ハンダ付けして作る「MSX DIY」構想が明らかに 西和彦氏が「MSX DEVCON 7」で語った新世代MSXの最新状況(4/6 ページ)

» 2024年09月16日 18時00分 公開
[石井英男ITmedia]

MSX3は8入力対応のHDMIセレクターが主役になる

 続いて、西氏はMSX3の現状について次のように解説した。

 「MSX3の1号機は1 chip MSX3になる、これは本体とHDMIアダプター、MSX Engine 3から構成される。何回か商品の方向性を変えてテストしてみて、行けそうだったらそこにしっかりフォーカスする感じで進めていく。

 今、開発中のHDMIアダプターを持ってきた。これは5入力だが、製品では8入力対応になる。MSX3とどちらが主役かというと、私はHDMI入力セレクターが主役だと思っている。HDMI入力セレクターはMSX3が全くの失敗になっても、値打ちはある。

 このHDMI入力からの信号は、デスクトップにタイル表示することができ、そのアイコンをクリックして切り替えられる。MSX3のスクリーンは、このアイコンの1つとなる。どうしてこれが欲しいかというと、自宅の液晶テレビのHDMI入力、1/2/3とかに何を繋いだかいつも迷うからだ。HDMI出力を備えた機器は多いので、例えば6台繋いで、プラスMSX3、もう1つは予備と、そういう感じにしたいと思っている」(西氏)

MSX DEVCON 7 アスキー創業者 西和彦氏 開発者会議 MSX3の一号機は、1 chip MSX3になる。中央の透明なボックスがそのイメージだ
MSX DEVCON 7 アスキー創業者 西和彦氏 開発者会議 会場に展示されていたHDMIアダプターの試作品。製品では8入力対応になる

 そして西氏は「MSX3マザーボードは一応できたが、USB対応に手直しをする予定だ。PCと同じようにUSBキーボードやUSBマウスを利用できるようにする。それから光オーディオ出力を1本増やして2本にする。

 MSX Engine3は32bitCPUが2基と、ロジックエレメントが5万5000以上あるFPGAが載っていて、結構なことができる。さらにMSX Engine6は、64bit CPUが4基入っていて、FPGAも大きいので、VDP9958とVDP9990を載せる。OSはLinuxだが、webOSという、LG電子が権利を持つLinuxを使おうと思っている。

 これをTAOX対応にどういう風にするのか。アプリが全機種共通で32bit TAOXは、Windowsで動く、Linuxで動く、Androidで動く、Macで動く、それからiOSで動く。同じバイナリーが動く。今はそういうものとしてJavaがあるが、このTAOXとは何か、言語ではなくてバーチャルマシンのオブジェクトコードだ」と語った。

MSX DEVCON 7 アスキー創業者 西和彦氏 開発者会議 MSX3マザーボードLight Edition。会場にも実物が展示されていた
MSX DEVCON 7 アスキー創業者 西和彦氏 開発者会議 会場に展示されていたMSX3マザーボードLight Edition。USBポートや光オーディオ出力端子が追加されるなど、さらに改良が行われる予定だ
MSX DEVCON 7 アスキー創業者 西和彦氏 開発者会議 開発中のMSX Engine3。マザーボードにこのEngineを装着することでMSX3として動作する
MSX DEVCON 7 アスキー創業者 西和彦氏 開発者会議 開発中のMSX Engine6。64bitCPUが4基搭載されている

昔のMSXを全てMSX2+やMSXturboRにアップグレードしたい

 さらに西氏は、昔のMSXをどうするかというテーマについて話をした。西氏は以前から、昔のMSXを持ち続けている人に、次世代MSXへの救済手段を提供したいという話はしていたのだが、もう少し具体的に説明が行われた。以下が西氏の発言の要旨だ。

 「昔のMSXは、最低でも全部MSX2+のレベルにまで引っ張り上げて、可能ならMSXturboRになるような、そういう運動をしていきたい。古くなったゲーム機やPCは捨てられるわけだが、古くなった教科書や参考書を捨てる人はあまりいない。それは自分が使っていた思い出とか、記憶がたくさん入っているからだ。そういう感じにMSXもなったらいいなと。

 MSXturboRについては、当時はまだインターネットは存在せず、パソコン通信しかなかった。だから、あらゆるMSXをインターネットに繋ぐということをしなければいけないと思っている。インターネットに繋がって初めて1人前のPCといえるだろう。

 MSXの4つのレベルを、何に使うのかということを考えた。MSX1は主にゲーム、ここの+というのは、インターネットに繋がるという意味がある。MSX2+、MSX0も同じだが、これは静止画アニメができる。静止画アニメを実現するために、若干のバージョンアップをする。音声シンセサイザーやボコーダーで、おっさんの声と女の子の声が再生できるような機能を標準搭載する。

 そうすると、紙芝居がMSXでできる。紙芝居が可能なら、教育用に使える。PCでもできるし、スマホでもできる。なぜMSXにしなければいけないのという議論は当然あるが、MSXturboR+はそれが20倍速くなれば今度はアニメーションが可能だ。MSX3に関しては、デジタル動画が簡単にできる。+というのは、インターネット接続とSDメモリーカードのようなシリコンメモリのサポートと、ROMのバグの修正、IoT対応のためのGroveコネクターやIoT命令のサポートが追加されるという意味だ」

MSX DEVCON 7 アスキー創業者 西和彦氏 開発者会議 西氏が定義した次世代MSXの4つのレベル

 さらに「新生MSXでは、まずIoT、それからゲームプレイとゲーム作り、アニメ、デジタル音楽などを狙う。それから自分でマイコン、パソコンを組み立てることで電子工作を学習できる、いわゆる学習キットとしてのMSXも考えている。WindowsやMac、Android、iPhoneには近づかないで、競争ではなく共存を目指す。もっと使いやすいものを作りたいと思っている」と狙いに触れた。

MSX DEVCON 7 アスキー創業者 西和彦氏 開発者会議 新生MSXでは、IoTやゲーム、アニメ、デジタル音楽などを狙うという

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