2021年公開の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」で、庵野秀明監督は全てのエヴァンゲリオンに別れを告げた。しかし、記念フェス「EVANGELION:30+;」では、ダブル・アスカ・ラングレーが主役の短編アニメーションが披露され、さらに完全新作シリーズの制作までもが発表された。
シリーズ誕生30周年を迎えた2026年は、エヴァンゲリオンを愛した全てのファンにとって特別な年になりそうだ。
そんな“エヴァ熱”がファンの中で再上昇する中、ゲーミングブランドのRazerがアジア太平洋地域限定で「EVANGELION エヴァ2号機コレクション」を展開している。今回はそれぞれを試用する機会を得たので、実機レビューをお届けしよう。
1995年のTV放送で始まった「新世紀エヴァンゲリオン」。筆者は当時、リアルタイムで視聴していなかったのだが、大枠のストーリー展開は耳にしていた。
当時、一回限りの敵が毎回登場する「マジンガーZ」のような古典的ロボットアニメは、同じデザインのモビルスーツが大量に登場する「機動戦士ガンダム」の登場によって時代遅れになったと思っていた。しかし、リアルタイムに視聴していた同僚たちは「エヴァンゲリオンは再び以前の路線に戻っている」と話していた。
機械獣は使徒、博士は若い女性、バリヤはATフィールドに変わってはいるが、それはつまり「原点回帰しつつも、現代風(といっても30年前だが)なアレンジが好評を博しているらしい」ということで、当時はそんな認識だった。
だが、同僚もいつしかエヴァンゲリオンの話題を出さなくなり、情報源がなくなった筆者は、同じような展開が続いて完結したものとばかり思っていた。
それからしばらくして、レンタルDVDであらためて全話を視聴する機会があり、実際に視聴してみると自分の想像していたものと全く違っている内容に驚いた。次回予告で「サービスサービス」と能天気に言っていたミサトさんが最終回まで続くと思っていたのだから、自分の方がはるかに能天気だった。
大学時代に「ふしぎの海のナディア」が好きだった筆者にとっては、なんだか妙に同じツボを刺激された感覚だったことを覚えている。後から思えば「そりゃあそうでしょうよ」という話なのだが。
その後、2007年に「エヴァンゲリヲン新劇場版:序」が公開され、元同僚と一緒に観に行った。その元同僚とはそれ以降、3回しか会っていない。破、急、シン・エヴァンゲリオン劇場版公開のときだ。
既にお互い還暦に近い歳になっているわけだが、エヴァンゲリオンだけで人生の半分つながっている関係というのも面白い。考察もはかどるエヴァ世界だが、それだけ長い期間接していると、キャラクターへの思い入れも人生経験と共に変わってくる。
アスカの傲慢(ごうまん)な態度をかわいいと思えるようになったのは、ずいぶんたってからだったし、物語に翻弄(ほんろう)されつつも力強さを兼ね備えた新劇場版での姿に、自分よりも成長したような感慨を覚えたのも自身の人生とシンクロしているような気さえする。
このタイミングでRazerがアスカの機体であるEVA-02をモチーフとしたコレクションを発表し、そしてそれをレビューする機会に恵まれたことには感謝しかない。
今回レビューするのは、マウスのフラグシップ「Viper V3 Pro」(3万2450円)を筆頭に、キーボード「BlackWidow V4 TKL HyperSpeed」(3万4880円)、マウスパッド「Gigantus V2 XXL」(7290円)、ヘッドセット「Kraken V4」(3万4980円)の4モデルだ。
いずれも通常版と比較して2300円から1万円程度のプレミアムが設定されている。また、当コレクションにはゲーミングチェア「Iskur V2 X」もラインアップに含まれており、こちらは2026年5月に6万9960円での発売を予定している。
全製品に共通して最初に気付くのは、Razerロゴの色だ。通常、Razerロゴは同社の象徴でもある鮮やかなグリーン(公式PANTONEカラー「802Cグリーン」)だが、今回のコレクションではオレンジに変更されている。
