「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた(3/5 ページ)

» 2026年10月21日 21時00分 公開
[林信行,ITmedia]

右手で入力し、左手で変換候補を選ぶ

 日本語のフリック入力の体験も大きく変わった。閉じた状態ではほぼ従来通りだ。開いて縦に構えると、画面全体が2倍に拡大表示され、キーボードそのものも大きくなってしまうため、少し入力しづらい。

横開き状態のiPhone Duoでのフリック入力は、右手で入力し、左手で変換候補を選ぶ。慣れればかなり効率よく文字を入力できる

 一方、横向きに構えたときの日本語フリック入力は大きく進化している。フリック入力用のキーパッドは右側の下半分に表示され、左側の下半分には変換候補の一覧が表示される。

 右手の親指でフリック入力しながら、次々と出てくる変換候補を左手の親指で選んでいく入力方法は、慣れるとかなり快適だ。ただし、これは筆者が右利きで、いつも右手でフリック入力をしているからかもしれない。

 左手でフリック入力してきた人や、両手でフリックする人は、新しい配置に慣れる必要がある(アルファベットのキーボードでローマ字入力をしている人は、キーボードのサイズが変わるので、どう感じるか店頭などで試してみてほしい。もっとも、違和感を覚えても、しばらく使っていれば人間は案外順応できてしまうものだと筆者は思う)。

 ちなみに、Duoの画面上のキーボードではどうしても文字を打ちにくいという人は、Bluetoothキーボードを一緒に持ち歩くという手もある。Macで使っているMagic KeyboardをUSB Type-CケーブルでiPhone Duoに接続したところ、即座にキーボードとして認識され、Bluetoothのペアリングまで完了した。半開きで机に置いたiPhone Duoは、性能的にもミニチュアのノートPCのように使える。

持ち替えるたびに探してしまう音量ボタン

 読むときには縦に、映画や見開き、アプリの分割表示、フリック入力には横に。iPhone Duoを使っていると、頻繁に本体の向きを変えるようになる。

 どのように持ち替えても、画面の向きも空間オーディオの立体感もちゃんと追従してくれるiPhone Duoだが、1つ困ったこともある。物理ボタンだけは本体の向きを変えるたびに位置が変わってしまい、気が付けば常に音量ボタンやTouch IDを探してしまう。そう、残念なことにiPhone Duoは顔認証のFace IDに対応しておらず、本人認証には指紋認証が必要で、手袋をしたくなるこれからの季節には不利だ。

 音量ボタンは、縦長に開いた状態のときに、なじみのある左側面の上部に来る設計となっている(これはおそらくAppleが、筆者お気に入りの縦長に開いた状態を、最もよく使う向きと考えているからではないだろうか)。

 つまり、横長に開いて構えると、ボタンは本体の上側面に来る。閉じた状態でも同じだが、閉じると本体が2層に重なるため、指でボタンを探すときに前後を間違えることがある。

 「大概のことはしばらく使っていれば慣れる」と考えている筆者だが、他のiPhoneを併用していることもあってか、この物理ボタンの位置への適応には想像以上に時間がかかっている。

用もないのに開閉したくなる、モノとしての“造り込み”

 それでも、こうした不満を上回ったのが、モノとしての“造り込み”のよさだ。

 チタニウムとガラスで構成された本体には、軽さを売りにした他社製品とは違う、しっかりとした重さがある。ただ、重さという目に見えない要素でも、上質な製品は、どこに重心を置くか、重いパーツをどう配置するかで使い心地に差を生み出せる。例えば、あまりにも端に重いパーツが寄っていると、本体の向きを変えるときにアンバランスに感じるはずだ。

 Appleは、ノートPCや携帯型デバイスを作り始めた当初から、重心バランスの設計にこだわってきた会社だ。iPhone Duoは重量配分にまで上質さを感じさせ、これまで「やはり、軽いのは正義」と喜んで触っていた他社の折りたたみスマホを、逆に少しチープに感じさせてしまう魔力を持っている。

photo iPhone Duoは重心バランスに上質さを感じさせる

 触り心地といえば、とりわけ開閉するときの心地よさが格別だ。適度なトルク感から、最後に磁石が引き寄せ合い、「カチッ」と閉じるまで。その感触を味わいたくて、用もないのに開いたり閉じたりしてしまう。

 万年筆やボールペン、ペンケース、眼鏡ケース、バッグ。職人が丹念につくった小物には、使っているときの動きや、手に触れる感覚そのものを大事にしたものがある。目的を果たした後も、つい、なでたり、手の中で遊ばせたりしたくなる。iPhone Duoには、その喜びがある。

 スクロールし、ページを送るたびに、ヌルサラの感触が指先に心地よい。1日に何度も繰り返す動作そのものが楽しみになる。

 だからこそ、この画面は大切に扱いたい。Appleが日本で示しているインナーディスプレイ損傷時の保証対象外修理の見積額は18万2800円(加入料のかかるAppleCare+が適用される場合は1万2900円)だ。

→・「iPhone Duo」のAppleCare+なし修理費用が明らかに 最大27万円超、折りたたみ画面の損傷は18万円超に

 保護フィルムなどを貼りたくなる人もいるかもしれない。しかし、あくまで個人的な見解だが、安易に貼らない方がいいと思う。このヌルサラの画面にフィルムを貼るとなると、しっかりと接着する必要が出てくる。そうした粘着剤を使ったフィルムを貼ると、おそらく剥がした後も粘着剤が残り、18万円の価値があるヌルサラの触り心地が失われてしまう可能性がある。

 そうならないことをメーカーが保証している製品でもない限り、フィルム貼りには慎重になった方がよいだろう(外側のディスプレイに貼るのは問題ない)。

 なお、AppleがiPhone Duoの開発でとりわけ多くの工夫を注ぎ込んだのが、心地よい開閉を実現するヒンジ部分だ。この部分については、他媒体でデザイナーへのインタビュー記事を書いた際に内部構造も見せてもらったが、どうしても自分の目で確かめたくなり、今回、外部の協力を得てiPhone DuoをCTスキャンで撮影してみた。

photo CTスキャンで撮影したiPhone Duo
iPhone Duoの魔法のような開き心地の秘密を、CTスキャンで非破壊検査してみた。3列6行×2組ほどの小さなパーツによって実現していることが確認できる。

 確かに、これまでのスマートフォンにはない、かなり複雑な機構が組み込まれていることが確認できた。

 非破壊検査に協力してくれたのは、手術前に、質感や出血まで人間そっくりに再現した超精密な患者のクローンモデルを3Dで作る技術で「Xtrepreneur AWARD 2026」も受賞した、ミライズウェルメディカルグループの富田大介CEOだ。

 富田氏にスキャンしてもらい、さらにAppleから「世界で注目すべき30人のMac使い」の1人に選ばれ、VR/AR/MR/XR、空間コンピューティング、AI、メタバースなどの先端技術を活用した医療支援システムの研究開発や、医用画像解析アプリ「OsiriX」(オザイリクス)の普及・啓発に努めてきたHoloeyesの杉本真樹代表に3Dモデリングしてもらった。

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