「ハイブリッドAI」のプロデューサーへ 日本HPが描く2026年の「Future of Work」戦略とエコシステム そしてキーボード型PCも(1/5 ページ)

» 2026年01月23日 17時30分 公開
[佐藤文彦ITmedia]

 日本HPは1月22日、「2026年度日本HP事業説明会」を開催し、これからの事業方針や新製品の数々を公開した。

日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC 事業説明会で登壇したメンバー。左から同社執行役員カスタマーサポート統括本部統括本部長 室屋智子さん、同社執行役員パーソナルシステムズ事業本部事業本部長 松浦徹さん、日本HP代表取締役社長 岡戸伸樹さん、同社ワークフォースソリューション事業本部 セキュリティエバンジェリスト 木下和紀エドワルドさん

「Future of Work」戦略を支える「3つの柱」

 同社は、2026年も働く人々の生産性と創造性を高め、企業の変革、ウェルビーイングの向上を後押しする戦略「Future of Work」を進めるべく、さまざまな施策を行っていくという。

 同社が行った「2025 HP WRI調査」によると、ナレッジワーカーの83%が現在の業務ツールに満足できておらず、そのうち53%がよりよいツールを求めているという。自身の能力を発揮することが仕事のやりがいに貢献すると考えている人は30%で、これは世界で最も高い数字となる。

日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC 同社が行った調査(2025 HP WRI調査)では、ナレッジワーカー(知識労働者)の多くが現状のツールに満足していないという結果に

 これらの数字から、日本HPの岡戸社長は「日本のナレッジワーカーにとって、テクノロジーは単なるツールではなく、生産的で健全な職場環境を構築する重要な触媒である」と語り、Future of Work戦略として「働く人に、こだわる自由を」の実現を目指す。

 そんなFuture of Work戦略を推進するにあたり、2026年は「3つの柱」が軸となる。

 1つは、クラウドAIとローカルAIを組み合わせた「ハイブリッドAI」の推進だ。現状、多くのAI処理はクラウドで行われており、電力の逼迫(ひっぱく)、トークンコストの増大、セキュリティやプライバシー面での課題がある。これらをクリアするために推奨されるのがハイブリッドAIだ。

日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC 日本HP代表取締役社長 岡戸伸樹さん
日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC Future of Workの3本柱の1つハイブリッドAIの価値

 岡戸氏は「クラウドAIとローカルAIのいいところを組み合わせたハイブリッドAIこそが、将来のAIのあるべき姿だ」と説明する。クラウドAIは、世の中の膨大かつ最新の情報を、圧倒的なパワーで分析/推論/学習するのに長けており、幅広く活用できるのが利点となる。一方のローカルAIは、一度組み上げれば追加コストがほぼかからず、秘匿性の高いデータも、安心/安全に取り扱える。

 同社は、これまでもハイブリッドAIを提唱してきているが、「2026年はそれをようやく実現できると確信している」(岡戸さん)とのことだ。そして、ハイブリッドAIエコシステムを推進していく上でプロデューサー的な役割を担っていくという。

 現在、日本HPは「AIソリューションベンダー」「コンサルタント・有識者」「AIインテグレーター」「シリコンベンダー」「生成AIモデル提供企業」の5つのセグメントにおいて、パートナー企業と共にハイブリッドAIを推進している。今回の発表では、日本HPが旗振り役となり、新たに「HPハイブリッドAI推進コミッティ」を設立し、Copilot+ PCおよびAIワークステーション向けのエコシステムを構築していく新しい取り組みが紹介された。

 ハイブリッドAIを導入したいという企業向けに、ライセンスやコードの無償提供や研修プログラム、ハードウェア仕様のアドバイザリーサービスなどを含む、5つのプログラムを今春から始める。

日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC 同社が掲げるハイブリッドAIを推進すべく、プロデュースカンパニーとしてパートナーを取りまとめる
日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC 新たなエコシステムとして、「HPハイブリッドAI推進コミッティ」を設立し、ハイブリッドAIを推し進める

 これに先駆け、今回新たにAIスタートアップのUpstage AIとの戦略的アライアンスも発表した。Upstage AIのアプリ/ソフトウェアを、日本HPのAIワークステーションにバンドルした統合パッケージ「SolarBox」を今春から販売する。日本HPは、ハードウェアの提供だけでなく、アプリの構築支援やトレーニングなどまで一気通貫で提供する。

日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC Upstage AIと提携して統合パッケージ「SolarBox」を提供する

 Future of Workで2つ目の柱が「ハイブリッドワークの深化」だ。昨今はオフィス回帰の動きが強まり、これまで以上にどこでもネットワークに手軽につながることが重要になる。同社は既に「HP eSIM Connect」を提供しており、現時点での契約法人は3000社にも及ぶという。

 今回新たに「国際ローミング」「副回線キャリア」「MDMセキュリティ」をバンドルした「HP eSIM Connect PLUS」を提供し、さらに利便性の向上を図る。

 また、最も狙われやすいエンドポイントのセキュリティを向上させるため、HP Wolf Securityを全てのデバイス/ワークフローに組み込み、外部の脅威から企業を守る支援を行う。加えて、PCが壊れたら直すだけでなく、故障の予防検知をしてお知らせをする戦略的なサポートも強化していく。

日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC 「HP eSIM Connect PLUS」の概要

 3つ目の柱は「ものづくりDXの強化」だ。具体的な取り組みとして、建設業界のDXが紹介された。

 建設業界には、人手や後継者不足、資材の高騰、環境問題といったさまざまな課題がある。これらを解決するための1つの方法が、既にある建物など、既存のアセットを活用する方法だ。ただし、そのためには紙の図面をCAD化していく必要がある。

 現在はここに膨大な人手がかかっている状況だが、同社はAIのテクノロジーを使い、紙の図面をベクター変換する技術「HP AIベクタライゼーション」を開発し、これにより作図の工数を大幅に減らすことができるという。

 HP AIベクタライゼーションは現在はクラウドAIとなっているが、近い将来、同社のワークステーションで動くローカルAIになるとのことだ。

日本HP Future of Work HP ハイブリッドAI推進コミッティ AI PC OMEN キーボードPC 建設/建築業界のDXとして用意された「HP AIベクタライゼーション」

 また、「HP Build Workspace」というクラウドのプラットフォームにCADデータをアップロードすることで、設計から施工まで、一気通貫で情報管理/共有が行える。

 ローカルAIとクラウドAIを活用したハイブリッドAIの代表例といえる取り組みが、建設業界のDXにて行われている。

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