PCパーツの大手代理店として知られるアスクのブースでは、エッジAIからシミュレーション環境までを統合的に提案する「フィジカルAI」ソリューションが展示されていた。
同社はNVIDIAの代理店でもあり、展示面積の半分以上はNVIDIA関連製品が占めていた。
アスクブースの目玉は、NVIDIAの「Ominiverse」プラットフォームだ。3Dシミュレーション環境でロボットの強化学習やデジタルツインの実現、自動車の塗装テストなど、多様なユースケースを提案していた。
「実地に行かなくても仮想空間に同じ環境を再現できる」と担当者は説明する。
アスクはロボットも扱っており、ブースではUnitree製の犬型ロボットも展示されていた。「強化学習」による動作改善を検証しているという。
さらにLiDARやステレオカメラなどのセンサー技術も展示され、AIシステムへのデータ入力方法の違いを説明していた。
新製品としては、NECプラットフォームズが開発するRyzen EmbeddedプロセッサとAMDの組み込み機器向けSoC「AMD Versal」を併載するマザーボードも展示していた。「(NVIDIAの)Jetsonに依存せずに、Windows環境で開発できる選択肢」だという。
このマザーボードは現在開発途上だが、製品化は決まっているという。
また、アスクが代理店を務めるAetina(エティナ)のエッジAIアクセラレーターも展示され、運転手の居眠り検知や工場での品質管理など、実用的なユースケースを想定したデモが行われていた。
現場での導入イメージも分かりやすく示されていたことが印象的だった。
アドバネットブースでは、日本ギガバイト(GIGABYTE)とのコラボレーション展示が行われていた。
展示エリアには最新のGIGABYTE製GPUサーバやAIサーバが並び、データセンターやエッジコンピューティング向けのソリューションを提案していた。
GIGABYTEのサーバにアドバネットの産業用拡張ボードを組み合わせた展示もあった。
担当者によると、GIGABYTEのGPUサーバやAIサーバは約1年前から取り扱いを開始し、半導体製造装置の他、医療機器、火力発電所などさまざまな産業で採用されているという。今回は、AMD EPYC 8004シリーズ搭載エッジサーバーや第4/5世代Xeonスケーラブルプロセッサ搭載サーバなどが展示されていた。
一方、アドバネット自身の製品として「Leyline(レイライン)」というLoRaWAN採用のIoT通信システムも動態展示された。
この製品は、工場設備の振動センサーによる異常検知や省電力長距離通信などの特徴を備え、実際の導入事例として鹿児島県大崎町での堆肥化プラントの温度センシングなどが紹介されていた。
ワイセキュア:HTCとのコラボレーションによるエッジAIサーバを展示
ワイセキュアブースでは、HTC製のエッジAIサーバ「HTC Edge AI」を使ったソリューションを展示していた。
HTC Edge AIは、監視カメラ映像から人の顔を検知してモザイク処理を行ったり、立入禁止区域への侵入を検知して警報を発したりといった機能を持つ。
ワイセキュアのソリューションの主軸は、「FDO(FIDO Device Onboard)」と呼ばれるIoTデバイス向け認証システムにある。これは、製造段階から顧客の利用開始まで一貫したセキュリティを提供するもので、デバイスが初めて起動する際に正規所有者の認証が自動的に行われる。
HTCのエッジAIサーバーとワイセキュアのセキュリティ技術を組み合わせることで、プライバシーとセキュリティを担保したAIシステムの構築が可能になるという。
なお、HTCのエッジAIサーバーに担当者は「デモとしての展示であり、(自社単独で)日本での展開予定はない」と説明していた。
この他、ワイセキュアは暗号化USB機能付きストレージや権限管理デバイスなど、ハードウェアセキュリティ製品も展示していた。
ストレージ製品で有名なトランセンドジャパンのブースでは、同社の主力製品であるストレージ製品に加えて、業務用ボディーカメラを展示していた。
注目は、最近発表されたばかりのエンタープライズSSDシリーズだ。高い耐久性を備える特徴で、Serial ATAモデル(ETD210T)については、同社製の同一容量の通常モデルと比べると耐久性が約2.33倍(3000TBW→7000TBW)に引き上げられている。
担当者によると「より高性能なコントローラーを採用し、内部エラーへの耐性が向上している」という。さらに、不意の電源断が生じた場合にもデータを保護する「電断保護(PLP)機能」を搭載することで信頼性を向上している。
U.2フォームファクター(PCI Express接続)の「ETD410T」はヒートシンク付きで、厚みは9〜15mmほどある。実物を見ると、結構な存在感を放っている。
業務用ボディーカメラについては、担当者いわく「副業」だという。最長8時間程度の連続稼働が可能で、建築現場や線路点検、刑務所/拘置所といった過酷な環境での利用に対応している。
トランセンドの収益の大部分はストレージ製品だが、このようなニッチな業務用途向け製品も手がけている。
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