USB4による高速転送に対応するD1 SSD Plusだが、本当に“高速”なのかは気になる。というのも、SSDケースは百花繚乱(りょうらん)状態で、高速なSSDを搭載したとしてもUSB規格がうたう理論上の最高速度からほど遠いパフォーマンスしか発揮できない製品もあるからだ。
ということで、本製品のパフォーマンスをベンチマークテストを通してチェックしていく。今回はSamsung Electronics(サムスン電子)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSD「Samsung 980 PRO」の1TBモデルを用意し、それを装着してテストを行った。Samsung 980 PRO(1TB)の公称スペックは、シーケンシャルリードが毎秒7000MB、シーケンシャルライトが毎秒5000MBとなる。このスペックはPCI Express 4.0 x4接続時のもで、PCI Express 3.0 x4相当のUSB4接続ではこのSSDのポテンシャルは引き出せない。しかし、見方を変えれば、SSDがボトルネックになることもない。
また、今回は比較対象としてUSB 3.2 Gen 2x2(USB 20Gbps)接続のASUS JAPAN製SSDケース「TUF Gaming A2」で同じSSDを装着した際のベンチマークテスト結果も掲載する。理論的には「最大でD1 SSD Plusのさらに半分の速度」となるはずのものだ。
計測には富士通クライアントコンピューティング(FCCL)製のノートPC「LIFEBOOK WH2/H1」(Core i7-1360P/32GBメモリ)を使用し、ベンチマークアプリには「CrystalDiskMark 9.0.1」を使用した。CrystalDiskMark 9.0.1のプロファイルは「NVMe SSD」で、テストデータは「デフォルト(ランダム)」「全て 0x00(0Fill)」の2パターンで計測を行っている。
結果は以下の通りだ。
読み出し速度については、D1 SSD PlusはUSB4の理論最高速度に近い結果となった。外付けストレージから毎秒4000MB近い速度でデータ転送ができるのは、従来の外付けHDDやポータブルSSDのと比べるととんでもなく高速だ。
反面、書き込み速度は控え目だ。理論的にはより遅くなるはずのTUF Gaming A2よりも比さらに遅い。何度か測定してもでも半分近い速度で、設定を変えずに何度か計測を行ってみても同じようなスコアしか出ない。これは今回レビューに使ったPCの設定だと思われるが、後日設定を変えて改めて計測する。
とはいえ、現状の書き込み速度でも、一般的な外付けHDDの約5倍、ポータブルSSDと同等かそれ以上に高速なので、大容量データの置き場として十分に有用といえる。
D1 SSD Plusは、USB Type-C端子を備え、高速転送可能なUSB4に対応していることが強みだ。最大40Gbps(PCI Express 3.0 x4相当)の転送速度を考慮に入れれば、入れられるM.2 SSDの選択肢も豊富で“お買い得”なものも少なくないので、「SSD込み3万円以内でそこそこ速い外付けSSDが手に入る」と考えると、コストパフォーマンスは悪くない。大容量ファイルのやりとりを快適にしたいと考えている人には、良い選択肢となる。
また、その上でD1 SSD Plusが「ケース」であるという点に注目すると、後から中身を交換すれば、より大容量の外付けSSDに“変身”させることも可能だ。
今時点で必要十分な容量のSSDと組み合わせつつ、将来的に足りなくなってきたときにアップグレードの選択肢を選べる点は、D1 SSD Plusの強みだろう。
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