Meta AIはカメラと並び、本機のもう1つの軸となる機能だ。
ただし執筆時点では、グローバルで展開されているフル機能を日本で利用できるわけではない。例えば、ライブ翻訳は今のところ日本では利用できない。これについては、6月に日本語を含む20カ国語の翻訳に対応するとのことだ。
そのMeta AIは、「Hey Meta」のウェイクワード、もしくは右テンプルの長押しで起動する。一般的なAIサービスと同様に、いろいろなことを相談したり、質問したりできる他、カメラを搭載しているので「Hey Meta、これは何?」と目の前のものについて質問したり、「この文字を日本語に翻訳して」と依頼したりできる。
しかしながら翻訳に関しては、1文ずつ翻訳してくれるのではなく、ざっくりと何が書かれているのかを要約して説明する傾向があるように感じた。海外で看板を読んだり飲食店でメニューを確認したりする程度なら問題ないだろうが、仕事の書類を読むようなシーンで利用するのは難しそうだ。
応答速度は良好で、あまり待たされる感覚はない。スマートフォンでGeminiやChatGPTを音声入力で使うのとほとんど変わらない印象だ。
スマートグラスを使わなくても、同様の体験はイヤフォンでも利用できる。見ているものについての質問も、スマートフォンのカメラで代用可能だ。ただ、ハンズフリーで使えるというのは大きなメリットだ。いちいちスマートフォンを取り出す手間がなく、気になったらすぐに質問したり、写真を撮ったりできる。この手軽さこそがスマートグラスの最大の特徴といっていいだろう。
この手軽さが特に生きるのは、両手がふさがりやすいシーンだ。友人同士のキャンプやバーベキュー、ホームパーティーといった集まりでは、調理や乾杯の合間にいちいちスマートフォンを取り出すのは煩わしい。Ray-Ban Meta(Gen 2)を装着していれば、目線で捉えた瞬間をそのまま撮影可能なので、撮影係に徹することなく、参加者として場を楽しみながら自然に記録を残すことができる。
便利さの一方で、カメラを備えていることには課題も伴う。最も気を付けたいのが、周囲への配慮だ。撮影中はLEDが点灯する仕様だが、装着者から数メートル離れた相手にとって、小さなLEDが何を意味するかを瞬時に判別するのは難しい。そもそも、相手がその仕様を認識しているとも限らない。
カフェや電車内、子どもがいる公園など、周囲への配慮から外すことが求められる場面は少なくない。製品の出来とは別に、社会的なリテラシーが追いついていない領域の問題だ。
これは日本だけの話ではなく、海外では既に具体的な問題として表面化し始めている。英BBCは5月、ロンドン市内のショッピングセンターで、スマートグラスを装着した男性に無断で撮影された女性のケースを報じた。映像はSNSに投稿され、被害女性が削除を求めたところ「削除は有料サービスだ」と告げられたという。
米国の電子フロンティア財団(EFF)も3月、「Think Twice Before Buying or Using Meta's Ray-Bans」と題した記事を公開し、Ray-Ban Metaに代表されるカメラ搭載型スマートグラスについて、購入や使用前に検討すべきプライバシー上の論点を整理している。
日本ではまだ販売が始まったばかりだが、同種の問題が起きないとは言い切れない。便利さの裏側にこういった論点があることは、購入前に意識しておきたいところだ。
最近はディスプレイを備えたスマートグラスも増えており、約8万円からというRay-Ban Meta(Gen 2)の価格設定はやや高めに感じるかもしれない。あと1〜2万円を足せば、ディスプレイを搭載した競合製品も選択肢に入ってくる。それでも、新興メーカーが多いこのカテゴリーにおいて、Metaが手掛けているという安心感は大きく、有力な選択肢となるだろう。
ただし先に触れた通り、カメラを内蔵していることで生じる運用上の課題もある。これを踏まえると、終日装着できるメガネとして購入するのは現状では難しい。
Ray-Ban Meta(Gen 2)は、ハンズフリーでの撮影やAIアシスタントを日常的に活用したい人、最新のスマートグラスを試してみたいガジェット好きには、十分に満足できる完成度だ。普段、メガネを利用している人が購入を検討する場合は、通常のメガネも合わせて携帯することをおすすめしたい。
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