3Dプリントについて全く知らないという方のために、使い方の簡単な流れを説明します。造形の流れは大きく「(1)3Dデータの作成」「(2)プリント用データの作成」「(3)3Dプリント」「(4)造形物の洗浄」「(5)造形物の二次硬化」となります。
その名の通り、まずはプリントするデータが必要になります。これは、いわゆる3D CAD(立体の製図を行うツール)を使って作成します。「Autodesk Fusion 360」のような、個人用途であれば無償で利用できるソフトウェアもあります。こうしたソフトは、簡単な形状だと至極簡単に作ることができます。
お気付きかも知れませんが、これはデータがあればいいのです。そうした3Dデータを配布しているサイトは多数ありますし、知り合いからデータをもらうこともできます。デジタルならではのメリットです。入手したデータを使い、手を加えるのもいいでしょう。
先ほどの3Dデータを使って、光造形3Dプリンタでプリントするためのデータを作成します。
初めての方はピンとこないと思いますが、3Dプリンタは物理世界において少しずつ形を作っていきます。当然重力があるので、他の部位とつながっている部分がないと狙った形に造形できません。
そこで、ラフトやサポートと呼ばれる、プリント時に必要な「補助パーツ」を付けてあげる必要があります。こうした作業をするソフトをスライサーソフトと言いますが、「CHITUBOX」のような無償で使えるソフトがあります。そちらを使って設定していき、プリント用データを出力します。
3Dプリンタにレジン液を入れて、プリント用データを読み込ませてプリント開始します。プリント中は特段何もすることはありません。ひたすら待つのみです。
光造形は、レジン液に対して1層ずつ紫外線を当てて硬化させ、それを上に引っ張って次の層を硬化──それを繰り返しながら形を作っていきます。何層も積み重ねて形にしていくため、高さの分だけ造形時間がかかります。今回の例だと約2時間かかりました。
吊り下げて作るためにラフトやサポートを取り付けました。これらを取り除くとともに、造形物自身の表面に残っているレジン液を取り除きます。洗浄方法は使うレジン液によりますので、使用方法をよく確認します。
なお、ラフトやサポートを取り外すタイミングは次の二次硬化後に行うこともあり、「いつ取るか」についてもノウハウがあるようです。
最後の工程です。プリントしたものは、実は硬化具合は「半熟」状態となります。プリント中に完全に硬化させると各層がつながらなくなってしまうためです。そのため、洗浄して乾燥させた造形物に、追加で紫外線を当てて完全に硬化させます。
この硬化時にも造形サイズが微妙に変化します。形状によっては弱い部分が割れたり、面が反ってしまったりすることがあります。このあたりもノウハウが必要なところでしょう。
私は安い紫外線ライトと目を保護するためのゴーグルを入手しましたが、均等に硬化するための専用の二次硬化機もあります。どこまで繊細に造形物を作りたいかでチョイスしていくことになるでしょう。
以上が光造形3Dプリントのワークフローとなります。もちろんデータはデジタルなので、3Dデータやスライスしたデータがあれば、そこから作業することができます。
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