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「VAIO SX14-R」の“ふるさと”見学記 ノジマグループ参画後も進化が続く“物作り”(2/4 ページ)

» 2026年02月05日 18時30分 公開
[大河原克行ITmedia]

安曇野本社の生産工場は5ゾーン体制

 安曇野本社におけるVAIOの生産プロセスは、大きく分けると基板実装工程の「SMTゾーン」、接着加工工程の「ボンディングゾーン」、組み立て工程の「アセンブリゾーン」、検査工程の「インスペクションゾーン」、梱包(こんぽう)工程の「パッキングゾーン」の5つで構成されている。

 生産は基本的に「受注生産」となっており、数百万通りの組み合わせが可能だ。VAIO SX14-Rを例にとると、キーボードだけでも「日本語配列/かな文字あり」「日本語配列/かな文字なし」「日本語配列/隠し刻印」「米国英語(US)配列/通常刻印」「US配列/隠し刻印」の5種類のオプションがある。もちろん、CPUやメモリ、ストレージ、ディスプレイ、本体カラー、OS、アプリ、ラベルなど、さまざまな組み合わせが可能だ。

SMTゾーン SMTゾーンでは、基板を投入して「はんだ印刷」を行い、高速搭載機で部品を搭載し、209度に熱せられた「リフロー炉を経て基板を完成させる
すごく……小さいです SMTラインで実装される部品で一番小さいのは「0402(約0.4mm×0.2mm)」と呼ばれるサイズだ。拡大してみると、右にある米粒と比べても極端に小さいことが分かる
リール 小さな部品はリールとして実装機に搭載し、自動的に実装するようになっている
SMTゾーン SMTゾーンではメイン基板(マザーボード:左)の他、指紋センサーと一体型の電源ボタン(右)など、さまざまな計上の基板を作成している
ボンディング VAIOの特徴として、ボディーにおいて“接着”を多用し、デザインと剛性を両立している点が挙げられる。SX14-Rの場合、アルミニウムのパームレスト部に、キーボード関連のプラスチック部品を接着している。時間をかけて硬化する接着剤を使用しつつ、両面テープを併用することで剛性を高めている。ちなみに、本工程を担う「ボンディングゾーン」はBonding……ではなく、VAIOのVを用いた「Vonding」と表記される

数百万通りの組み合わせを確実に組み立てる工夫

 仕様が異なるPCを1台単位で生産できるのが本社工場の特徴であり、オーダーに合わせて正しく作り、納期通りに届ける体制を構築している。

 まず、オーダー情報を元に部品を発注する。部品は全てがバーコードで管理されており、「選択アシストシステム」によって倉庫内の棚でランプが点灯した部品をピックアップすれば良い仕組みだ。

アセンブリゾーン

 液晶パネルの取り付けでは「取付アシスト」により、画面サイズに合わせて取り付け位置を調整できるようになっている。さらに「Check作業アシスト」では、画像情報をもとに、正しい位置に正しい部品が取り付けられているか、正しいラベルが正しく貼られているかといったことを自動確認できる。

アセンブリゾーン 「アセンブリゾーン」の様子。組み立てラインは液晶ディスプレイ(天板)部分とパームレスト部分に分かれていて、それが途中で合流する仕組みとなっている
組み立てライン 天板部分の組み立てライン。まず天板の目視チェックを行い、圧着作業(オーナメントの取り付け)や各種ケーブルの取り回しまで行った所で、いったんカメラで撮影して検査を行う
検査結果 このように、検査結果はすぐに画面でチェックできる
液晶パネルの取り付け 液晶パネルとソフトベゼル、ヒンジなどの取り付け作業。途中からは液晶パネルを保護するためにカバーをして作業が進められる
完成 天板部が完成すると、パームレストの完成品と“合体”する工程に回される
パームレスト こちらは、パームレストの組み立てライン。キーボードやタッチパッドを専用の機械でパームレストに“圧着”していく
ファン 放熱用のファンを取り付けているところ
メインボード VAIO SX14-Rの基板はパームレスト側に実装される。基板のネジ止めを終えたら、SSDの取り付けを行っていく。SSDの容量は1台ごとに異なるので、間違えないように注意が必要だ。細かい部分はピンセットを使って取り付ける
おおむね完成 おおむね完成したパームレスト部
天板部とパームレスト部の合体 天板部とパームレスト部の“合体”は、専用の治具を利用して正しい位置に正しい順番でネジ止めしていく。天板部は作業者の前にぶらさげる形となる。底面カバーを取り付けると一応完成だ

 アセンブリゾーンでは、「内観画像検査システム」を用いて1台あたり43項目/110点を検査している。さらに、「外観画像検査システム」では1台あたり19項目/140点を検査する。ネジや接続箇所、部材の欠品、誤った部材、キーの印字、貼り付けるべきラベルなどを、自社開発システムと画像認識によって注文通りになっているかチェック可能だ。

 担当者によると、「随所で検査工程を取り入れることで、完成した時点では完全に正しい仕様で、正しく組み立てられている」という。「工程に関する全ての情報を可視化し、ダッシュボードに表示することで、データを元に気付きを得て、それを改善につなげるというサイクルを実現している」とのことだ。

 工場では、ラインの稼働状況、生産計画、ラインごとのQCD(品質/コスト/納期)管理、生産の進捗(しんちょく)状況、ラインの使用電力量などのデータを収集している。さらに、生産工程に設置した約300台のカメラを使用してライブ映像を収集し、録画もしている。

 これにより、製品に不具合が発生したり、作業者の組み立て方法に問題があったりする場合には、映像を元に改善を図ることができる。以前は、不具合が発生した際に仮説を元に想定される事象の検証を繰り返していたが、今は映像を利用することで解決に至る時間が大幅に短縮されたという。

アセンブリ アセンブリゾーンを含めて、生産ラインには約300台のカメラを設置している

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