内閣府の事業として設置された「インターバース社会実装推進メタコンソーシアム」と「人間拡張コンソーシアム」の共同ブースでひときわ目を引いたのが、アニメ版「ダンジョン飯」のポスターと、同作品内で登場する(引き抜く際に悲鳴を上げるという)「マンドレイクの甘露煮」を再現したという山形大学の展示だ。
「え、マンドレイクの甘露煮?」と思うかもしれないが、これは同大学の「SWELラボ(ソフト&ウェットマター工学研究室)」による「テクノガストロノミー・プロジェクト」の一環として進められている、「やわらかい技術が創る、やさしい未来の食体験」を具現化したものである。
今回出展された「マンドレイクの甘露煮」は、こんにゃくを使ったゼリーで知られるマンナンライフと共同開発したものだ。他にも、普段は口にしないようなものを模した「食べ物」が配布されていた。
どの「食べ物」を試そうかと考えた結果、まずは「消しゴム」の食感を再現したものを口にしてみた。主成分はこんにゃく粉だが、確かにプラスチック消しゴムの“かみ応え”そのものだった。もちろん、プラスチック消しゴムを食べたことはないが、口の中でポロポロと小さい塊に分裂してしまう様子は、プラスチック消しゴムそのものとしか表現しようがなかった。
その後、「マンドレイクの甘露煮」も試食させてもらった。マンドレイク自体が空想上の生き物(植物)なので、「そうそう、これこれ!」という感覚はないものの、歯ごたえがあり、かめばかむほど、独特な味が出てくる不思議な食べ物であった。
これらの空想上の「食べ物」や、実際には食べられないものの食感を再現するために、山形大学では口腔内を模してセンサーを搭載した食感を数値解析するデバイス「Gel Biter(ゲルバイター)」と、3Dフードプリンタを組み合わせている。
GelBiterに消しゴムやスーパーボールなどをかませて“かみ心地”を数値化し、それに近くなるように「食べ物」を製造している、というわけだ。
将来的には個人の好みに合わせた食感の再現や介護食への応用、さらには宇宙での食体験の拡張など「次の『おいしい』」を目指しているという。
同ブース内では、他にも複数の企業/団体による展示が行われていた。竹中工務店、NTTアーバンソリューションズ総合研究所、東京大学が共同開発する「まちの体験価値を向上させる仕掛け・体験デザイン構築と実装に関する研究開発」の成果も展示されていた。
これまでの街づくりでは、人流や交通量といった定量的なデータの計測が主流だったが、同ツールはこれまで数値化が困難だった「街の印象」を「EmotionalScape」という技術で可視化/推定する。例えば渋谷エリアの印象スコアを地図上に可視化し、客観的なデータに基づいてエリアの目指すべきビジョンや課題を言語化できる。
体験デモでは、個人の感情や好き嫌いを排し、「街の雰囲気」を数値として共有/シミュレーションできる点が示された。主観に基づくものではなく、データに基づくアドバイスなので、行政、デベロッパー、地域住民の合意形成をスムーズにし、既存の街並みを生かした再開発や景観デザインに大きく貢献しそうな技術であった。
生成AIを含む、AI関連のニュースの絶えない昨今であるが、ユーザーの第二の脳のような役割を果たしたり、仕事を効率化させたり、正確なシミュレーションを瞬時に導き出したりすることが可能になってきている、ということを実感した。
それらを使うためのハードウェア開発、利用方法の開発や検証などが組織の立ち位置によって異なっており、多分野にわたっている様子を目にすることもできた。
筆者が子どもの頃に思い描いていた“近未来”がもうすぐ実現するのかもしれない――そんな期待感の持てる展示会であった。
NECPCのビジネスPCに新モデル ハイブリッドワークに適した「VersaPro」モバイルモデルなど
さらば「VersaPro」「Mate」――NECPCの法人向けPCが「LAVIE」ブランドへ統合
富士通が“世界トップレベル”の演算性能を実現した国産CPU「FUJITSU-MONAKA」を発表 同CPU採用の国産サーバも販売開始
FCCL、14型/16型スタンダードノート「FMV Note M/A」に新モデル登場 10月23日から順次発売
「iPhone 17」で共鳴した日本の技術とApple 世界最高峰のカメラを“創る”舞台裏に迫るCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.