国産でもUSキーボードがいい! そんな人にお勧めしたいモバイルノートPC「VAIO SX14-R」(1/3 ページ)

» 2025年03月07日 12時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 PC用キーボードの配列は、大きく分けると「米国英語(US)」「ヨーロッパ」「日本語」の3種類がある。グローバルで事業を展開するメーカーの場合、国や地域によってこれら3種類のキーボードを使い分けて製品を投入している。

 一方、日本のPCメーカーは、基本的に日本では日本語キーボードのモデルしか販売しないことが多い。一部の海外販売しているメーカーは、海外販売するモデルにUSキーボード構成を用意しているにも関わらず(参考記事)、日本では販売してくれない。

 そんな中、VAIOはUSキーボード構成のノートPCを取りそろえている。VAIOストア/ソニーストアにおけるカスタマイズ(CTO)可能なハイエンドモデル限定ではあるが、「国内メーカーでもUSキーボードがいい!」という人にとっての貴重な選択肢である。

 同社が2024年11月に発売した最新モバイルノートPC「VAIO SX14-R」も、USキーボードを選べる1台だ。今回は、同モデルで新たに採用された「ディープエメラルド」カラーのUSキーボード構成を借りて、快適さをチェックしていきたい。

USキーボード構成のVAIO SX14-R VAIO SX14-RはVAIOストア/ソニーストアのCTOオプションでUSキーボードを選択できる。新色のエメラルドグリーンとUSキーボードの組み合わせは、試す前から“アガる”。最小構成のVAIOストア/ソニーストア価格は25万9800円だが、USキーボードを選択すると5000円増しとなる

配列にクセのないUSキーボード タッチパッドとのバランスの良さも

 筆者は仕事柄いろいろなPCを使っているのだが、プライベートで使うノートPCは極力US配列でそろえている。先述の通りグローバルメーカーも日本では日本語キーボードを搭載するノートPCを販売しているのだが、どうもタッチパッドとその上部にあるキーの“バランス”が気になってしまう。最近のモデルではEnterキー周辺の造形も納得が行かない

 日本メーカーの日本語キーボードであれば、筆者の覚える違和感の大部分は解消される。それでも、タッチパッドとその上部にあるキーの“バランス”が絶妙なモデルは限られる。

 仕事柄というのもあって、筆者はノートPCで一番重要なパーツはキーボードだと考えている。余計なことを考えずに済むにはどうしたらいいか考えた結果、たどり着いたのがグローバルなら一番台数も多く出て、タッチパッドと上部のキーとのバランスも比較的取れているUSキーボードを備えるノートPCを買うという選択肢だ。

キーボード 筆者がなるべくUSキーボードを備えるノートPCを買い始めたのは、記憶が確かなら20年ほど前からだ。デスクトップ用のキーボードはしばらく日本語配列のものを買っていたのだが、気が付いたらUS配列を優先して買うようになっていた。慣れとは恐ろしいものだが、最近買ったデスクトップ用キーボードは日本語配列である

 このような考え方を持つ筆者からすると、VAIO SX14-RのUSキーボードは良い感じだ。タッチパッドと上部のキー(左右のAltキーとスペースキー)のバランスも良好で、Enterキー周辺部の造形もバッチリだ。キーストロークは公称で約1.5mmだが、きちんとチューニングされていることもあってしっかりと“押し込める”。

 本モデルのキーボードには新たに「Copilotキー」を搭載している。また、オンライン会議に関するWebカメラ/オーディオ設定を一括して行える「VAIO オンライン会話設定」を一発起動するためのショートカットキーも備えている。

USキーボード VAIO SX 14-RのUSキーボードは、キーの配列はもちろん形状にもくせがなく、押し心地も良好だ
Copilotキー 最近のWindowsノートPCということもあり、キーボードにはCopilotキーも備えている
ショートカットキー 新設された「VAIO オンライン会話設定」の起動ショートカットキー。ビデオ(Web)会議中はいつでも呼び出せる

Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)搭載 独自技術で高パフォーマンス

 VAIO SX14-Rは、Intelの「Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)」のHシリーズ(開発コード名:Meteor Lake-H)を搭載している。

 Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)は、Intel初の「NPU(Neural Processing Unit)」を統合したCPUだ。NPUはAI(人工知能)でよく使われる推論演算に特化した演算器で、アプリ側の対応も必要となるが、従来はCPU/GPUが行っていた推論演算を高効率かつ高速にオフロードできることがメリットだ。

 AIアプリにおけるNPU利用は徐々に進んでいる。アプリを動かす基盤となるWindows 11でも、「Windows Studio Effects」でNPUを活用している。先述したVAIO オンライン会話設定は、このWindows Studio Effectsをより快適に使うための機能でもあり、より快適なビデオ会議を実現できる。

 今回レビューする機材は、Core Ultra 7 155Hを搭載している。CPUコアはパフォーマンスコア(Pコア)が6基12スレッド、高効率コアが8基8スレッド、低電力Eコアが2基2スレッドの合計16基22スレッド構成だ。

 GPUコアはXe-LPGアーキテクチャベースの「Intel Arc Graphics」を8基備える。本GPUはハードウェアベースのレイトレーシング(RT)処理に対応している他、AIベースの超解像技術「Xe Super Sampling(XeSS)」も利用可能だ。

 今でこそCore Ultra 7 155Hは“1世代前”となってしまったが、ノートPC向けCPUとしては上位のパフォーマンスを備えている。CPUやGPUを酷使するような使い方をすると発熱は大きくなり、自身を保護するために性能を抑制する「サーマルスロットリング」が発動する可能性が高まる。

 その点、VAIO SX14-Rでは同社の独自技術「VAIO TruePerformance」を適用することでピーク性能を極力長く持続できるようになっている。後述するが、特にGPU関連のベンチマークテストではその効果は“てきめん”だ。

CPU-Z 「CPU-Z」で確認したCPU情報
GPU-Z 「GPU-Z」で確認したGPU情報

 メモリはLPDDR5X規格で、CTOモデルでは容量を16GB/32GB/64GBから選べる。今回のレビュー機は最小の16GB構成だが、“最小”でも16GBとなったのは時代の流れを感じるところでもある。

 ストレージはPCI Express 4.0接続の自己暗号化(OPAL)対応SSDで、CTOモデルでは容量を256GB/512GB/1TB/2TBのいずれかから選べる。256GB以外はより高速な「ハイスピードSSD」となっており、今回のレビュー機は512GBのハイスピードSSDを搭載していた。

MZVL2512HDJD-00B07 「CrystalDiskInfo 9.6.2」でレビュー機に搭載されていた512GBのハイスピードSSDの情報を調べたところ、Samsung Electronics製の「PM9A1」の512GBモデル(MZVL2512HDJD-00B07)が搭載されていた。ゲーミングPCにも使われることがある高速モジュールで、公称のシーケンシャルリードは毎秒6900MB、シーケンシャルライトは毎秒4900秒というスペックとなっている
CrystalDiskMark 「CrystalDiskMark 8.0.6」で読み書きのテストをしてみたところ、おおむねスペック通りの性能を発揮できていた
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー