自分の庭のように使ってもらいたい──ソニービル跡地「Ginza Sony Park」が単なるショールームではない理由(1/4 ページ)

» 2025年01月28日 12時20分 公開
[大河原克行ITmedia]

 1月26日、銀座のソニービル跡地に「Ginza Sony Park」がグランドオープンした。もともと1966年にオープンしたソニービルが2017年に閉館され、2018年から2021年までの解体途中には“銀座の公園”という実験的な試みも実施していた。

 その後、ビルの解体および新築工事が再開され、2024年8月に新たなビルとしてGinza Sony Parkが完成し、今回のグランドオープンに至ったという流れだ。

 Ginza Sony Parkを運営するソニー企業の社長で、Ginza Sony Park Project主宰の永野大輔氏は「銀座の公園を目指した。ソニーらしいユニークな建物が完成した」と自信を見せる。

 グランドオープンとなった1月26日は、ソニービルを作ったソニー創業者の盛田昭夫氏が生まれた日でもある。Ginza Sony Parkのグランドオープンをこの日にしたのは、同社のこだわりの1つだという。今回は永野社長にGinza Sony Parkの狙いを聞いた。

photo グランドオープンしたGinza Sony Park
photo ソニー企業の永野大輔氏(代表取締役社長兼チーフブランディングオフィサー、Ginza Sony Park Project主宰)

ビル内にはソニー直営の飲食も

 Ginza Sony Parkは東京/銀座の数寄屋交差点の一角にあり、地上5階、地下4階の建物となっている。敷地面積は707m2、延床面積は4358m2で、数寄屋橋のスクランブル交差点からそのまま入れる。また、地下2階の東京メトロ銀座駅のコンコースからも直接入れる。建物と街、コンコースとの境目がないのが特徴だ。

photo 銀座の数寄屋橋交差点にあるGinza Sony Park
photo グランドオープン前のため、ベルトパーティションが設置されているが、オープン後はそれが取り払われ、数寄屋橋交差点と一体化することになる
photo 1階では屋外用ストーブも用意されている
photo 「Sony Park展 2025」の開催を告知している。ここにステージを設置したイベント開催なども可能だ
photo 東京メトロのコンコースとつながる地下2階の様子

 以前のソニービルで実現してきた「街に開かれた施設」という設計思想と、「ジャンクション建築」や「縦のプロムナード」といったユニークな建築的要素を継承しており、地下3階から地上5階まで、ビルを回りながら階層を移動できるようにしている。

 地下1階や1階、2階は公園としての機能を持たせ、休憩や人との交流ができる場としており、地下2階、地上3階、4階、そして屋上の5階は、大規模なプログラムやアクティビティーが行えるフロアに位置付けられている。

photo 地下1階の様子
photo 地下1階から地上に向かう階段
photo 1階から2階への階段
photo 2階から数寄屋橋交差点方向を見たところ
photo 2階の様子。銀座の街を見ながらスロープで移動することができる
photo 地下1階の様子。休憩ができる椅子も用意
photo 地下1階の壁面の一部には青いタイルを使用。これはソニービル時代に作られたものだ
photo ガラス内に展示を予定しているが、現時点では内容がまだ決まっていないという
photo 地下3階から5階までつながる階段
photo ソニービル時代の「ジャンクション建築」「縦のプロムナード」という要素を残した
photo もちろんエレベーターも利用できる
photo 5階の様子。銀座ではビルの高さが56mに制限されているが、それよりはるかに低い約34mだ。しかも設備室を含めた高さであり、屋内となる4階までだと約20mの高さだという

 テナントなどの常設店は入居しないが、地下3階には、ソニー運営の洋食カジュアルダイニング「Nibun no Ichi」をオープンしており、食との新しい向き合い方や楽しみ方を提案するという。

 店名にある通り、「2分の1」がコンセプトの店となっており、料理の量を2分の1にし、その組み合わせで提供するというものだ。

 「銀座の街全体のカジュアルダイニングという位置付けにしたい。銀座に来て、1店舗だけでお腹を一杯にするのではなく、ここで少しだけ食べて、その後に銀座の街に出ていくということも可能だ。レストランを予約しているが、1時間早く到着してしまったら、ここで軽く食事をしてもらってもいい。これもソニーらしい発想」と笑う。

 Ginza Sony Parkの開園時間は午前11時から午後7時で、カジュアルダイニングは午後9時までの営業となっている。

photo 地下3階のカジュアルダイニング「Nibun no Ichi」
photo カジュアルダイニングにはソニービルの屋上に設置されていた電飾看板を再利用
photo ランチョンマットには料理の背景などを記載しているという
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