Apple Intelligenceは「Copilot+ PC」や「Federated Learning」とは何が違う? 今後、デジタルデバイスの刷新が進むと考える理由本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2025年03月28日 12時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 Appleが2024年6月に満を持して発表した独自のAIプラットフォーム「Apple Intelligence」が、4月初旬から日本語を含む多言語対応を開始する予定だ。このプラットフォームはApple製品の価値を高めるものだが、AIとプライバシーの関係性について業界全体に一石を投じ、新たなトレンドを生み出すものになるだろう

 「ChatGPT」や「Claude」、あるいは「Gemini」といった大規模言語モデル(LLM)を活用したチャットサービスの台頭により、AIは急速に私たちの日常生活や仕事の中に浸透しはじめている。Apple IntelligenceもこのようなAI技術の進歩を応用したものだが、その実装の方法は既存のサービスから一線を画している

 もう少し具体的にいうと、AppleはiPhone/iPad/Macといった既存デバイスの機能を内側から強化する、いわば「ハードウェアプラットフォーム統合型AI」を志向している。メールやカレンダーなどの情報に対する処理だけでいうなら、Googleが「Google Workspace」に組み込み始めたGeminiを応用した機能と同じように見える。しかし、Appleは「ハードウェアとソフトウェアの深い統合」という自社の強みを生かした展開で違いを出そうとしているのだ。

 自社設計のチップからOSまで一貫して手掛けるAppleだからこそ実現できる、端末内AIとクラウドAIの最適な連携――そんなApple Intelligenceの“本質”について、もう少し深掘りしていこう。

Apple Intelligence 4月初旬から英語以外の言語への対応が始まる予定のApple Intelligence

「オンデバイス処理」がもたらす、個人に寄り添うAI機能

 現代人のデジタルライフを見渡せば、PCやスマートフォン、タブレットといったデバイスには電子メール/SMS/SNSなどさまざまなコミュニケーションデータが日々蓄積されている。加えて、個人のスケジュール、位置情報、健康データや写真といった極めてプライベートな情報も集約されている。これらのデバイスは、もはや私たちの生活や思考、履歴をたたえた“外部記憶”といっても過言ではない。

 Apple Intelligenceの最大の差別化ポイントは、このような「個人の行動に最も近い位置にあるデバイス」に保管されたパーソナルデータやコミュニケーションの履歴を通じて、最適な情報とアドバイスをもたらすことにある。一般的なAIサービスが「あなたの質問に、一般的な知識から答える」のに対し、Apple Intelligenceは「あなたの日常や仕事の内容を知った上で、必要な情報を提供する」のが大きな違いだ。

 例えばメールの要約/返信支援では、大量の受信メールをAIが要約し、メール一覧のプレビューだけでも内容を把握できるようにしたり、優先度の高いと識別したメッセージを教えてくれたり、返信の下書きを指定したトーンで清書してくれたり、何度もやり取りの往復があった商談メールを要約したりといった機能を提供する。

メールアプリ メールアプリでは、確認/返信において重要度が高い受信メールを自動的に優先表示できる
メールアプリ 電子メールをタップすると要約を表示する機能も備えている

 スケジュール連携機能では、メッセージやメールから「約束事」を自動的に検出し、カレンダーへの登録を提案してくれる。「午前中は外出して、午後に資料作りを始める」といった自然な表現からでも予定を推測し、適切なタイミングでリマインドしてくれる。

 画像生成機能においても、「写真」アプリ内で識別された特定個人の写真を元にしたイラスト生成などが行える。

検索 写真アプリでは、同じ人物を写真(静止画)と動画で“串刺し”して探してくれる機能も利用できる。説明を加えれば、その説明に合致する写真/動画を見つけ出してくれる

 Apple Intelligenceは、提供が始まってそれほど時間がたっていない。ゆえに「デバイス全体を俯瞰(ふかん)して、特定の連絡先との間で交わされた最新の会議の約束内容を見つけ出す」といったところまでは到達はしていないようだ。

 しかし、Appleが目指しているのは、個人の活動や生活に寄り添ったプライベートなアドバイスを行うAIである。そこに向けて歩みが始まったことに、大きな意味があるといえよう。

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