Appleの公式サイトの性能比較は、「今、このモデルを使っている人はそろそろ乗り換えましょう」と訴えるように、5年ほど前のモデルと性能を比較することが多い。それによれば、2020年登場の最後のIntelプロセッサ搭載モデルとの比較では、最大で23倍もの性能差があるという。翌2021年登場のM1チップ搭載モデルとの比較でも、最大2倍の性能差があると紹介している。
では、2024年登場のM3チップを備えたMacBook Airとの比較ではどうだろうか。
また、同じM4チップを搭載し、本体サイズも近いMacBook Proの14インチモデルとの比較ではどうだろうか? ついでに1日違いで発表され価格も近いM3チップ搭載のiPad Airとも比較してみた。iPad Airに別売のMagic Keyboardを装着すれば、MacBook Airにかなり近い使い勝手で利用できる。
今回は、定番のGeekbenchを使って性能比較をしてみよう。
結果はグラフの通りで、やはり、M3チップとM4チップの間では、全ての処理において大きな差があるのが分かった。M3チップ搭載のMacBook Airと比べても、10〜20%の性能差がある(もっとも、そこまで性能が大事な人は、むしろMacBook Proを選んだ方がいいと思うが)。
最新のiPad Airとの処理性能の差も同様だ。キーボードの有無や持ち運びスタイル、タッチ入力やApple Pencilの入力といった柔軟性を求めるならiPad Airがお勧めだが、ビデオ編集や3D動画編集、さらにはローカルLLMといったできる作業の種類の豊富さや、処理性能の余裕からくる柔軟さで選ぶなら、MacBook Airを選ぶべきだと思う。
では、MacBook ProのM4モデルとの比較ではどうだろうか。
数分で終わるGeekbenchの性能テストでは、両者の性能にはわずか数%しか差がないため、MacBook Airの方が圧倒的にお得に見える。しかし、実はMacBook ProにはAirにはない空冷ファンが内蔵されている。
PCでは、負荷のかかる処理を継続するとプロセッサやSSDの熱がボディーを通じて伝わってくる。新型MacBook Airも長い間性能テストをしていると、キーボードの左側の辺りがほんのりと暖かくなった。この状態が続くと、M4チップは熱によるサーマルスロットリングを防ぐべく、処理性能を強制的に落として動作することになる。
その点、MacBook Proは空冷ファンを備えているため、ファンの風切り音などで少しうるさくなるが、プロセッサが安定した性能で長時間動作する強みがある。
文章を書いたり、写真を見たりといった程度の作業でこの状態に陥ることはない。だが、高解像度のビデオ編集や書き出し処理、複雑な3D画像の扱い、そしてローカルLLMのような最新の使い方では、こういった状況になりやすい。
MacBook Airは、たまに動画編集、たまに3Dモデリング、たまにローカルLLMといったカジュアルな使い方であれば、これらの用途にも十分対応できるが、こうした使い方を日々、連続して行う人はMacBook Proを選ぶことになる。
とはいえ、世の中のほとんどの人はそこまでの性能は必要がないはずで、そういった人たちは自動的に王道の製品、MacBook Airを選ぶことになる。
円安で以前ほど安くは無いとはいえ、ノート型Macの中では最も手頃な価格だし、スカイブルーやスターライトのような明るい色から、シックなシルバー、ミッドナイトまで4色のカラーバリエーションを選ぶ楽しみもある(MacBook Proはシックなシルバーとスペースブラックの2色しかない)。
新型iPad Airのレビューで、別売のMagic Keyboardが従来の「英数」キーに「abc」、「かな」キーに「あいう」と刻印されていることを紹介したが(左下)、これはM4搭載の新型MacBook Air(右上)も同様で、これからのApple製品ではどうやらこれがスタンダードになりそうだ※外部ディスプレイ表記について追記しました(2025年3月13日午後10時45分)。
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