Edifierが2月に発売した「LolliClip」は、LDACのサポートやANC(アクティブノイズキャンセル)、空間オーディオ、マルチポイント接続、装着センサー、さらに血中酸素検出、心拍数モニタリングまで、ここぞとばかりに機能を詰め込んだイヤーカフ型イヤフォンです。
同社の“耳をふさがない”イヤフォンの中でも、最上位に位置付けられる製品ですが、価格は実売で1万5000円前後と、他社製品と比べてもコスパに優れています。
とはいえ、いくら多機能と言っても肝心の音質や装着感がイマイチでは意味がありません。これまで数々のイヤーカフ型イヤフォンを試している筆者が、機能や音質など、その実力を確かめてみました。
最近は“耳をふさがない”イヤフォンがトレンドで、各社からさまざまな製品が登場しています。特にイヤーカフ型は耳掛け式と比べても装着感に優れていると言われ、筆者もかなり気に入って注目しているカテゴリーです。
Edifierは2024年末に実売1万円切りのイヤーカフ型イヤフォン「Edifier R1」を発売していますが、今回のLolliClipは直販価格で税込み1万6980円と、同社の全製品の中でも高価格帯に入るもので、かなり気合いが入っていそうです。Edifierといえば、PCスピーカーやヘッドフォン/イヤフォンなど、オーディオ製品を数多く手掛けており、評判もあるメーカーなので期待できます。
充電ケースは光沢のあるブラックで、丸みを帯びています。指紋が目立ち、ちょっとだけチープな感じがします。背面のヒンジ部分とロゴがデザイン上のアクセントになっていてお気に入りです。
まずは箱だしの状態で、手元のiPhone 16 Proとペアリングして音を確かめてみたのですが、曲によっては耳に重低音の振動を感じるほど、まるでインナーイヤー型イヤフォンのように低音がしっかり出ているなという印象を受けます。
一般的なイヤーカフ型イヤフォンは耳たぶに挟んで装着します。いずれも音が出るスピーカー部分は耳の穴から少し離れたところに固定されるため、周囲の音が聞こえる代わりに、再生している音声の低音は不足しがちでした。
LolliClipも耳たぶに挟んで装着することは変わりないのですが、スピーカー部分の形状が限りなくインナーイヤー型イヤフォンに近い形をしています。まるでAppleのAirPods 4のようです。これが耳穴をふさがないギリギリの位置にとどまるため、周囲の音が聞こえつつも、できるだけ低音が伝わるようになっているという仕組みのようです。
装着時にスピーカー部分がしっかり耳穴の中心部に来るよう装着すると、13mmダイナミックドライバーもあってか、これまでのイヤーカフ型では感じられなかった豊かな低音を体感できます。これには驚きました。
中高音域も低音に埋もれることなくしっかり音楽を楽しめるレベルですが、あえて厳しめな評価をすると、そのままでは少しだけこもり感があります。
ただし、LolliClipにはそれに対するアンサーがあります。高音質コーデック「LDAC」への対応です。ここで接続先をLDACに対応するAndroidスマートフォンやWindows PCに変えてみました。するとどうでしょうか。こもり感が解消され、1枚皮がむけたかのようにベール感が取り除かれました。
コーデックの違いをここまで感じられるイヤフォンは珍しいかも。LolliClipのポテンシャルを最大限発揮させたいなら、ぜひLDAC接続も試してほしいです。ただ、この辺はイコライザーの調整でどうとでもなると筆者は考えるので、LDAC非対応のiPhoneでも積極的に使いたいと思いました。
音質のために耳穴ぎりぎりまで攻める大きめのスピーカー部のおかげで、装着感はトレードオフになっています。
イヤーカフ型は“まるで装着していない”ような装着感で、何時間着けていても耳が痛くなりづらいのが魅力です。筆者はそうしたモデルに慣れているため、LolliClipは初めて装着した初日は圧迫感が強めだと感じました。これは2〜3時間で耳が痛くなるタイプです。2日目からは慣れたのか、耳が痛くなるまでの時間が3〜4時間に伸びました。でも違和感は引き続きあります。
1日中着けっぱなしできるほどの装着感はいらないので、耳穴をふさがずにインナーイヤー型に近い音質を重視したいという人に向いています。
イヤフォン本体のブリッジ部分を指でたたくことで、曲の一時停止や曲送り/戻し、音量、イコライザーやノイズキャンセルのオン/オフ、音声アシストの呼び出しといった機能も利用できます。タッチセンサーの感度などに問題はなく使えました。左右で割り当てを変更することも可能です。
ちなみにLolliClipはイヤフォンの左右を自動で識別してくれるため、装着時に左右を気にする必要がありません。これは3万円近いハイエンドモデルがよく採用している機能ですが、2万円アンダーの製品でこの機能を搭載しているのは驚きです。耳から取り外した時に音楽再生が止まり、再び装着すると再生する装着検出機能もあります。
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