「最初は高いが、かえって安い」顧客満足度1位を支えるモノ作り VAIOの糸岡社長が語る“値上げ”の真意と次なる挑戦:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(1/3 ページ)

» 2026年06月03日 12時00分 公開
[大河原克行,ITmedia]

 VAIOには「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」という商品理念がある。これは、ソニー時代から続いているVAIOのモノ作りの姿勢を表したものであり、これらへの取り組みは、日々進化を続けている。

 VAIOの糸岡健社長へのインタビュー後編では、VAIOならではのモノ作りへのこだわりや、品質へのこだわり、そして今後の成長戦略について聞いた。

ノジマ 傘下 VAIO 糸岡 社長 ノートPC AI PC 顧客満足度 モノ作り 工場 こだわり VAIOの代表取締役 執行役員社長 糸岡健氏(東京本社にて)

「カッコイイ、カシコイ、ホンモノ」の進化 暗黙知を言語化した商品理念

―― VAIOは、法人向けPC市場におけるシェアはまだ低いものの、顧客満足度調査では、Windows PCの中では1位(「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2025-2026」のクライアントパソコン部門において)を獲得するといった結果が発表されています。VAIOが、法人向けPC市場で評価されている理由はどこにあると自己分析していますか。

糸岡 コロナ禍で在宅勤務が増えたり、ハイブリッドワークが当たり前になったりしたことで、PCに対する関心が高まり、性能を重視する動きが出てきました。大企業を中心に、社員が持つPCに投資をしていくという流れが生まれてきた中で、VAIOへの注目が高まってきた経緯があります。

 社内では、法人向けPC分野にかじを切る際に、VAIOの特徴をどこに持たせるかを徹底的に議論しました。その結果、VAIOならではのこだわりがあちこちに詰まっています。例えば、片手でディスプレイを開けることができたり、キーボード操作がしやすい構造にしたりといったことが挙げられ、これらは多くのお客さまから高い評価を得ている部分です。

 その中でも大きな差別化となったのが、AIノイズキャンセリング機能の搭載でした。新たな働き方が求められる環境で、VAIOがどう貢献できるのかを考えた結果、開発して実装したものです。

 多くのお客さまから、「これはいいね」と言っていただける機能の1つであり、お客さまの声を基に、より使いやすいものへと改良を続け、現在も進化し続けています。このように、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアもVAIOの強みとなっています。

 VAIOに対する評価は、大きく変わってきた手応えがあります。以前は壊れやすいという声もありましたが、安心して長く使えるという声が増え、リプレースにおいても、またVAIOを選択していただくケースが増えています。

 お客さまから言われるのは、「最初はちょっと高いと思ったが、使い続けると使いやすいし、壊れない。これならばかえって安いよね」ということです。VAIOが法人向けPCに本格的にシフトしてから、最初の買い替えサイクルのタイミングに入っています。

 これは長年、VAIOを使ってみた評価が出るタイミングでもあります。リプレースでも、再びVAIOを選択していただいているという結果が、VAIOの成長の下支えとなっています。

ノジマ 傘下 VAIO 糸岡 社長 ノートPC AI PC 顧客満足度 モノ作り 工場 こだわり VAIOが掲げる理念

―― VAIOはカッコイイ、カシコイ、ホンモノという商品理念を掲げています。これは糸岡社長体制においても継続するのですか。

糸岡 これは継続します。実はVAIOの社員たちは、ずっとこの姿勢を持ちながら仕事しており、暗黙知といえる状態でした。ソニー時代からの悪い癖で(笑)、「言わなくても、当たり前のこと」だとか、「あえて言葉にする必要はない」という考え方が前提にあって、自分たちから言葉にすることはしなかったのです。

 しかし2023年3月に、これを商品理念として、しっかりと示すことにしました。その結果、お客さまやパートナーに対しても、VAIOのモノ作りの姿勢が伝わりやすくなり、私たち自身も、明確な意思を持ってモノ作りを行えるようになりました。

 ここで重要なのは、カッコイイ、カシコイ、ホンモノは、それぞれに進化し続けていくということです。

 例えば、VAIOが目指すカッコイイは、単に外観が格好いいだけでなく、機能美を兼ね備えたものになっています。VAIOのデザインには理由があります。お客さまにVAIOを使っていただく上で、必要な機能が詰まったデザインであり、それがカッコイイにつながらないと、そのデザインは普遍的なものにはなりません。そして機能性を追求することで、さらに進化を続けるところも、カッコイイのポイントとなります。

 カシコイも同様に進化します。VAIOは、単に機能を追求するだけでなく、お客さまが使ってみて、「いいね」と言ってもらえることと結びついたテクノロジーの進化にこだわっています。AIについても、考え方は同じです。

 AIによってPCは賢くなりますが、それを提供するだけではPCの体験価値を高めることができません。VAIOがCopilot+ PCの投入に慎重だったのも、そこに理由があります。VAIOが届けるAIは、単に技術を搭載するだけではなく、お客さまの体験価値を高めることを前提としたカシコイの追求となります。VAIOならではのAIの活用提案は、これから徐々に明らかにしていきます。

 そして、ホンモノでは、日本に工場を持っている強みを生かして、日本ならではのモノ作りの手法によって品質を高め、精度を高めていきます。この挑戦には終わりがありません。日本のモノ作りをどう進化させるか。VAIOがホンモノを追求し続ける上で、重要なチャレンジになります。

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