―― 一方でPCを取り巻く環境を見ると、力強い成長が期待できないフェーズに入ってきています。
大野 2025年の国内PC市場を振り返ると、Windows 10のEOSに伴う買い替え需要が集中したこと、教育分野向けのGIGAスクール構想第二期による特需も加わり、過去最大の出荷台数になりました。
しかし、2026年はこの反動があるため、マイナス成長になるのは明らかです。一方で、新たな市場の創出にも期待が集まっています。それがAI PCです。インテルでは、NPUを搭載したPCをAI PCと定義していますが、国内市場においては、2024年には29%だったAI PCの構成比が2025年には37%にまで到達し、3台に1台がAI PCになっています。
また、2026年には過半数を突破し、2台に1台がAI PCになると予測しています。ただ、今の状況を鑑みると、AI PCを選択する理由として性能が高いPCとして認識されていたり、NPUを使用することでバッテリー駆動時間が長かったりといった点などが評価されています。つまり、AI関連の機能を使うためにAI PCを購入しているという状況になっていないことが反省点だといえます。
それでも、裏返せばAIのユースケースを広げていくことで、新たな需要を喚起できるともいえます。新しいものが登場したときには、鶏と卵のような関係があります。出荷台数が増えれば、それに対応したアプリケーションが増えますし、アプリケーションが増えないと出荷台数が増えないという実態もあります。
まずは、AI PCを多くの人が持つようにすることが大切です。この動きが加速すればAI PCで動作するアプリケーションを開発する人たちが増えるようになります。今はAI PC本来の使い方がされていなくても、出荷台数の過半数がAI PCになることで、AI PCを取り巻く状況は大きく変化すると期待しています。
―― 日本におけるAI PCの立ち上げは成功しているのでしょうか。
大野 2025年の最優先事項の1つであったAI PCの立ち上げについては、しっかりと取り組むことができた1年だったといえます。最初は少しスローペースなところもありましたが、3台に1台というところまで到達しましたから、目標としていた水準には達しています。
先に触れましたが、やはりAI PCならではのアプリケーションを増やしていかなくてはなりません。そのための取り組みの1つとして、インテルでは国内AI PC向けソリューションの開発を支援する「PEAR Experience by Intel」をスタートしました。
PEARは、PC/Edge/AI/Revolutionの頭文字を取ったもので、ハッカソンのような形で新たなAI PC向けアプリの開発に取り組む仕掛けです。2025年11月に開催した初回のAIアプリ開発ワークショップではさまざまな関係企業が参加し、OpenVINOやPythonなどを利用して、AIアプリの開発に挑みました。非常に評判がよく、今後も裾野を広げながら継続的に進めていきたいですね。
実は、社内でもAIアプリを作ってみました。スマホで撮影した動画から、ゴルフスイングの姿勢をAIが解析して骨格がどう変化しているのか、あるいはクラブはどう動いているのかといった軌跡を追い、それをプロゴルファーのスイングと比較して指標化し、アドバイスをくれるというものです。
私がやってみたら100点満点中23点という厳しいスコアだったのですが(笑)、AI PCの性能であれば、これらの解析を全てローカルのPCで行うことができます。さらに聞きたいことがあれば、チャットボットに質問するだけでクラウドに接続せずに回答してくれます。通信環境が安定していない場所でも利用でき、その場で分析して、自分のスイングにすぐに反映させることもできます。屋内シミュレーションゴルフなどでも活用できるかもしれないですね。
また、自分のゴルフスイングの動画をクラウドにアップしたくないという人もいるかもしれません。そういった場合にもローカルで動くメリットがあります。社内会議の内容を翻訳したり、議事録にしたりといった業務利用の場合はなおさらで、クラウドにデータを上げずにローカルで処理したいというニーズは高いといえます。
もう1つ、重要なポイントがあります。それは、このアプリを社員1人で4日間で作ったという点です。その背景には、モデルをオープンソースで入手できる状態になっていることや、クラウド上でスイング解析の画像学習を簡単に行える仕組みが用意されていることが挙げられます。
誰でも簡単に、AIアプリを開発できる環境が既にそろっているのです。このような訴求もしていきたいですね。PEAR Experience by Intelの活動などを通じて、AIアプリが簡単に開発できることもますます訴求をしていきます。
インテルの立場からすると、2026年は日本の企業が開発したAI PC向けアプリケーションを数多く紹介したいと考えています。
インテルが国内でPanther Lakeの概要を改めて発表 Intel 18Aプロセスの量産開始をアピール
Intelラウンジに見た「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」活用術
Intelの最新プロセス「Intel 18A」が量産開始 新しいAIソリューションに注力
Eコア最大288基の「Xeon 6+」(Clearwater Forest)が2026年前半に登場 Intel 18Aプロセス採用で電力効率をアップ
デスクトップワークステーション向け「Xeon 600プロセッサ」登場 全てPコアで高負荷処理を高効率でこなすCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.