リアルタイム低遅延ボイチェンのポイントは“個性の制限”? NTTが研究成果を発表する「オープンハウス」が6月24日から大阪で開催(3/3 ページ)

» 2024年06月19日 00時00分 公開
[井上翔ITmedia]
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安価なディスプレイで実現できる「巨大3D投影」

 最近、巨大な建物や構造物に映像を投影する「プロジェクションマッピング」が流行している。また、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)といった没入感を高める映像ソリューションもB2B/B2B2C市場を中心に広がりを見せている。ただ、これらのようなソリューションを導入するには、規模にもよるが、それなりの出費が避けられない。

 そこでCS研は、巨大な3D映像の空間投影を手頃に実現する手段として、手持ちのディスプレイを複数並べて巨大な3D映像を映し出すソリューションの研究を行っている。

研究背景 より手頃な3D映像の空間投影を目指して、寄せ集めのディスプレイを使って3D映像を表示できるソリューションの研究を進めてきた

 「手持ちのディスプレイ」は、メーカーやサイズを問わない。また、設置に当たってはある程度の“隙間”を許容できる上、向きも問わない。カメラを使ってキャリブレーションを行った後に、投影が開始される。

 投影される映像は、少し昔の3D空間投影と同様に赤と青の色フィルターの入ったメガネで見ると立体視可能だ。

7枚のディスプレイ デモンストレーションでは、23型前後のフルHDディスプレイを7枚使って映像を投影していた。メーカーがバラバラなのはもちろんだが、色味もそろえられていない。これは「どんなディスプレイでも大丈夫」ということを示すためにあえてそうしているそうだ
懐かしい 懐かしい感じのする赤と青のフィルターの入ったメガネで映像を見ると……
フレーム ディスプレイのフレームや間隔のばらつきがあるにもかかわらず、イルカが“キレイ”に飛び出して見える(写真では再現しきれないことはご容赦いただきたい)
キャリブレーション画面 ディスプレイの入れ替えや位置変更があった場合は、画像のようなチェッカーパターン(幾何学模様)を出すことでキャリブレーションを行える。ディスプレイの向きや間隔はバラバラでも、キャリブレーションをすれば一瞬で補正可能だが、「極端すぎる隙間や間隔があると補正しきれない」(説明員)そうだ
カメラ キャリブレーションにはカメラを用いる。今回は「信頼性向上と速度を重視する観点で」ステレオ(2基)構成となっているが、「技術的にはシングル構成でもキャリブレーションは可能」という

 この技術は、人間の「目の錯覚」をうまく活用しつつ、映像の“色味”や“明るさ”を工夫することで、ディスプレイのサイズや間隔が不均衡でも立体視できるようにしている。

色味の工夫 映像の色味によって「透明視錯覚」を起こさせることで、隙間があっても飛び出ているような映像体験が可能となっている

 他にも、オープンハウス2024では興味深い展示が多くある。興味のある人は、足を運んでみて損はないだろう。

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