外観チェックはこれくらいにして、各種ベンチマークテストを通して本製品の実力を詳しくチェックしてみよう。
ボディーサイズに起因するTGPの115W設定が、パフォーマンスにどのような影響を及ぼすかは興味深いポイントだ。今回は、手元にあるモバイルワークステーション「ThinkPad P14s Gen6 AMD」を比較対象として用意した。それぞれの構成は以下の通りとなる。
まず、3Dレンダリングを通じてプロセッサとグラフィックスの地力を測定する「CINEBENCH 2026」の結果を見ていこう。
比較用のThinkPad P14sは、外付けGPUとの連携を想定した導入したモバイルワークステーションだ。PCの本体価格こそ差があるものの、外付けGPUボックスやRadeon RX 9070の導入コスト、そして設置スペースの制約を考慮すると、単体でこれだけの性能を発揮し、かつ持ち運び可能なTUF Gaming A14(2026)の費用対効果は極めて高いといえる。
Ryzen AI 7 PRO 350(8コア16スレッド)もモバイル機としては十分強力だが、Ryzen AI 9 465(10コア20スレッド)のマルチスレッド性能はその約2.6倍に達する。世代とセグメントの差を如実に示す、圧巻の結果だ。
ゲームプレイに直結するシングルコア性能においても、平均約1.27倍という着実な向上を確認できた。
注目すべきはGPU性能だ。電力が115Wに制限されているにもかかわらず、外付け構成のRadeon RX 9070に肉薄、あるいはしのぐスコアを記録した。Blackwell世代のアーキテクチャがいかに効率的であるかを裏付ける結果といえる。
ただし、先述した通り本機はメモリの換装ができない。購入時には、このパフォーマンスを将来にわたって生かせる容量であることを改めて確認しておきたい。
続いて、3Dグラフィックス性能をテストする「3DMark」の結果を確認していこう。
3DMarkの結果は、先のCINEBENCHとは対照的に、両機の特性を分ける興味深い差異が現れた。考察の前提として、両GPUの主要スペックを整理しておく。
今回ベンチマークテストを実施したGPUについて、それぞれ下記のスペック差が生じている。
| GPU | グラフィックスメモリ | バス幅・帯域 |
|---|---|---|
| GeForce RTX 5060 Laptop | 8GB GDDR7 | 128bit・毎秒約448GB |
| AMD Radeon RX 9070 | 16GB GDDR6 | 256bit・毎秒約640GB |
Fire Strikeの結果に注目すると、フルHD描画では約1.1倍にとどまっていた差が、4K描画では約1.85倍へと大きく拡大した。これは、高解像度テクスチャやフレームバッファの保持に膨大なグラフィックスメモリを要求する、高負荷環境ゆえの挙動だ。
Fire Strike Ultraの実測値では6〜7GB程度のグラフィックスメモリを消費するが、8GBを搭載するRTX 5060 Laptop GPUはスワップやストリーミング処理の発生により、効率を落としやすい「境界線」に位置する。対して16GBの大容量を備えるRadeon RX 9070は、全アセットをオンメモリで保持できるため、解像度が上がるほどその優位性がスコアに反映された形だ。
Time Spyの結果も見てみると、4K描画のテストではFire Strikeと同じく、Radeon RX 9070と大差をつけているが、WQHD描画ではほぼ同じ値に収まった。
WQHD(2560×1440ピクセル)環境ではグラフィックスメモリ消費が3〜4GB程度に抑えられるため、容量の差は顕在化しにくい。一方で、USB4経由の外付けGPU接続となっているThinkPad側は、PCI Express 3.0 x4相当の帯域制限がボトルネックとなり、GPU本来のパワーがスポイルされた結果、単体構成のA14に追い付かれたと考えられる。
高負荷時の絶対性能では一歩譲る場面もあるが、A14の真価はこれだけのスコアを「単体」かつ「モバイル環境」で実現した点だ。外付けGPUのような複雑な接続を介さない高い安定性と可搬性は、実用面において何物にも代えがたいアドバンテージだ。
続いてAAA級タイトルをプレイした際の快適さについて、「モンスターハンターワイルズ」のベンチマークテストを通して詳しくチェックしていこう。結果は以下の通りだ。
なお、今回のテストではWUXGA(1920×1200ピクセル)、グラフィックスプリセットはウルトラ、フレーム生成オンで設定している。
3DMarkの結果では、ThinkPad P14s Gen6 AMDの方に軍配が上がっていたが、モンスターハンターワイルズベンチマークではこれが逆転している。
このスコアの逆転は、ゲームエンジンの特性とハードウェアの構成差が複雑に絡み合った結果といえる。
第一の要因は「DLSS 4.5」によるフレーム生成の恩恵だ。本作はNVIDIAのAIアップスケーリングに最適化されており、AIによる補完が実効フレームレートを劇的に引き上げている。対するRadeon側のFSR Redstoneも強力な技術ではあるが、現時点での実装効率とアルゴリズムの成熟度においてDLSS 4.5に軍配が上がり、それが如実にスコア差として現れた。
第二の要因は、CPUおよびメモリ帯域の差だ。広大なフィールドで複雑な物理演算とAI処理を並行する本作は、CPU負荷が極めて高い。特にフレーム生成を有効にする場合、CPU側でベースフレームを安定して供給する処理能力が不可欠であり、ここでRyzen AI 9 465の圧倒的なマルチスレッド性能が生かされた格好だ。
メモリは容量よりも「帯域」がボトルネックとなった。ThinkPadの96GBという大容量はクリエイティブ用途には有利だが、ゲームでのアセットストリーミングにおいてはLPDDR5X-7500(毎秒約120GB)を備えるA14が、DDR5-5600(毎秒約89.6GB)のThinkPadを圧倒した。この約1.34倍に及ぶ帯域の差が、高解像度テクスチャの処理能力に直結したといえる。
加えて、USB4経由の外付けGPU接続に伴うオーバーヘッドも見逃せない。PCIe直結に比べて発生する通信レイテンシは、フレーム生成のようなシビアな処理において明確なディスアドバンテージとなる。この点、全てを内部バスで完結させるA14のパッケージングが勝利したといえる。
以上の複合的な要因により、合成ベンチマークでは劣勢だったA14が、実ゲームにおいては「極めて快適」という評価を勝ち取る結果となった。これはGPU単体の性能以上にCPUとメモリ、そしてAI技術の統合的なバランスがいかに重要であるかを示す、非常に示唆に富む結果である。
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