―― その点では、どんな取り組みを進めますか。
大野 AIエージェントやヒューマノイドロボットでのAI活用といった点に注目が集まる中で、インテルは既にエージェント型AIソリューションやAIロボティクス向けのリファレンスデザインを発表しています。
日本は産業用ロボットが世界をリードしていますが、産業用ロボットとAIロボティクスとは似て非なるものだと捉えています。産業用ロボットは、高い正確性や精密な動作が求められ既に商用化ベースに乗っていますが、AIロボティクスは、現時点ではなかなか商用ベースには乗らないという状況にあります。人に危害を与えないロボットが担保できるのか、AI倫理や機能安全を確立できるのかといった点が課題です。
ただ、こうしたところに日本は強みを発揮できるといえますし、インテルもその点を支援していきたいと考えています。
これからの時代は、AIが中心になることは間違いありません。しかし、AI時代はチャンスとリスクが隣り合わせになった不確実な時代であるともいえます。企業や個人がAIをどう生かすかがポイントになり、それによって世の中は大きな影響を受けます。
先日、興味深いデータが発表されました。米国でのAIエンジニアに関する雇用データですが、2022年10月を起点にしたときに、2025年7月の雇用機会が大きく変化しているのです。これによると、米国では、22〜25歳の若いソフトウェアエンジニアの雇用が2割減少している一方で、40〜49歳の経験が豊富なエンジニアの雇用は約2割も増加しているのです。
実際にシリコンバレーで話を聞くと、大学を卒業してAIエンジニアになろうとした若者の3割が無職状態になっているというのです。
ここで指摘されているのは、AIがAIエンジニアの仕事を奪っているということでした。簡単なAIプログラミングはAIに任せた方が速く、生産効率が高い。しかし、AIで全てが補えるかというと、AIがプログラミングできる領域は、まだ15〜20%程度の範囲と言われています。
8割の部分は人手でやるとなると、そこには経験を持った人が適しているという判断が行われ、ベテランの雇用機会の増加につながっているというのです。わずか数年前には、数千万円を払ってでもピカピカのAIエンジニアを獲得する動きがあったのですが、それが一変しています。
AIが驚くべき進化を遂げていることで、雇用に対しても影響を及ぼしています。しかし、これがさらに進展するとどうなるでしょうか。企業の経営者は、若いAIエンジニアに高いコストを払わなくて済むと今は大歓迎していますが、次にAIが狙うのは、経営者の仕事だと言われています。
つまり、AIの進化で喜んでいる人たちが、今度はAIによって雇用機会を失うという可能性もあるわけです。AIの進化がおよぼす影響は、これまでの経験では判断できないほどの不確実なものです。AI時代を生き抜くためには私たちがAIを理解し、その影響を予測することが、より大切になってきます。2026年は、そうしたことを実感する1年になると思っています。
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