Microsoftは2026年1月28日(米国時間)、同社会計年度で2026年度第2四半期(2025年10〜12月期)決算を発表したが、この中で同社CEOのサティア・ナデラ氏は「Windows reached a big milestone: One billion Windows 11 users, up over 45% year-over-year.(Windows 11は10億ユーザーという大きなマイルストーンを達成し、前年比で45%の伸びとなっている)」とコメントしている。
結果としてWindows OEMの売上も5%レベルで伸長しており、その要因として挙げられているのが「Windows 10 EOS(End Of Support)に伴う(引き続きの)需要」と「メモリ価格高騰を見越した駆け込み需要」の2つだ。
この10億というマイルストーンの数字だが、[The Vergeのトム・ウォーレン氏によれば前世代のWindows 10よりも早いペースで達成しており、日数的には前世代の1706日より短い1576日としている。
4カ月ほど早いペースであり、諸処の事情が重なったとはいえ、Windows Mobile(Windows Phone)の戦略的失敗など出だしでつまずいたWindows 10のスタートに比べ、Windows 11はいくらか順調に推移しているといえるかもしれない。
一方で、「エージェントOS」の時代を見据えて動き始めているMicrosoftにとって、Windows 11の“次”をどのように進めていくかで混乱や苦悩といった状況も見えつつあり、Windows 10初期の頃に見られた厳しい状況が再現される可能性が出てきている。
現在、MicrosoftがWindowsで抱えている悩みは主に2つある。
1つは信頼性に関する問題だ。数が多いためここでは列挙しないが、2025年は特にWindows Updateに関する致命的なトラブルが多かった。「それ以前からそうだろ」と言われたら反論できないが、従来は大型アップデートのタイミングでのトラブル報告が多かったが、最近は毎月やってくる定例アップデートで起動不能になったり、特定のサービスが利用不可になるケースが見られた。
幸い、筆者の環境では一度も引っかかったことがないが、10億のユーザーが使うプラットフォームで仮に1%の割合で被害があったとしても1000万人は影響を受けることになる。その点は、幅広いハードウェアやプラットフォームをカバーしなければいけない巨大プラットフォームゆえの問題といえる。
ウォーレン氏が別のレポートで報告したところによれば、今MicrosoftではWindows 11が抱えるパフォーマンスや信頼性の問題に対して最優先で取りかかっており、ネガティブなフィードバックも含めてそれらを受け止める形で改良していくことを目指しているという。
この背景には、次に触れるようなユーザーの意図に反したような機能追加を優先するあまり、OS本来の機能性が損なわれているのではないかという懸念と、これらを踏まえてLinuxデスクトップが少しずつシェアを増やしているという話もあり、同社としてどこに力点を置くべきかという議論が社内で進んでいることがあると思われる。
悩みの2つめは、将来の方向性だ。「AI PC」を旗印に、その先端プラットフォームとして「Copilot+ PC」をアピールするMicrosoftだが、目玉機能とされた「リコール」はセキュリティ上の懸念からデフォルトの機能ではなく、オプトイン形式かつ利用条件がいくつか設定されている。
この他、Copilot機能のタスクバーへの統合やインボックスアプリへのCopilotボタン追加、さらには将来的なエージェントOSへの移行を見据えた機能改修など、Windowsを“AIネイティブ”にする拡張が表明されていたが、前述のように数多くのネガティブなフィードバックを受けた結果、今では優先順位を変更してパフォーマンスと信頼性の回復に注力している。
Windows Centralのザック・ボーデン氏が情報筋から伝えるところによれば、MicrosoftではAI戦略を“再評価(Re-evaluate)”しており、特定のAI機能について簡素化または無効化することを計画しているという。
詳細は不明だが、NotepadやPaintに搭載されたCopilotボタンのようなものが例に挙げられており、インボックスアプリ向けのCopilotボタンの開発は中止され、機能や配置場所の再検討が行われているようだ。
また、“いわく付き”となったリコール機能だが、同社では現在の実装を失敗と判断しており、機能そのものは廃止されないが別のコンセプトでの進化を検討しているという。その際、未確定ではあるもののリコールという名称も削除される可能性に触れている。
一方で、Windows上で各種AIモデルを動作させたり、AIエージェントを動作させる内部的な仕組みについては現状の計画が維持され、ユーザーが直接目にするUI/UXの見直しが進められていると考えていいだろう。
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