マウスコンピューター「全モデル販売停止」の真相 軣社長が語った“想定外の受注急増”と“正直な決断”

» 2026年01月16日 13時00分 公開
[田中宏昌ITmedia]

 PC USERでは、大河原克行さんの連載「IT産業のトレンドリーダーに聞く!」で各社にインタビューを行っており、直近でマウスコンピューター 代表取締役社長の軣秀樹(とどろきひでき)さんにお話を伺った。

 その詳細は後日公開予定の連載をご覧いただくとして、2025年末から話題になった半導体を巡るPCの販売状況やアナウンスなどについて、気になる部分を先行してお届けしたい。

マウスコンピューター 軣 社長 PC なくなる前に買って メモリ 不足 価格高騰 マウスコンピューターの代表取締役社長 軣秀樹さんにインタビューを行った

社の歴史上初めて「全モデルの販売一時停止」という決断をした理由

 PC関連のスポット市場として価格や在庫に敏感な秋葉原では、2025年10月ぐらいからメモリが品薄となり価格も高騰が始まった。それはSSDやHDDグラフィックスカードなどに飛び火し現在も続いている。

 12月にはMicron Technologyの「Crucial」ブランドが「データセンター向けのメモリ/ストレージ製品の供給とサポートを改善するため」にコンシューマー向け製品事業を終息することを発表し、大いに話題を集めた。

 このような一連の流れを経て、12月16日にマウスコンピューターがXへの投稿自社ページでの告知を行い、「受注増加に伴う一部製品の販売停止・出荷遅延と価格改定」を明らかにした。

 関係者の間では「対応が早い!」「なんでマウスさんが先陣を切って?」といった声を多く耳にした。そのあたりの経緯を率直に軣さんに確認したところ、驚くべき実情が語られた。

 「まずは12月10日のXの投稿から始まりましたが、正直ここまでプラス方向(「PCを買うなら今です」というメッセージが拡散し、マウスコンピューター以外でもPCの受注が急増した)に働くとは全く思っていませんでした。背景としてはこの投稿以降、受注が過去最高の水準まで急増したことがあります。実は11月に受注が落ち込んだため生産調整を行っていたことも重なり、生産体制が追いつかず、大幅な納期遅延が発生しつつありました。

 この受注急増により納期が1カ月を超えてしまい、コールセンターも逼迫(ひっぱく)となったことを受けて、当社の歴史上初となる全モデルの販売一時停止という決断を下しました。これは、せっかく注文をいただいたのに1カ月以上もお待たせするわけにはいかないということと、製品の品質を落とすことは絶対に避けなければならないという私の強い思いもあります」(軣さん)

マウスコンピューター 軣 社長 PC なくなる前に買って メモリ 不足 価格高騰 マウスコンピューターの受注関連の情報については、同社Webサイトのトップページからもアクセスできる

 メーカーとしては、年末年始のセールなどでかき入れ時となるタイミングでの受注停止というのは極めて大きな判断だ。その後も、同社はWebページで頻繁に情報の更新を行っている。同時に、部材の価格高騰と継続する円安を受けて2026年1月以降に価格改定を実施する旨もアナウンス済みだ。

 これについて、軣さんは「お客さまへの透明性を重視し、『起きていることを正しく、正直に伝える』というのが絶対の方針としてあります。アナウンスもなく1月に価格を変更したら、お客さまにとっても失礼にあたりますので、今起きていることを正しく定期的に伝えていきましょう、と社内では話しています」と明かした。

 今後も部材の不足や価格高騰、円安による厳しい状況が続くと予測されているが、マウスコンピューターでは「他社の落ち込みをシェア拡大の好機と捉え、積極的な取り組みを行って今後もプラス成長を目指す」(軣さん)という。

 その具体的な戦略や打ち手については、後日公開予定のインタビュー記事で明らかになる。楽しみにしてほしい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月13日 更新
  1. 6500円でデスクに新風! Thermalrightの小型液晶がヒット、背景にメモリ高騰? (2026年02月09日)
  2. 手のひらサイズの小型PCがお得に! GEEKOMが「冬セール」を開催中 (2026年02月12日)
  3. ワコムが安い? 驚きの2025年を振り返り メモリ高騰におびえる2026年の「自作PC冬眠」と「次世代CPU」への期待 (2026年02月12日)
  4. カラー電子ペーパーで好きな画像を飾れる「SwitchBot AIアートキャンバス」が楽しい 13.3型の迫力と魅力 (2026年02月13日)
  5. キンタロー。も驚くほぼ「入力ゼロ」の“次世代”確定申告 2026年の弥生は3つのAI活用とデスクトップ製品強化を両輪に (2026年02月12日)
  6. PC値上げの波はVAIOにも? 糸岡社長が明かす「マウスエフェクト」への対応とブランド価値の向上 (2026年02月13日)
  7. 新ARグラス「XREAL 1S」を試す 解像度と輝度が向上、BOSEサウンドで没入感アップ “3D変換”も大きな魅力 (2026年02月10日)
  8. アイ・オー、拡張ドック機能を備えたType-C接続対応の27型4K液晶ディスプレイ (2026年02月12日)
  9. 元Appleのジョナサン・アイブが手掛けるフェラーリ初EVの内装デザイン公開 物理ボタンとデジタルの融合 (2026年02月10日)
  10. 「雲」から降りてきたAIは「パーソナル」な存在になれるのか――開催から1カ月経過した「CES 2026」を振り返る (2026年02月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年