれない。約3%程度の差であるため、そう悲観する程の差でも無さそうだ。
その点、最大周波数がそこまで変わらない中で、シングルコアスコアがRyzen 7 7735HSと比較して約15%高いスコアを出しているため、並列処理が不要な場面においてはCore i7-12650Hに軍配が上がる。
続いてさまざまなアプリケーションを実行して、総合的なパフォーマンスを測定できる「PCMark 10」を実行し、UN1265の総合的な実力を試してみた。結果は以下の通りだ。
【総合スコア】
UN1265:5312ポイント
HX77G:7428ポイント
【Essentials】
UN1265:9820ポイント
HX77G:9886ポイント
【Productivity】
UN1265:7095ポイント
HX77G:9258ポイント
【Digital Content Creation】
UN1265:5841ポイント
HX77G:1万2150ポイント
比較元となったHX77Gは、外部GPUとしてAMD Radeon RX 6600Mを搭載しているため、写真編集やレンダリング、動画編集などが関係するDigital Content Creationでは大差がつくこととなったが、この結果は予想通りといえる。
一般的なオフィスアプリケーションを利用した際のシステムパフォーマンスを測定するProductivityは、Digital Content Creationほどの大差ではないものの、HX77Gに劣っている。この点に疑問を抱く人もいるかもしれないが、PCMark 10ではProductivityでもGPUの性能に依存するテストが含まれているからだ。
Webブラウジングやビデオ会議、アプリ起動時間などから一般的なPC利用時のパフォーマンスを測定するEssentialsでは、ほぼ差が生まれない結果となった。
性能だけ見るとUN1265を選ぶ魅力がかすみがちだが、ベアボーンキットであれば4万7980円、今回検証したモデルと同じ32GBメモリ、512GB SSDの構成に加えてOSライセンスがセットのモデルが7万3980円であることを考慮すると、一般的な利用であればコストパフォーマンスの高いモデルといえるだろう。
最後に、USB PD運用時の注意点を確認しておこう。
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