Razerがブランドアイコンのカラーそのものを変えるのは極めて珍しいことだ。深紅を基調に、オレンジとゴールドが差し色として入るEVA-02のカラーパレットにグリーンを合わせることは確かに難しいだろう。だが、テスト用プラグスーツを思わせるRazerロゴカラーは最初からそこにあったかのように、自然にぴったりとマッチしている。Razerの英断に拍手を送りたいところだ。
マウスのプラスチック、キーボードのアルミ合金のトッププレート、マウスパッドのマイクロウィーブクロス、ヘッドセットのファブリックと合皮のハイブリッド──素材が全く異なる4製品ではあるが、EVA-02コレクションとして並べると不思議と統一感のあるコレクションになっている。
EVA2のロゴとオレンジのRazerロゴ、そしてハザードストライプ(工業製品や危険区域に用いられる黄黒の警戒色)といったモチーフの共通項はあるものの、素材の違いが各製品の個性を発揮しつつ、エヴァ世界、そしてEVA-02の「大胆で戦闘的なアイデンティティー」を表現している。これは思いのほか、高度なコラボ設計ではないだろうか。
Razer BlackWidow V4 TKL HyperSpeed(以下、BlackWidow)は、メカニカルスイッチ搭載のテンキーレスワイヤレスキーボードだ。レイアウトは英語配列のみとなる。HyperSpeed 2.4GHz/Bluetooth(最大3台)/USB有線のトライモード接続に対応し、RGBオフ時のバッテリーは最大980時間だ。
アルミ合金トッププレートとホットスワップに対応した、ゲーム/ビジネスどちらの用途にも応えられる一台となっている。
BlackWidowに採用されている第3世代のRazerオレンジタクタイルスイッチは、メカニカルスイッチとしては比較的静かで、いわゆるコトコト系の音だ。
タクタイルバンプを過ぎると、すっと吸い付くように指が沈んでいく感覚があり、長時間の文章入力にも十分に耐えうる。むしろ次のキーを打ちたくなるような中毒性のあるフィーリングで、ゲーム用途に限らず、ビジネス現場での日常的な文書作成にも違和感なく使える。ホットスワップにも対応しており、3ピン/5ピンのMX互換スイッチに換装が可能だ。
EVANGELION(EVA-2)EDITIONでは、トッププレートが赤になり、全面にわたって特徴的なハニカム模様が刻まれている。
これはEVA-02というよりは、NERV本部のディスプレイ表示のオマージュだろうか。右上のマルチファンクションローラーとその隣の3ボタンはヘビーデューティー・インダストリアルなデザインだが、これ自体はベースモデルから変更はない。しかし、まるで狙ったかのように全体のデザインに自然に溶け込んでいる。
キーキャップはシャインスルー(光透過)のダブルショットABSだ。「O」や「#」のような閉じた形の文字において、内側の島(カウンター)が細いブリッジで外枠につながるステンシル方式ではなく、完全に分離した状態で成形されるフローティングアイランド方式が採用されている。
高度な加工だと思われるが、これは成形収縮率の低いABS素材だから実現できたのかもしれない。
英記号レジェンドの下にはエヴァのマティス体によるキーワードやイラストが特殊キー中心にプリントされている。CapsLockキーには「第3新東京市」、Enterキーには「作戦開始」、BackSpaceキーには「PILOT: ASUKA」、Ctrlキーは「機密」と「緊急」、そしてTabキーとCapsキーにまたがって2号機の線画が印刷されている。
ただ、こちらは線が細いためにパッと見て何なのか分かりづらく、何度も細い糸くずが付着しているように誤認してしまった。機能とは全く無関係の印字は好みが分かれるだろうが、トッププレートがおとなしい分、「キーキャップで弾けたなあ」という印象だ。
BlackWidowはハードウェア構成ツールの「Razer SYNAPSE 4」を使えば、キーのリマップやマクロ設定も行える。ライティングはCHROMA STUDIOでキー単位のカスタマイズが可能だ。
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