いかにラクして「Apple Vision Pro」を使えるか? 3Dプリンタ活用の奇想天外なアイデアを試行錯誤してみた「目指せ↑ワンランク上の仕事術」デジモノ探訪記(3/3 ページ)

» 2024年07月19日 12時00分 公開
[石黒直樹ITmedia]
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 私はさらに怠惰に、無印良品の「体にフィットするソファ」の快適さを知ってしまいました。このソファ、体がやや沈み込むのですが、Vision Proを装着して頭を預けると、完璧なフィットになります。

 スマホやタブレットですと、手で本体を持ちながら操作が必要になりますが、Vision Proの場合は指のみで操作できます。機器を持つ必要もないため、映画鑑賞のような動画系のみならず、Webブラウジングなどもスマホを超えた快適さだと感じました。体を動かす必要のない、危ない未来がやってくるのでは……という恐ろしさを感じたほどです。

photo 未来の人間は、本当に動かなくなるのかもしれません……

楽に使う方法その2:肩で支える

 次に、私が考えついた方法です。「この方法、真面目に製品化してもらえないだろうか……」と考えています。

 デュアルループバンドの利用や、その他の(非公式な)補助パーツを使い、顔・頭を活用して支える方法はいろいろと出てきています。悪くはないのですが、本体自体が軽くなるわけではもちろんないので「頭が重たい」のです。

 「では、他に使える部位はないか……?」と試行錯誤し、思い付いたのが肩で支える方法です。厳密には首を使う形になります。

 「ネックスピーカー」のように、首にかけて使うガジェットがあります。それらと同じように、首にフックのようにかけて、下からVision Proを支えようという発想です。つまり、重さが肩や首に方にきます。

 Vision Proは重いと言っても、約620gです。肩に乗せる重さとすれば、大したことはありません。こうした着想を、3Dモデリングを行い、3Dプリントしてみました。仮説の検証、ですのでデザインは考えず、かなりエイヤでプリントしました。長さも取りあえずは適当に作成しましたが……これ、真面目に重さの大部分がなくなりました!

photo ブルーの部分がプリントしたパーツです。外から見るとえたいの知れない物体(人)ですが、至って真面目に考えてます(笑)

 3Dプリンタは1回でプリントできる長さに限りがあります。私が所有しているFDM方式の3Dプリンタは最大256mm×256mm×256mmと、家庭用3Dプリンタでは大きい部類のものです。しかし、それでも顔の周囲を一度にプリントするには足りません。

 そのためジョイント部分を作って接続できるようにしたのですが、実はコレ、顔の可動範囲を広げたり、高さの微調整ができるようにとの意図もあります。中に詰め物をすれば、他のパーツの長さを変えなくても高さを変えられるわけですね。FDM方式でプリントしたものは固いので、全て固定してしまうと顔がまったく動かなくなります。

photo ジョイント部。360度回転できるようにすることで、可動域を増やしています

 Vision ProはMeta Questとは違い、本体から伸びている側面部分は固定で上下に動きません。そのため、逆に、下から支えても動くことがないのです。

photo 固定されているため「もしかしたらココを下から支えたらよいのでは……?」と思い付きました。支える3Dプリント側のパーツは、引っ掛け方含めてまだまだ改善の余地ありです。なお、スピーカー部はくり抜いていますので音はしっかりと聞こえます

 こうした実験を経て「肩で支えると楽では?」という仮説の有効性が見えました。この先、さまざまな部位を改良したバージョンを作ろうと考えています。各パーツはもっと細くしても、耐久性に問題はなさそうです。

NGな使い方ですが、ライトシーリングを外せる可能性もあり

 この奇想天外!? なパーツを作り始めたのですが、使っていて、さらに気がついたことがあります。それは、Vision Proのライトシーリングを外せるということです。

photo ライトシーリング。マグネットで接着していますので、簡単に外せます

 顔で支えるためにはライトシーリングは必要なのですが、下から支えるのであれば、ライトシーリングはなくても固定できます。実際にライトシーリングを外して使ってみたところ、アイトラッキングも含め、完全に動作しました。

 もちろんライトシーリングで遮断していた現実世界の部分(目線の上下左右、本体以外の部分です)は、そのまま見えることになります。しかし、映画鑑賞などであれば気になるかもしれませんが、ビジネス利用では気にならないでしょう。

 そして、ライトシーリングを外して使うことの一番大きなメリット。それは、通気性です。

 この暑いさなか、顔に密着させる必要のあるライトシーリングはしんどいものがあります。しかし、この方式であれば……。密着するものがなくなり、実は、ビックリするくらい快適に使うことができます。

 ARグラスであるXREAL Air(「XREAL Air+Beam」は仕事に役立つか? “今すぐ買えるARグラス”でモバイルオフィスを実現)を装着しているかのような、メガネをかけているような印象です。私の場合、オプティカルインサート(ようするに度付きメガネのレンズ)を装着したVision Proなので、本当にメガネをかけるようなものです。そして、さまざまなデジタル情報が空間に表示できます。

 仰々しいパーツと、有線でつながったVision Proのバッテリーがあるわけですが、それらを差し置いても、Vision Proを快適に使うことには大きなメリットがあると感じます。もちろん、これらのパーツも使い勝手面においてはまだまだ改善の余地がありますが。

 最終的には、3Dプリンタで作成するには素材面でもできることに限界があります。どなたか、真面目に一緒に製品化させていただけないでしょうか? ぜひ、石黒までお声がけください!

photo 3Dプリンタは、思い付きをすぐ形にできるのが魅力ですね
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