クラウド経由で提供されているSaaSに関するインシデントは、10月にもAmazon Web Servicers(AWS)でも発生している。
AWSの場合は、米国の主要な拠点となる北バージニアにある「US-EAST-1」で発生した障害が顧客企業にも波及した形になる。
AWSはSaaSだけでなくIaaSとして仮想ハードウェアの提供も行っている。US-EAST-1はAWSの主力中の注力の拠点の1つとなっており、AWSでSaaS/IaaSを利用する企業に大きな影響が発生した。
現在は、昔ながらの「オンプレミス(自社内運用)サーバ」だけでサービスを提供している大企業というのはほとんどない状況だ。AWSやCloudflareのようなSaaS、あるいはAWS/Google Cloud/Microsoft AzureなどのIaaSを利用してソフトウェアやITのインフラを構築している事業者の方が多い。結果として、仮にSaaSやIaaSなどに問題が発生した場合、サービスの継続が困難になることが多いのが現状だ。
ただ、SaaS/IaaSを利用している全ての企業で問題が発生している訳ではない。CSPのサービス拠点(AWSなら「リージョン」と呼ぶ)を複数利用する契約を締結し、どこかで問題が発生しても別の拠点でバックアップを立ち上げてサービスを継続できるようにしている企業も多い。
その意味では、CloudflareやAWSの障害時でもサービスを止めることがなかった企業は、サービスのBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)がうまく行っていると見てよいだろう。
11月18日、macOS版Adobe Creative Cloudを構成する一部アプリにおいて「アプリが起動しない」「ファイルを読み込めない」「キーボード入力できない」といった不具合が発生した。この問題は解消済みだ。
先述の通り、本件の原因の詳細は調査中だが、状況的にCSPサービスの障害が原因である可能性がある。というのも、オフラインで起動すると、問題がほとんど起こらなくなったからだ。
このように、今やローカルアプリであってもインターネットで常時通信しているものが多い。もっというと、「PWA(プログレッシブウェブアプリ)」の仕組みを使ってWebブラウザを内部で呼び出して、Webページと同じ仕組みで表示しているだけというものもある。
PWAによるアプリの代表例が、Microsoft Storeで配信されている新しい「Microsoft Outlook」だ。新しいOutlookアプリは、インターネットがない環境ではそもそも起動できない。筆者が飛行機の中でPCを再起動した後、「オフラインでメールの履歴を見たいと思って」Outlookを起動しようとしたら、インターネットに接続していないと起動してくれなくて困ったことがある。
その意味では、ユーザー自身のBCPを考えると頭が痛い状況だ。ただし、先述のOutlookの場合、Microsoft 365やMicrosoft Officeに内包されているClassic版はオフラインでも利用できる。しばらくは、Classic版を使って様子を見るというのが手っ取り早い解決策である。
いずれにせよ、インターネットというのは基本的にベストエフォート(最善の努力でサービスを提供するが稼働保証はないということ)であり、より平易な日本語で言えば「つながったらラッキー」というものであることが前提だ。
その意味では、常にバックアップのツールを用意しておくことも大事なのではないだろうか。例えば「Premiere ProがダメならDaVinci Resolveがあるさ」というのは極論だが、業務利用ではなかなか自由が利かないというのもあるだろう。
とはいえ、法人/個人を問わず、普段利用しているアプリやサービスが止まった場合を事前に相談/検討しておくにこしたことはなさそうだ。
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