PHISON Electronicsのブースでは、主力展示こそデータセンターやAI(人工知能)向けSSDのコントローラーに移りつつあったが、クライアント向けソリューションにおいてもトップメーカーとしての“層”の厚さを見せていた。
「PS5037-E37T」は、PCIe 5.0 x4(4レーン)対応クライアント向けSSDコントローラーのメインストリームモデルだ。1月の「CES 2026」で初披露されたもので、DRAMレス/4チャンネル構成でありながら。最大毎秒48億転送の高速NANDに対応し、シーケンシャルリードは最大毎秒14.9GB、シーケンシャルライトは最大毎秒13GBを実現している。
特筆すべきはその電力効率だ。ブースには消費電力を表示した図が展示されており、シーケンシャルアクセスのフルロード時でもSSD全体の消費電力が最大約4.5W(コントローラー単体では2.3W未満)に抑えられているという。
これにより、一般的なM.2 2280サイズだけでなく、2242/2230といった小型フォームファクターにも対応可能となり、ノートPCやポータブルゲーミングデバイスへの搭載を現実的なものにしている。
ブースで担当者に話を聞いたところ、本製品は2026年第3四半期にエンジニアリングサンプル(ES)の出荷を開始し、2026年末までには量産準備が整う予定だという。
なお、毎秒36億転送に対応する現行のクライアントSSD向けコントローラー「PS5031-E31T」については、より低価格なPCIe 5.0対応SSD向けに併売するという。2025年に発売された「PS5028-E28」についても、ワークステーション/小型サーバ向けSSD向けとして継続販売するとのことだ。
エンタープライズ向けの展示として、次世代規格となるPCI Express 6.0に対応した「PASCARI」ブランドのSSDリファレンスデザイン基板(E1.SやE3.Sフォームファクター)もいち早く披露し、データセンター領域における技術力の高さをうかがわせた。
Silicon Motionでも、PCIe 5.0対応SSDコントローラーの毎秒48億転送対応新製品を投入しつつ、エッジデバイス(AI PC)に向けた最適化をアピールしていた。
「SM2524XT」は、COMPUTEX TAIPEI 2026に合わせて発表されたPCIe 5.0 x4対応SSDコントローラーの新モデルで、TSMCの6nmプロセスで製造される。DRAMレス仕様で、PHISON ElectronicsのPS5037-E37Tへの“対抗馬”という位置付けだ。
本製品も4チャンネル構成で最大毎秒48億転送のNANDに対応しており、シーケンシャルリードは最大毎秒14GBに達する。さらに注目すべきは、ランダムアクセスが最大250万IOPSと、後述するDRAM搭載ハイエンドモデル「SM2508」に匹敵する点だ。DRAMレスでありながらこれほどの高いパフォーマンスを実現しつつ、アクティブ時のコントローラー単体の消費電力は最大2.5Wに抑えている。
Silicon MotionのPCIe 5.0世代における機能的な目玉として「SCA(Separate Command Address)」アーキテクチャの導入がアピールされている。これはNANDフラッシュのインタフェース規格「ONFi 5.2」などで追加された標準機能を活用し、コマンドとアドレスをデータバスと分離して送信する技術だ。
同社ではSCAによるハードウェアレベルの低遅延化に加えて、ファームウェアの最適化、SLCキャッシュの専用割り当てなどを組み合わせることで、AI推論などで多発する細分化されたデータアクセス(KVキャッシュなど)の応答性を向上することで「AI PC向け」に相応しい最適化を実現している。
SM2508は、2024年にリリースされたPCIe 5.0 x4対応SSDコントローラーで、DRAM(キャッシュメモリ)としてDDR4/LPDDR4メモリを搭載できる。8チャンネル構成で毎秒36億転送のNANDに対応しており、シーケンシャルリードで最大毎秒14.5GB、シーケンシャルライトで最大毎秒14GB、ランダムアクセスは最大250万IOPSを実現しながら、アクティブ時の消費電力を最大3.5Wに抑えたことが特徴だ。
「SM2504XT」は、毎秒36億転送対応のNANDに対応したPCIe 5.0対応DRAMレスSSDコントローラーだ。こちらもメインストリームSSD向けの既存製品だが、SM2524XTの下位モデルという位置づけで販売が継続される。
余談だが、本製品でも先述のSCAアーキテクチャには対応している。
少し変わり種だが、Silicon MotionではUSB4 Gen 3x2(USB4 Version 1.0/USB 40Gbps)に対応する「SM2324」というポータブルSSD向けSSDコントローラーも販売している。
本製品は4チャンネル構成で最大毎秒4000MBのリード/ライト性能を有している。また、電源制御に欠かせない「USB PD(Power Delivery)コントローラー」を内包しているため、USB4対応SSDをワンチップで構築できることが最大の特徴だ。
チップ自体は既に量産体制に入っており、搭載製品は2026年末までに登場する見込みだという。
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