機能についての紹介は以上なのだが、CO2チェッカーとしての値の正確さはどうだろうか。本製品はNDIR方式ということで精度は高いはずなのだが、実際に使ってみた限り、他のCO2チェッカーと比べて、周囲のCO2濃度の変化に敏感ではなく、値が反映されるまでが全体的に遅いように感じられる。
筆者は複数のCO2チェッカーを所有しているが、部屋を締め切っているとどの程度の時間でCO2濃度がしきい値を超え、また窓を開けて換気を始めるとどの程度の時間で正常値に戻るかは、体感的に概ね把握している。筆者だけでなく、CO2チェッカーを所有している人の多くはおそらく同様だろう。
しかし本製品は、換気を行っているのになかなか値が下がらなかったり、逆に部屋を締め切ったりしていてもなかなか値が変化しないといったことがよく起こる。他のCO2チェッカーでは値がとっくに変化しているにも関わらず、だ。USB給電で更新頻度を数分以下に設定しても、この症状は変わらない。
つまり全体的に「鈍感」なのだが、原因として考えられるのは、側面に設けられている開口部が他のCO2チェッカーと比べて小さいことだ。なぜなら本体に直接呼気を吹きかけた場合、他の多くのCO2チェッカーが一気に2000ppmを超えるところまで値が上がるのに対して、本製品は同じようにしてもノロノロとしか値が上がらず、穴に向かってダイレクトに吹き掛けると一気に値が上がるからだ。
ちなみに測定値そのものも全体的に低めで、他のCO2チェッカーよりも100ppm前後低い。これは校正機能を使えば補正できるはずだが、周囲の値の変化に鈍感なのは、本製品の特性らしいのでいかんともしがたい。そういうものだ、と割り切って使うしかないだろう。既存のCO2チェッカーから乗り換えた人は、やや気になるかもしれない。
前回紹介したQingping Air Monitor Liteは本体の値に変化があるとアプリ側もすぐ書き換わるのだが、本製品は本体の測定値がアプリに反映されるまでに数秒程度で済むこともあれば、数分待っても反応しない場合がある。このあたりも傾向が読めず、かなり癖のある印象だ。
またもう1つ、画面の視野角が狭いのもやや気になるところだ。同社の温湿度計は伝統的に液晶の視野角が狭く、正面から少し外れただけで画面の値を読み取れなくなることもしばしばなのだが、本製品もこの傾向が強く、単体では正面からのぞき込むようにしないと見えにくい。バックライトがないぶん、液晶パネルの部材についてはもう少し品質を上げてほしいものだ。
以上のように、多機能さはお墨付きなのだが、CO2の測定値そのものへの信頼性がやや微妙で、使っていて首をひねる挙動も多い。初見の人にとってはあまり問題はないだろうが、他のCO2チェッカーを使っている人は、違和感を覚えるかもしれない。
とはいえ実売価格は7980円と安く、アプリとの連携機能のない一般的なCO2チェッカーですら1万円前後することを考えるとお買い得だ。またCO2チェッカー以外の付加価値も多いので、試した結果CO2チェッカーが自分の生活に不要だと分かっても、他の機能のために使い続けられる。そうした意味でつぶしが利く製品なのは間違いなさそうだ。
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