Appleのワイヤレスイヤフォン「AirPodsシリーズ」は、発売以来世界で最も売れているワイヤレスイヤフォンであり続けてきた。その強みに関して改めてここで伝える事はしないが、今回発表された第4世代の「AirPods 4」は、ライバルたちが価値を見いだしてきた「AirPodsがカバーしていない領域」の製品も駆逐しかねない。
従来のAirPodsは、あえて遮音性を追求せず、耳にかけるだけの軽快な装着感を魅力としてきた。しかし、AirPods 4では、カメラやレーザーによる立体スキャン技術で数千もの耳の形状を分析し、より多くの人に快適にフィットする新しい形状をデザインしたという。
音質面でもより豊かな低音と澄んだ高音を実現しているというが、こればかりは実機でなければ確認できない。しかし、より注目したいのは、AirPods 4にアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載したモデルも用意されていることだ。
オープン型イヤフォンのANC搭載モデルは、Huawei(ファーウェイ)が先鞭(せんべん)をつけた領域だ。何といっても「軽快な装着感」と「ノイズコントロール」を両立できることがメリットだ。
特に機械学習による適応型ノイズキャンセル機能は、周囲の状況やユーザーの行動予測に応じた適切な動きが期待できる。オープンエアの軽快な使用感をそのままに、店舗での買い物や友人との会話時がスムーズに行え、さらに突然の騒音に対しても難聴リスクを抑えることが可能になるだろう。
常時、装着していても快適なオープンエアならではの価値だが、同時に最近の流行であるフルオープン型イヤフォンへのアンチテーゼとなるかもしれない。
一方、密閉型ワイヤレスイヤフォンの「AirPods Pro(第2世代)」には、アップデートにより聴覚補正機能を導入するという。正規の補聴器ではないものの、補聴器と同等の音声補正が行えるとのことだ(※1)。
(※1)海外では補聴器の購入に処方せんが必要な国が多いため、補聴器として扱うには法的なハードルがある(日本では処方せん不要で購入可能だが、事前に耳鼻科医との相談が推奨される)
繰り返しだが正規の補聴器ではないし、そもそも最長5時間しかバッテリー駆動できないため、「1日中聴覚をサポートするデバイス」として運用できない。しかし、スマホアプリが提供する聴覚テストだけで聴覚の補正を行えるとなれば、補聴器を補完するデバイスとして普及するかもしれない。
この機能は対象国における保健機関の製造/販売承認を得た上で、2024年秋をめどに日本を含む100超の国/地域で利用できるようになる見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.