400ZB超のデータ量を迎えるAI時代では大容量HDDがますます重要になる 日本シーゲートの新妻氏が語る近未来

» 2024年12月17日 17時00分 公開
[ITmedia]

 12月17日、日本シーゲイトが「AI時代におけるデータストレージの役割と事業展望」と題する発表会を開催した。

日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ AI時代 Seagate アジア太平洋地域および日本営業統括バイスプレジデントの新妻太氏
発表会で展示されていた、Mozaic 3+を採用のHDD「Exos」を使ったヘッドの動き

2028年には現在の3倍近い約400ZBまでデータ量が増える見込み

 Seagate アジア太平洋地域および日本営業統括バイスプレジデントの新妻太氏が、直近(2024年7月〜9月)の業績について触れつつ、「2025年第1四半期では、HDDの総出荷量の90%を超える128EB(エクサバイト/約1億3421万7728TB)が大容量HDDで、これはクラウドの需要の強さと、従来型サーバの記録的なストレージ容量の増加というトレンドが反映している」とし、「eコマースやソーシャルメディアなどで動画コンテンツの消費が増加しており、動画コンテンツの分析やデータ保持期間の長期化という動きも受けている。また監視用途のクラウドストレージも増えている」と分析した。

日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ AI時代 直近第1四半期のSeagate財務ハイライト。大容量HDDの出荷が増えているのが分かる

 新妻氏は2024年の初めに発表した「Mozaic 3+」プラットフォームについて触れ、「Mozaic 3+の高い記録密度は、同じデータセンターの専有面積に対してストレージの容量が3倍に、テラバイトアあたりの電力効率が2.6倍になり、同時にカーボン排出量も大きく削減する。これは生成AIの普及やAIデータの保存/保護などを担うデータセンターにとって非常に重要なポイントとなる」とアピールした。

日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ 同社のMozaic 3+プラットフォームを採用することで、データセンターのさまざまな課題を解決できるという
日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ 日本国内では政府の支援を受けて大規模ストレージの需要が拡大しており、エッジインフラ市場も伸びるという

 また今後、世界規模でデータ量が増大し、2028年には約394ZB(ゼタバイト/約4230億5427万8656TB)と、これまでの3倍近い値に増加すると見ているとし、「IoTデバイスの普及や生成AIの利用でデータ量は加速度的に増えている。このように増え続けるデータ量に対し、利用可能なストレージの成長が追いついていない」と指摘する。

日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ IDCの予測では、2023年から2028年の間に、世界規模でデータ量は約3倍(394ZB)に増加するという

 このような中で同社は、「このギャップを埋めるべく積極的な容量計画が重要であり、そこにはイノベーションも必要になる。AIの急成長もあるが、規模だけでなくデータへの信頼性も求められている」と2025年の抱負を語った。

 なお、Mosaic 3+の現状について「クラウド事業者による評価段階にあり、今後量産に入る予定だ。HDDの技術革新において他社よりも先行しているが、品質の安定化に時間がかかっている」と説明した。

日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ クラウドを中心に、AIがあらゆる場所で利用されるようになるとした
日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ AI時代 そのため、現状のストレージの設置ベース(緑線)では今後予測されるデータ量の成長率(青線)に追いつけず、需給のギャップが生まれる可能性があると指摘
日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ 大規模データセンターでは求められているのはHDDで、SSDやピークパフォーマンスは余り求められていないのが現状だという。この構造はAI時代になっても変わらないと主張した
日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ 大規模のデータセンターでは、大半のAIデータが大規模オブジェクトストレージに保存される
日本シーゲート Seagate 新妻太 Mosaic 3+ これから迎える本格的なAI時代では、ストレージの役割がこれまで以上に重要になるとした

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