気になるProject Solaraのデバイスだが、AOSP(Android Open Source Project)をベースにエンタープライズ向けにMicrosoftが拡張を行った「MDEP(Microsoft Device Ecosystem Platform)」を用いている。
特徴としてはAndroidプラットフォームの各種資産を活用しつつも、IntuneをはじめとするMicrosoftの管理ソリューションを組み合わせてセキュリティを高めた点が挙げられる。
次に重要なのがシリコンパートナーの話だが、今回はまずQualcommとMediaTekの2社がProject Solara向けにSoCを提供する。最初期のコンセプトモデルとして「デスクトップ設置型」と「バッジ型」の2種類のデバイスを想定しており、それぞれのSoCを割り当てている。
「デスクトップ設置型」は比較的よくあるタイプのコンパニオンデバイスであり、作業デスクの横などに設置してAIエージェントに直接アクセスするための手段を提供する。「Echo Show」など類似のデバイスを既にAmazonが提供しているが、Project Solaraならではの点として「Work IQ」と連携することが挙げられる。
Microsoft 365に蓄積されているメールやファイルなどの大量のデータを、AIエージェントが分析して利用できる。加えて、「Windows Hello for Business」による生体認証を使ったアクセス制限もかけられるため、誰もがAIエージェントに呼びかけることでMicrosoft 365の当該データに触れられるわけではない。
一方の「バッジ型」は薄型のタッチパネルを備えた板にカメラや5Gを含む通信機能を備えるなど、可搬性を特に意識した小型スマートフォンのようなデバイスだ。「デスクトップ設置型」と同様に側面ボタンの指紋認証を使ったWindows Hello for Businessにも対応し、個人のセキュリティも担保される。
用途としてはその可搬性を生かし、現場作業員が持ち歩くことを想定しているようだが、Buildで紹介されたデモンストレーション映像を見る限りは、まず医療現場での活用事例がプッシュされていた。
MicrosoftではProject Solaraの展開にあたってAccuWeather、Best Buy、CVS Health、Levi's、Targetらの協力でテストプログラムを実施する予定で、対象となる業界や企業パートナーを少しずつ拡大することでプラットフォームの検証と拡張を続けることとなる。
前出のようにMicrosoft独自のものだけでなく、企業自らやサードパーティーが開発したAIエージェントをProject Solaraプラットフォーム内で連携動作させることが可能であり、既存のものを含む各社の業務システムをいかにAIエージェントに適用させ、それを業務に適したデバイスから利用できるようにするかがポイントとなる。
このProject Solaraに関して興味深いのは2点あり、1つは2000年代後半以降のモバイル時代に乗り遅れたMicrosoftがデバイスにこだわらないプラットフォームを武器に(Microsoft 365をはじめ)企業向けの提案を行ってきたことだ。
もう1つは、AIエージェントを前面に出したプラットフォームを打ち出して“(モバイル)アプリ”の開発の次の時代を示した点であり、結果としてAIエージェントがユーザーインタフェースを塗り替え、モバイルプラットフォームが中心となっていた時代が終わりを告げつつある可能性を示したことだ。
重要なのは、「MicrosoftがProject Solaraを発表したこと」でも「Project Solaraが将来にわたって成功する」という話でもなく、今このタイミングで時代の移り変わりを強く意識させるプラットフォームが登場してきたことにあると筆者は考える。
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