ハイブリッドワークの定着により、オフィスに限らず自宅やカフェ、屋外など、場所を問わずオンライン会議に参加するスタイルが一般化した。会議の録音や録画が容易になったことで、その音声を活用した生成AIによる議事録作成も、今や新たなスタンダードとして定着しつつある。
しかし、周囲の騒音や第三者の話し声が混入すれば、通話相手に声が届きにくくなるだけでなく、AIによる議事録の精度も著しく低下する。かといって、常用するイヤフォンとは別に、会議専用のブームマイク付きヘッドセットを常に携行するのは、極めて煩わしい。
そのような“音”にまつわる課題を解消し、作業効率を高め、オン・オフ問わず活躍してくれそうなのが、Jabraの「Evolve3 85」だ。実機を試用する機会を得たので、その使い勝手を紹介しよう。
Evolve3 85は、最新のデジタルチップセットとハイブリッド式アクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載した、オーバーイヤー型のビジネスヘッドセットだ。本来は法人向け製品だが、公式オンラインストアを通じて一般ユーザーも購入可能で、価格は7万1280円(税込)となっている。
パッケージに含まれるもの。左から時計回りに専用キャリーケース、本体、ワイヤレス充電パッド(オプション品)、USB Type-Cケーブル、3.5mmジャックケーブル。なお、レビュー用評価機のため、実際は異なる場合がある主なスペックは以下の通りだ。
左のイヤーカップには、電源オン/オフ/Bluetoothペアリング、ANC/ヒアスルー切り替えスイッチ、USB Type-C充電用ポート、3.5mmオーディオジャックがある。
右のイヤーカップにはマイクミュート/ミュート解除切り替え/音声アシスタント、音量アップ/次のトラックへ移動、通話と音楽コントロール、音量ダウン/前のトラックへ移動ボタンを搭載する。
右のイヤーカップにはコントロールの大半を搭載している。左からマイクミュート/ミュート解除切り替え/音声アシスタントボタン(長押し)、音量アップ/次のトラックへ移動ボタン、通話と音楽コントロールボタン、音量ダウン/前のトラックへ移動ボタンヘッドバンドは、スムーズに長さを調整できる。
電源は交換可能なリチウムイオンバッテリーで、USB Type-C充電の他、オプションのワイヤレス充電パッド(5500円)にも対応する。連続再生時間はANCオフで最長120時間と驚異的だ。フル充電には3時間を要するが、わずか10分間の急速充電で最大10時間の音楽再生が可能な点は、多忙なビジネスパーソンにとって心強い。
接続はBluetooth 5.3に加え、3.5mm有線接続もサポートする。最大8台のペアリング記憶と2台の同時接続(マルチポイント)に対応し、デバイス間のスムーズな切り替えが可能だ。Androidユーザーなら「Fast Pair」により、初期設定も一瞬で完了する。
BluetoothのプロファイルはA2DP v1.4、AVRCP v1.6、HSP v1.2、HFP v1.9、SPP v1.2に加え、次世代規格であるLE AudioのPBP V1.0およびTMAPまでサポートしている。対応OSもWindows、macOSから、最新のiOS 18やAndroid 15以降にも対応し、現行のビジネス環境に最適化されている。
旧シリーズからの最大の変更点は、ブームマイクの撤廃だ。マイク数は10基から6基へと減少したが、6000万もの音声データで学習したAI技術「Jabra ClearVoice」がそれを補う。周囲の騒音からユーザーの声のみを精緻に分離・抽出するため、口元のマイクがなくとも極めてクリアな通話が可能になった。
また、全体的に軽量かつスリムになったことも見逃せない。また、シルエットの美しさも特筆すべき点だ。旧世代のオンイヤー型「Evolve2 75」と比較してもその差は歴然だ。重量は約212.5gとわずかに増したが、その佇まいは洗練の極みにある。
ブームマイクがなくなったことで、“業務用然”とした雰囲気がほぼなくなった。さらにスリム化したおかげで、見ただけでは音楽再生用ヘッドフォンと変わりがない。これまで業務用とプライベート用2台持ちしていた人にとって、この1台で済むのはありがたいことだろう。
オンラインミーティングでの議事録作成だけでなく、生成AI時代に求められる「高精度な音声入力デバイス」としても、Evolve3 85は機能する。本機は任意の生成AIアシスタントとシームレスに連携し、音声操作によるハンズフリーでの作業をサポートする。
マイクの質が悪いと、AIがうまく聞き取れず、音声プロンプトを何度も入力し直す手間が生じがちだが、Evolve3 85では9割以上の単語を正確に認識するという。音声入力はキーボードを使った場合と比べ、約3倍のスピードで行えるので、業務効率を高められるだろう。
では、実際に使ってみよう。
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