リントン氏によると、Windows 10からWindows 11への無償アップグレードはWindows 10のEOS後も継続して提供されるという。もし手持ちのハードウェアやソフトウェア(アプリ)の都合でWindows 11へのアップグレードが行えず、Windows 10を継続利用しているという人は、ESUを活用しつつ、適切なタイミングでWindows 11への移行を検討してみるといいだろう。
Windows 10の個人向けESUは、現時点では10月14日から1年間提供されることになっている。一方で、法人向けESUは従来通り最長で3年間まで延長可能だ。個人向けESUの期間延長について、リントン氏は「現時点では、あくまで1年間のみ(提供する)」と述べている。
法人向けESUは有料で、セキュリティアップデートが最長3年間提供される。ただし、ボリュームライセンスプログラムの契約者が対象で、料金は1年ごとに“倍増”する仕様になっている。個人向けより長く提供するのは、「企業や政府機関、学校などでは新OSへの移行が複雑で時間がかかるため、経過措置として長めのマージンを取る」(リントン氏)必要があるからだ。
コンシューマー(個人)の場合は、手元にある1〜2台のPCを同時に更新すること自体はそれほど複雑ではなく、条件付きだが無料で利用できるESUもうまく組み合わせ、移行を進めてほしいという。
Windows 11への移行を巡っては、アップグレードの要件を満たさないPCに強引にOSをインストールする手法が一部で流布している。YouTubeを見ると「新しいPCを買う必要がない」として、この手法を紹介する動画をよく見かける。また、無理やりWindows 11を導入した要件を満たさないPCをオークション/フリーマーケットサイトやECサイトで販売する者もいる。
Windows 11では「TPM 2.0」への対応が必須化されたが、その関係で対応CPU/SoCも比較的新しい世代に限定される。Windows 10なら10年近く前のPCでも問題なく動作するが、Windows 11が求めるセキュリティ要件を満たしきれない。しかし、インストール時に行われる要件チェックの一部をバイパスしたり、コマンドでインストーラーを無理やり起動することでインストールできてしまうのだ。
このような無理やりなインストールについて、リントン氏は「未対応のPCでこうした回避策を取ってしまうと、ドライバの互換性も失われ、パートナー(ハードウェアメーカー)からのサポートも受けられない。その上、よりセキュアなハードウェアから受けられるセキュリティ機能も享受できない。より安全なハードウェア実現のために、私たちは特にTPM 2.0を活用しており、正式なガイダンスに基づいた形でのアップグレードを推奨する」と述べている。
なお、Microsoftでは以前から国/地域ごとのWindowsバージョンのシェアやハードウェアの稼働状況といった細かいデータは一切公開していない。このような情報は、サードパーティーがさまざまな手法で入手したデータを元に把握することになる。もちろん、このデータはMicrosoft自身が持つデータと比べれば不正確だろうが、ある程度の傾向は見て取れる。
Windows 10を利用するユーザーは、まだ世界的にも多い。直近のデータを見ても、EOSが直前だというのにWindows 10のシェアはWindows 11と大差ない。他方で、日本に限るとWindows 11を利用するユーザーの比率が世界と比較して高い。つまり、それだけハードウェアの世代が新しめである傾向にあるというということだ。
具体的な数字に触れなかったものの、リントン氏は≪世界と比較して日本がWindows 11が動作するハードウェアの比率が高いことを認めている…。サードパーティが示すデータは、ある程度正しいようだ。
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