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» 2022年01月21日 12時00分 公開

20TBに到達! CMR方式の大容量HDD「Seagate IronWolf Pro 20TB」を試す(1/3 ページ)

日本シーゲートのNAS向けHDD「Seagate IronWolf Pro 20TB」は、市販で手に入る現時点で最大容量のNAS向けHDDとして多彩な魅力を備えたモデルだ。その機能と性能をチェックした。

[石川ひさよしITmedia]
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 年末のことになるが、Seagateから20TBのHDDが登場している。IronWolf Proシリーズの「ST20000NE000」だ。IronWolf Proシリーズとしては2020年10月に18TBモデル「ST18000NE000」が発売されており、そこから約1年、2021年12月に20TBモデルが発売された格好だ。

IronWolf Pro ST20000NE000 日本シーゲートの「IronWolf Pro」シリーズはNAS向けの高耐久/高信頼性モデルで、その最大容量モデルがこの20TBとなる

現時点の「入手可能な」HDDで最大容量となる20TBを実現

 PC内ストレージとして見ると、今ではHDDよりもSSDのシェアの方が高い。新規で国内販売される個人向けPCの本体内蔵ストレージはSSDが大勢を占めている。

 一方でHDDのニーズも根強い。SSDに対するHDDのメリットは容量と価格だ。IronWolf Pro 20TBモデルのニーズは特に前者に傾いているが、同じ容量をSSDで構築した場合で比べれば、IronWolf Pro 20TBモデルの方が大幅に安い。もちろん、速度はSSDが圧倒的に高速だ。つまり、SDD/HDDは現在でも「何を求めるのか」ですみ分けができている。

 IronWolf Pro 20TBモデルは、NAS用のIronWolfブランドであり、Proが付くように商用NAS向けに信頼性を高めサポートを手厚くしたモデルだ。ただし、一部はPC DIY向けにも流通していて個人でも購入でき、NAS用と言ってもSerial ATA 3.0インタフェースのHDDなのでPC内部増設用としても利用可能だ。

 なぜ、IronWolf Pro(同時にエンタープライズ向けの「Exos X20」も登場している)なのか。これは現在のSeagate製HDDのブランドやラインアップ、容量、価格を説明しておかなければならないだろう。

IronWolf Pro ST20000NE000 NAS専用ファームウェア「AgileArray」と回転振動(RV)センサーを備えている。デスクトップPC向けHDDとして一般的な3.5インチのフォームファクターで、接続インタフェースはSATA 6Gbpsだ

 まず個人向けPC用HDDブランドとしては「Barracuda」がある。しかしBarracudaは最大容量が8TBにとどまっている。本稿執筆時で、8TBモデルはおよそ1万4000円前後だ。より大容量のHDDでは内部充てん用の気体にヘリウムを採用しているが、容量コストを求めるBarracudaでは空気を用いている。ヘリウム自体が高価ということもあるが、分子サイズの小さいヘリウム充填HDDは専用にシールドされたボディーが必要になるためコストが上昇する。

 Barracudaブランドでより大容量のモデルが登場するならば、空気充てんのまま大容量化できる新しいプラッタ・ヘッド技術が登場した場合や、あるいはヘリウム充填で劇的にコストが改善できる技術革新が必要なのだろう。

 一方、IronWolf Pro(またはExos X)は商用グレードであり、コストよりも大容量、コストよりも信頼性が求められるブランドだ。IronWolf Pro 20TBモデルは2020年末の販売開始時点で約9万円、1TBあたり4500円という計算で、Barracuda 8TBモデルと比べて容量単価は2.5倍ほどになる。最新の大容量プラッタ、ヘリウム専用ボディー、さらには高度なHDD診断機能「IHM(IronWolf Health Management)」の搭載など商用向けに耐久性の設定も高く、サポートも手厚いこともあり価格は仕方がないところといえる。

ついに10枚プラッタへ IronWolf Proならではの耐久性も

 それでは、IronWolf Pro ST20000NE000の仕様を確認していこう。

 インタフェースは、先述の通りSerial ATA 3.0(6Gbps)で、フォームファクターは3.5インチだ。プラッタ枚数は10枚、ヘッド数は20基となり、1プラッタあたり2TBという計算になる。なお、18TBモデル「ST18000NE000」は9枚プラッタで、ST20000NE000は計算上ST18000NE000からプラッタ技術的な変更はなく、1プラッタ増えたモデルと見ることができる。また、こうしたスペックから当然、空気ではなくヘリウム充てんを採用している。

IronWolf Pro ST20000NE000 CrystalDiskInfo 8.14.2から見たIronWolf Pro ST20000NE000

 ヘッド技術は従来のCMR(Conventional Magnetic Recording)方式だ。SMR(Shingled Magnetic Recording)方式ではないため、キャッシュがあふれた際に急激に転送速度が遅くなるといった現象が起きない。回転数は7200rpmで、最大連続データ転送速度は毎秒285MBとされる(ST18000NE000は毎秒260MBなので、ヘッド2基増加分速くなっている)。キャッシュ容量は256MB、平均レイテンシは4.16msとされる。

 商用で利用する際に重要な項目を見ていくと、MTBF(平均故障間隔)が120万時間、年間通電時間が8760時間(つまり24時間365日対応)、AFR(信頼性評価)が0.73%、Nonrecoverable read errors(回復不能読み出しエラー率)は10の15乗あたり1回、WRL(作業負荷制限)は300TB/年、保証期間は5年、RVセンサーも搭載している。

 NAS用としてターゲットとしているベイ数は1〜24ベイで、デーア復旧サービスの「Rescue Data Recovery Services」の3年間利用権が付与される他、大手NASベンダーのNASに搭載されているデータの健全性を維持する機能「IronWolf Health Management」にも対応している。

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