ミニサイズのデスクトップPC、いわゆる“ミニPC”と言えば、小さなボディーらしからぬ性能とコストパフォーマンスが魅力だが、外付けグラフィックスカード(eGPU)が搭載できないといった拡張性の低さが弱点と捉えられる場合もある。
ゲーミングやAIなどで活用したいグラフィックス面の性能については、どうしてもフルタワーといった大きなデスクトップPCと比べて劣ってしまう。
一般的な使い方であればCPUの内蔵グラフィックスで事足りるのだが、せっかくのデスクトップPCとしてPCゲームなどを遊びたいといった欲が出てくると、“フツー”の使い方では窮屈な思いをするものだ。
そんなミニPCの弱点となりうるGPUの性能を力業で向上させられる製品がある。それがeGPUドックだ。今回はミニPCでおなじみのMINISFORUM(ミニスフォーラム)が販売しているeGPUドック「Minisforum DEG1」を手元に用意したので、同社の最新ミニPC「Minisforum AI X1」と接続して、グラフィックス性能の底上げを試してみた。
Minisforum DEG1(以下、DEG1)は、GPUとATX電源を搭載できる拡張ドックで、ミニPCと「OCuLink」と呼ばれるコネクターで接続して使う。直販サイトやAmazon.co.jpでは、割り引きクーポンを適用して約1.2万円ほどで購入できる(記事公開時点)。
OCuLinkは「Optical-copper link」(光-銅リンクの略)で、内部のPCI ExpressスロットをPCの外にそのまま取り出したようなインタフェースだ。2015年10月にPCI Express 3.0 x4で動作するVersion 1.0がリリースされた。
記事執筆段階で最新版となるVersion 2.0では、PCI Express 4.0 x4をサポートしており、DEG1も対応している。
OCuLinkの帯域幅は最大64Gbpsで、帯域幅が40GbpsのThunderbolt 4より約60%高い。よって外部GPUを接続した際のボトルネックが軽減され、パフォーマンスの向上が期待できる。
ただし、OCuLinkはミニPCのNVMe用のM.2スロットの空きを利用する。よって実際の帯域幅は、搭載するM.2スロットのPCI Expressレーン数に依存する。「OCuLinkポートが搭載されているミニPCであれば、例外なくGPUパフォーマンスをフルで発揮できる」というわけではないので注意が必要だ。
さらにThunderbolt 4の場合はホットスワップ(PCの電源を入れたまま抜き差しすること)に対応しているが、OCuLinkは対応していない。PCを起動しながらDEG1を取り外せないという不便さが残る。とはいえ、GPUをホットスワップすることは基本的に無いため、運用上はさほど気にはならないだろう。
さて、先ほどOCuLinkとThunderbolt 4を比較した場合は前者にパフォーマンスの優位性が確認できると紹介したが、2023年9月12日に発表されたThunderbolt 5は、最大120Gbpsの帯域幅(80Gbps双方向、最大120GbpsのBandwidth Boostモード)に対応しているため、OCuLinkより高いパフォーマンスが期待できる。
パフォーマンスの面だけでは新しいThunderbolt 5に軍配が上がるが、Thunderbolt 5はOCuLinkと比べて高価なので、パフォーマンスというボトルネックとコストをてんびんにかけると、OCuLinkはまだしばらくeGPUドック用のインタフェースとして活躍するだろうと筆者は考えている。
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