4月23日から25日まで、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「Japan IT Week 春 2025」が開催された。このイベントではIoTデバイスやPC/サーバといった各種ハードウェアだけでなく、各種ソフトウェア/アプリの開発や情報セキュリティに関するソリューションの展示などが行われている。
この記事では、ミニPCやエッジAI関連の展示に絞ってブースの模様をお伝えする。
ASUS JAPANブースでは、「NUC」を始めとするミニPCや産業用サーバ、エッジAIコンピュータなどを展示していた。
ミニPCの目玉は「ASUS NUC 15 Pro」シリーズだ。本シリーズはグローバル発表済みで、日本でも6月末をめどに販売を開始する予定だという。
本製品は2.5インチドライブベイの有無で2種類のボディーを用意しており、CPUはRaptor Lake(開発コード名)ベースの「Core 100Uプロセッサ」「Core 200Hプロセッサ」、またはArrow Lake(開発コード名)ベースの「Core Ulta 200Hプロセッサ」から選べるようになっている。
Core Ulta 200Hプロセッサ搭載モデルの最上位構成では、CPU/内蔵GPU/内蔵NPUの合計で最大99TOPS(毎秒99兆回)のAI処理を行えるという。またAI処理に欠かせないメモリは最大で96GB(48GB×2)まで搭載できる。Wi-Fi 7やBluetooth 5.4といった最新ワイヤレス接続規格にも対応している。
手のひらサイズの小型ボディーながらも、Thunderbolt 4(USB4)ポートやUSB 3.2 Gen 2 x2(USB 20Gbps) Type-Cポートを備えており、2.5インチドライブ非対応モデルでも十分な拡張性を備えている。
会場にはCopilot+ PCに準拠する「ASUS NUC 14 Pro AI」シリーズや、Ryzen AI 7 350を搭載するCopilot+ PC「ExpertCenter PN54」も展示され、多様なAI対応ミニPCを取りそろえていることをアピールしていた。
ASUS JAPANの担当者によると、ミニPC製品は法人需要が90%を占めており、デジタルサイネージはもちろん、情報の持ち出し防止の観点から固定設置型のオフィスPCとしても人気があるという。「一部モデルではノートPCより性能が高く、(一般的な)デスクトップPCよりも省スペースという特性が評価されている」とのことだ。
ブースではミニPCを使ったデジタルサイネージのデモも行われていた。1台のミニPCに2台のディスプレイを接続し、片方のディスプレイにサイネージ管理画面、もう片方のディスプレイにサイネージを表示するという運用だ。HDMIケーブルを抜いた場合は、サイネージ表示を維持する(=管理画面側を非表示にする)という機能もあるという。
IoT(モノのインターネット)用を始めとする産業用デバイスを展開する「ASUS IoT」ブランドからは、「NVIDIA Jetson」を搭載するエッジAIコンピュータや、産業用サーバ製品が展示されていた。振動計測センサーなど特殊用途機器も含め、産業向けソリューションの充実している。
ミニPCで知られるMinisforumブースでは、高性能ミニPCの新製品の他、今後投入予定のハイエンドNASなどが展示されていた。
際立っていたのは、Ryzen 9 7945HX/9955HXプロセッサを搭載する本格ワークステーション級ミニPC「MS-A2」だ。本製品は10GBASE-Tに対応する有線LANポートの他、PCI Express 4.0 x16スロットやM.2スロットを3基も備えるなど、小型ボディーとは思えない拡張性の高さが魅力だ。
メモリはDDR5規格のSO-DIMMで、最大96GBまで搭載可能だ。冷却にこだわった内部構造で、担当者は「これが一番強い(ミニPCだ)」と胸を張る。間もなく販売を開始する予定で、メーカーのWebサイトでは5月20日から出荷を開始するとのことだ。
世界初公開となったゲーミングミニPC「G1」「G1 Pro」も存在感を放っていた。ボディーはPlayStation 5とそっくりで、APUはRyzen 9 8945HX(16コア32スレッド)、外部GPUはNVIDIAの「GeForce RTX 4060」(G1)または「GeForce RTX 5060」(G1 Pro)を搭載することでゲーミング性能もしっかり確保している。
ボディーサイズは縦置き時で約57.2(幅)×216(高さ)×315(奥行き)mmとミニPCとしては大型だが、高性能なゲーミングデスクトップPCと比べれば十分にコンパクトだ。
発売は近日中を予定しており、「最終デザインはさらに洗練される」とのこと。想定価格は18〜19万円程度だ。
さらに、同社初のNASキット「N5 PRO」も展示されていた。APUは最新の「Ryzen AI 9 HX PRO 370」(12コア24スレッド)で、5基のHDDベイを備える。マザーボードは着脱が容易で、M.2スロットを3基搭載している。PCI Expressスロットにはグラフィックスカードも搭載可能とのことで、一般的なNASからすれば明らかに“オーバースペック”かつ汎用(はんよう)性が高いことがウリとなる。
5〜6月発売を予定しており、想定価格は20万円強となるそうだ。
また、デスクトップPCとしては珍しくCopilot+ PC(新しいPC)の要件を満たす「AI X1 PRO」も印象的だった。
本製品はRyzen AI 9 HX 370を搭載しており、CPUコア/GPUコア/NPUコアで合計最大80TOPS(毎秒80兆回)のAI処理性能を備え、最大4画面を同時出力できる。コンパクトながら電源を内蔵し、価格は14万9000円から18万9000円と「NPU搭載ミニPCとしては市場最安値」という設定だ。
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