GUIからAIエージェントへ Microsoftが示す次世代基盤「Project Solara」とは:Windowsフロントライン(2/2 ページ)

» 2026年07月03日 06時00分 公開
前のページへ 1|2       

Project Solaraの現状とこれから

 気になるProject Solaraのデバイスだが、AOSP(Android Open Source Project)をベースにエンタープライズ向けにMicrosoftが拡張を行った「MDEP(Microsoft Device Ecosystem Platform)」を用いている。

 特徴としてはAndroidプラットフォームの各種資産を活用しつつも、IntuneをはじめとするMicrosoftの管理ソリューションを組み合わせてセキュリティを高めた点が挙げられる。

 次に重要なのがシリコンパートナーの話だが、今回はまずQualcommとMediaTekの2社がProject Solara向けにSoCを提供する。最初期のコンセプトモデルとして「デスクトップ設置型」と「バッジ型」の2種類のデバイスを想定しており、それぞれのSoCを割り当てている。

 「デスクトップ設置型」は比較的よくあるタイプのコンパニオンデバイスであり、作業デスクの横などに設置してAIエージェントに直接アクセスするための手段を提供する。「Echo Show」など類似のデバイスを既にAmazonが提供しているが、Project Solaraならではの点として「Work IQ」と連携することが挙げられる。

 Microsoft 365に蓄積されているメールやファイルなどの大量のデータを、AIエージェントが分析して利用できる。加えて、「Windows Hello for Business」による生体認証を使ったアクセス制限もかけられるため、誰もがAIエージェントに呼びかけることでMicrosoft 365の当該データに触れられるわけではない。

 一方の「バッジ型」は薄型のタッチパネルを備えた板にカメラや5Gを含む通信機能を備えるなど、可搬性を特に意識した小型スマートフォンのようなデバイスだ。「デスクトップ設置型」と同様に側面ボタンの指紋認証を使ったWindows Hello for Businessにも対応し、個人のセキュリティも担保される。

 用途としてはその可搬性を生かし、現場作業員が持ち歩くことを想定しているようだが、Buildで紹介されたデモンストレーション映像を見る限りは、まず医療現場での活用事例がプッシュされていた。

Project SolaraのシリコンパートナーにはQualcommとMediaTekが名を連ねる Project Solaraのシリコンパートナーには、QualcommとMediaTekが名を連ねる
Project Solaraは、まず2種類のコンセプトで提供される Project Solaraは、まず2種類のコンセプトで提供される
「デスクトップ設置型」はMediaTekのSoCを採用する 「デスクトップ設置型」はMediaTekのSoCを採用する
「バッジ型」はQualcommのSoCを採用する 「バッジ型」はQualcommのSoCを採用する
「デスクトップ設置型」が提供する機能 「デスクトップ設置型」が提供する機能
「バッジ型」が想定する用途 「バッジ型」が想定する用途

 MicrosoftではProject Solaraの展開にあたってAccuWeather、Best Buy、CVS Health、Levi's、Targetらの協力でテストプログラムを実施する予定で、対象となる業界や企業パートナーを少しずつ拡大することでプラットフォームの検証と拡張を続けることとなる。

 前出のようにMicrosoft独自のものだけでなく、企業自らやサードパーティーが開発したAIエージェントをProject Solaraプラットフォーム内で連携動作させることが可能であり、既存のものを含む各社の業務システムをいかにAIエージェントに適用させ、それを業務に適したデバイスから利用できるようにするかがポイントとなる。

Project Solaraは最初に5社のパートナーと検証を行っていく

 このProject Solaraに関して興味深いのは2点あり、1つは2000年代後半以降のモバイル時代に乗り遅れたMicrosoftがデバイスにこだわらないプラットフォームを武器に(Microsoft 365をはじめ)企業向けの提案を行ってきたことだ。

 もう1つは、AIエージェントを前面に出したプラットフォームを打ち出して“(モバイル)アプリ”の開発の次の時代を示した点であり、結果としてAIエージェントがユーザーインタフェースを塗り替え、モバイルプラットフォームが中心となっていた時代が終わりを告げつつある可能性を示したことだ。

 重要なのは、「MicrosoftがProject Solaraを発表したこと」でも「Project Solaraが将来にわたって成功する」という話でもなく、今このタイミングで時代の移り変わりを強く意識させるプラットフォームが登場してきたことにあると筆者は考える。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月01日 更新
  1. 圧倒的な通気性と航空モチーフのデザインが光る「ANAオリジナル タフな背中がムレにくいビジネスリュック」を試す (2026年09月28日)
  2. 「Windows 11 2026 Update(バージョン 26H2)」の製品版が登場 Windows Updateを通して順次展開 (2026年09月30日)
  3. 交換式バッテリー&カメラ付き“全部入り”スマートグラス「INMO GO3」を試す (2026年09月29日)
  4. 1万円台前半で3年保証付き! 日本エイサーの軽量モバイルディスプレイ「PM141Wbmiuux」を試す (2026年09月30日)
  5. 新生「エプソンジャパン」が次世代ホーム戦略を発表 月額1100円からのプリントサブスク「ReadyPrint」や新ブランド「LIFESTUDIO」を展開 (2026年10月01日)
  6. 処理速度を向上してスリムになった新型「Fire TV Stick 4K」登場 リモコンも一新 (2026年09月30日)
  7. 理論値以上のゲーミング性能を発揮できる秘密は? MSI Claw 8 EX AI+で知る「Intel Arc G3 Extreme」の実力 (2026年09月30日)
  8. RTX Spark搭載「Surface Laptop Ultra」がお披露目か Microsoftが10月7日にイベント開催 (2026年10月01日)
  9. 「Copilot+ PC」ブランドは終了したのか? 普及に伴い変化するMicrosoftのAI戦略 (2026年09月29日)
  10. 余ったTVやディスプレイをフォトフレーム/サイネージ化できるサンワのVESAマウント対応プレーヤーを試す (2026年09月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー