ついに登場した「iPhone Duo」と新CEOが掲げるAI時代の新構想「Intelligent Personal Hub」――Appleが描くAI時代のプライバシーと未来(3/5 ページ)

» 2026年09月16日 06時00分 公開
[林信行ITmedia]

iPhone 18 Pro、AI時代にあえて「絞り」を入れる面白さ

 そんな宣言に続いて発表されたiPhone 18 Pro/18 Pro Maxは、次世代Apple IntelligenceやSiri AIを支える新SoC「A20 Pro」を搭載する。

iPhone 18 Pro/Pro Maxシリーズ。地味だが、製品の色合いが見直され、手に触れる熱伝導性の低いパーツと、それ以外のパーツの色がより近づいている。新色のブルゴーニュワインをイメージした「バーガンディー」、氷河をイメージしたグレイシャーも美しいが、引き締まった真っ黒なブラックモデル、より洗練されたシルバーもかなり魅力的な色に仕上がっている
新SoCのA20 Proを採用する

 だが個人的に、それ以上に響いたのがカメラだ。新しい48MP Fusionメインカメラには、6枚のブレードが実際に機械的に動く可変絞りが組み込まれた。

 「絞り」とは、レンズを通過する光の量を物理的に調整する仕組みである。画面上のボタンから4段階で切り替えられ、被写界深度などを光学的に変化させられる。

 現在のスマートフォンカメラは、撮影した画像をコンピュテーショナルフォトグラフィーやAIで処理し、「本物のカメラらしい」写真へ近づける方向へ進化してきた。Appleも当然、高度な画像処理を使っている。

 しかし同社は特にProモデルで、AIによって現実には存在しなかったものを作り出すのではなく、実際にレンズを通ってセンサーへ届いた光を出発点に、より良い写真へ仕上げる姿勢を重視してきたように思う。

 そんなAI全盛の時代に、あの小さな48MP Fusionメインカメラの中へ、実際に動いていることが目で見える機械式の絞りを入れてきた。

撮影映像のAI処理をする傾向が強まるスマートフォンにおいて、Appleはレンズが少ない一般向けモデルではAI処理で足りない部分を補うが、プロモデルではできるだけ光学的な工夫で高画質化(必ずしも高解像度化ではない)を目指している。色も派手ではなく忠実を目指すのが基本姿勢だ。そうした姿勢が一部のフォトグラファーから評判が良い

 写真好きには、かなり刺さる仕様ではないだろうか。「本当にレンズを通ってきた光」を大事にする。そんなところからも、Appleの価値観、さらにはAIに対する考え方まで垣間見えたように思う。

「聞き逃し」を巻き戻すApple Watch

 新モデルの「Apple Watch Series 12」と「Apple Watch Ultra 4」にも、興味深い進化がある。新しい「Health Sensing System」によって心拍数測定の精度が向上し、心拍数を5秒ごと、HRV(心拍変動)も最大5分ごとという高い頻度で測定するようになった。

発表会場で展示されていたApple Watch Ultra 4

 だが、個人的にそれ以上に興味を持ったのが「Audio Intelligence」、特に「Live Rewind」だ。例えば講義を聞いていて、一瞬別のことを考えてしまう。

 「今、先生は何と言った?」

 そんな時、Apple Watchで最大15秒までさかのぼり、聞き逃した内容を文字で確認できる。会話でも同じだ。

 人間は常に100%の集中力で周囲の音を聞いているわけではない。考え事をしていたり、別のものに注意を奪われたりすることもある。

Apple Watch Series 12や同Ultra 4は、体力年齢を計測する機能に加え、周囲にある音を認識して教えてくれる機能や、聞き逃したことを15秒巻き戻して文字で確認できる機能など、音関連の機能が充実している(まずは米国市場からの対応となる)

 Live Rewindは、コンピューターの「Undo」のような発想を、人間の聴覚や記憶へ持ち込んだ機能ともいえる。AIが人間の代わりに何かを作るのではない。人間が本来持っている能力を、必要な瞬間だけそっと補う。

 聴覚や集中力、記憶力に弱さを抱える人だけでなく、たまたま疲れていたり、集中力が落ちていたりする日には誰にでも役立つ。これまでとは少し違うタイプの「拡張現実」であり、今回発表されたAI関連機能の中でも特にAppleらしいものの1つだと感じた。

AirPods 5――ついにノイズキャンセリングが全てのモデルへ

 耳に装着しても密閉感が少なく、価格も比較的手頃なオープンイヤー型イヤフォンのAirPodsも進化した。

AirPods 5の特徴。オープンイヤーでありながら、高度なアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を発揮する。ライブ翻訳にも対応し、バッテリー動作時間も従来比で延びている

 AirPods 5では開放感のある装着感を維持しながら、アクティブノイズキャンセリング搭載の「AirPods 4」と比べ、最大50%多く外部ノイズを除去できるようになったという。

 ライブ翻訳にも対応し、iPhoneと組み合わせれば旅行先などで通訳として使える。AirPods 4までは、安価なノイズキャンセリング機能なしモデルを用意していたが、AirPods 5ではついに全モデルでノイズキャンセリングが標準となり、最も安価なモデルでもIntelligent Personal HubのiPhoneと人を音でつなぐ入り口へと進化した。

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2026年09月16日 更新
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