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Apple製品でiPadほど多用途なモデルは珍しい? 2025年モデルは“iPadの方向性”を再定義する(1/2 ページ)

» 2025年03月06日 12時00分 公開
[林信行ITmedia]

 Appleから、新しい「iPad Air」と新しい「iPad」が発表された。特筆すべきポイントは、iPad Airが「前モデルより高速なM3チップ搭載と進化したMagic Keyboardの登場」、iPadは「ストレージは倍増するもApple Intelligence非対応。価格は据え置き」とまとめてしまうことができる。

 しかし、少し角度を変えて眺めてみると、iPadはiPhoneともMacとも全く異なる進化を始めたという面白い絵が浮かび上がってくる。

Apple Intelligence iPad air 11世代 M3 新型 Magic Keyboard タブレット GIGA 新たに登場したM3チップ搭載の「iPad air」(左)と、A16チップ搭載の「iPad第11世代」(右)

初代製品から15年 iPadの用途は多様化している

Apple Intelligence iPad air 11世代 M3 新型 Magic Keyboard タブレット GIGA 新しいiPadのラインアップ比較。iPadのラインアップは、プロ向けのiPad Pro、一般向けのiPad Airに大別される。ここまではMacBookシリーズと同じだが、小さいサイズを必要としている人向けのiPad mini、そして主に教育市場などコストにシビアな人向けの無印iPadと、MacBook以上にターゲットのニーズがハッキリと分かれている

 2010年、亡き創業者であるスティーブ・ジョブズ氏が最初のiPadを発表した時、彼はこの製品がスマートフォンとパソコンの中間的な存在で、その用途などは未知数と語っていた。それから15年が経過し、iPadシリーズは、世の中にさまざまなイノベーションを巻き起こしてきた。

 世界中の航空会社から人気で多くのパイロットやキャビンアテンダントが活用しているのに加え、東京メトロの案内係の標準デバイスとしても採用されている。飲食店でレジ端末やテーブルから注文をする端末も(最近では安価な他社製が増えたが)最初に道を切り開いたのはiPadだった。

 他にも、薬局、マリンITと呼ばれる漁業での活用から森林資源の管理、ワイナリーでの品質管理など、iPadがまだ活躍していない業界を見つける方が難しい。

 だが、さまざまな業界の中でも、特に大きな成功を収めているのが教育現場で、生徒が使う端末、先生が使う端末として世界的に人気が高い。

 日本ではコロナ禍によって前倒しで進んだ、小中高校生が1人1台のデジタル端末を持つGIGAスクール構想の端末として広く使われている。

 AppleのiPad関連の製品発表を取材していると、一番よく耳にするのが「versatile(多用途)」という言葉だ。日本語版のWebページなどではよく「万能」と訳されているが、まさにその通りでiPadはいくつかのニッチな領域で非常に大きな成功を収めている。

 そして、今日ではこのニッチエリアの成功が、iPadシリーズのラインアップをどう構成するかにも大きな影響を与え始めたのだ。

 どういうことだろうか?

 新しいiPhoneは、iPhone 16eの発表で、製品ラインアップ全体での統一感を追求する方向が明確化した。全ての製品をApple Intelligence時代に備えて同じ世代のチップでそろえ、その中でどれが削っても成り立つ機能か、どれが少し贅沢な機能か、どれが究極の機能かを整理し直した。

 Macの主力製品もM4チップ搭載のMacBook Airが発表されたが、基本的に同じ方向性で全て同じM4チップのシリーズを搭載し機能や性能をそろえていく方向性だ。

 だが、iPadは違う。iPad Pro/iPad Air/iPad mini/iPadの4製品では搭載チップがM4/M3/A17 Pro/A16とバラバラで、無印のiPadに至っては2025年発表の最新モデルでありながらApple Intelligenceにも対応していない。

 Appleは、iPadシリーズのラインアップをどのようにデザインしたのだろうか。

 まずProモデルでは、製品に許された大きさの中に最高の性能と最先端の技術や機能を凝縮し、Airでは薄くて軽いボディーの中に妥協なきスペックを凝縮するという基本はMacBookシリーズとiPadシリーズで共通している。

 時代を象徴する中心的モデルが、Airであるという点も同じだろう。

 これに加えてiPadシリーズでは、とにかく小さな製品を要望する声が少なくない。そのニーズに応えるのがiPad miniで、iPad Airに迫る機能を持ちながら本体サイズを小型化した。

 小さな画面サイズでは、そこまでのグラフィックス性能はいらないという判断か、それともこの画面サイズでは、そこまで凝った使い方をする人は少ないという判断か、はたまた小型化で製造コストが上がってしまった分を調整する必要があったかは分からないが、iPad miniでは上位モデルで使われているMシリーズのチップではなくAシリーズのSoCが搭載されることになった。

 ただし、小さいだけで提供できる機能などの面で妥協するつもりはないので、Apple Intelligenceに対応したA17 Proを採用することになった。

 と、ここまではいいとして、実は最も名前に特色のない無印のiPadが一番特別な事情を抱えている。それは教育市場の標準iPadとしての地位を確立してしまった、という事情だ。

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