プロナビ

30TB超の大容量HDD量産を実現できた理由に“ブレイクスルー”は無かった Seagateの新技術「Mozaic 3+」を解説(1/2 ページ)

» 2024年01月25日 16時00分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

 1月25日、日本シーゲイトが発表会を開催し、同社が発表したMozaic 3+および今後のロードマップについて解説した。

 内容は、米Seagateが1月17日(現地時間)に発表した30TBを超える超大容量HDDの生産量を増加させる新プラットフォーム「Mozaic 3+」に関するもので、今四半期に同社の主力製品であるExos製品ファミリーに採用し、30TB以上の製品をハイパースケールクラウドの顧客向けに出荷するというものだ。

 具体的には、既にデータセンター向けに出荷をしており、3月中にさまざまな認定を済ませて順次量産の体制をスタートするという。

日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア Mozaic 3+プラットフォームの概要
日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア Mozaic 3+を採用したHDD新Exosシリーズ
日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア 透明カバーを装着した新ExosシリーズのHDD
リアルタイムで映像を記録中の新Exosドライブのヘッドの動き

Mozaic 3+はさまざまなイノベーションを

 発表会ではZoomで参加したSeagate Researchのエド・ゲージ(Ed Gage)副社長が、「これまで採用してきたPMR(垂直磁気記録方式)では記録密度の向上に限界がきていた。メディア側の課題では保持力が弱くてデータそのものが不安定になってしまったり、磁気的に「硬い」部分へのデータ書き込みについても問題があったりした。そこで、プラズモニックライター技術を実装したHAMR(ハマー/熱補助型磁気記録)や、超格子プラチナ合金メディアなどを導入したMozaic 3+プラットフォームにより、HDDの大容量化について新しい道を切り開けた」とアピール。

 また、「ここ20年でさまざまな研究や投資を行ってきたが、10年前に開発はできていたが量産化には時間がかかった。いわゆる典型的なブレイクスルーというものはなく、全ての要素がそろわないとMozaic 3+は実現できなかった」と説明し、「HDD業界は今後何世代にも渡って成長を続いていく」と話した。

日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア Seagate Researchのエド・ゲージ副社長
日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア Mozaicプラットフォームのロードマップ。現行のMozaic 3+はプラッターあたり3TB超の記録密度だが、Mozaic 5+では5TB超を達成するという

総コストの削減に大きく寄与するMozaicプラットフォーム

 Mozaic 3+プラットフォームの導入に至った背景について、日本シーゲイトの新妻太代表取締役社長は、「このAIが叫ばれる時代では、データの価値がかつてないほど高まっており、データ増量が加速度的に増している。企業が競争優位性を維持するためには、ストレージインフラを効率的に拡張しつつ、総所有コスト(TCO)と持続可能性を最適化していく必要がある」と現状を説明した。

日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア 日本シーゲイト 新妻太代表取締役社長

 またデータセンターの建設は非常に高価で、電力コストの上昇も著しく既存の施設を有効活用することが求められているとし、「予算との戦いになっていて、テラバイト(TB)あたりのコスパを重視せざるを得ないのが現状だ」と語った。

日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア 現状、データセンターの建設や運用にはさまざまな課題がある

 ドライブあたりの容量を増やす方法には、ディスクの追加や記録密度の向上が挙げられるが、前者はヘッドやプラッターなどの電子部材が必要になり、コストや二酸化炭素排出量も増加するという欠点がある。

 そこで、同社ではディスクが少なく済んでコストや消費電力、カーボンの排出を抑えられる記録密度の向上に取り組み、Mozaicプラットフォームの導入に至ったという。新妻氏は「従来のPMRでは9年かかった容量の倍増も、モザイクプラットフォームに移行すれば2023年〜2027年の4年間で容量を倍にできる」と強調した。

日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア HDDの容量を増やすには2つの方法がある
日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア Mozaic 3+の特徴
日本シーゲイト Seagate HAMR Mozaic 3+ HDD 大容量 超格子プラチナ合金メディア Mozaicプラットフォームにより、ディスクの容量は4年以内で2倍に向上するという

 このMozaic 3+プラットフォームをデータセンターに導入すると、どのようなメリットがあるのだろうか。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  2. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  3. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  4. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  5. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  6. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  7. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  8. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  9. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  10. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー