富士通「FMV-BIBLO MT」に見るWindows 7 マルチタッチの“実用度”:元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)
Windows 7で新たに実装された「Windowsタッチ」機能に対応したPCが続々登場しているが、その使い勝手はどうなのか。富士通のノートPCでチェックした。
Windows 7で標準サポートされたタッチ機能
好調なスタートを切ったWindows 7は、Windows Vistaをベースに手を加えたOSだ。改良点は、メモリの使用量、互換性、起動/終了時間の短縮など多岐に及ぶが、最も顕著な違いはユーザーインタフェースにある。タスクバー、ジャンプリスト、デバイスステージ(デバイスとプリンター)、Aeroの拡張などさまざまな部分に手が入れられ、改善が行われている。
こういった一般的なGUIとしての改良に加え、Windows 7のユーザーインタフェースとして新たに追加された機能が「タッチ」だ。Windows Vistaでは、それまでオプション的な扱いであったスタイラスペン入力機能(タブレットPC機能)をOSの標準機能として取り入れた。そしてWindows 7では画面に直接、指で触れることでユーザーの意志を伝えるタッチ機能が加わった。
複数の入力(複数の指を同時に使ったジェスチャー)をサポートしていることからマルチタッチとも呼ばれるこの機能は、ペンを使った入力に比べてより直感的であり、従来のPCにはなかったアプリケーションの登場や、従来のPCになじめなかったユーザーの取り込みが期待されている。これを受けて大手PCベンダーは、Windows 7のリリースに合わせて、タッチ機能をサポートしたPCをそれぞれ1〜2機種ずつラインアップに加えているところが多い。
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そんな中にあって、タッチ機能の導入に最も熱心なPCベンダーの1つが富士通だ。同社はコンシューマー向けの2009年冬モデルで導入した新ボディの液晶一体型デスクトップPC「FMV-DESKPOWER F」シリーズの3モデルすべてでタッチ機能をサポートしたほか、ノートPCの新シリーズ「FMV-BIBLO MT/E50」でスタイラスペンとタッチ機能の両方をサポートしている。これらの通常モデルに加え、初心者や高齢者を意識した「らくらくパソコン」シリーズの2モデル、さらには企業向けの「FMV-LIFEBOOK FMV-T8190」(FMV-BIBLO MT/E50と同じボディだが、カードスロットがCardBus対応のPCカードスロットになるなど、一部仕様が異なる)でもタッチ機能に対応しており、タッチ機能のサポートという点で突出した印象を受ける。携帯電話の分野でも「らくらくホン」シリーズを手がける富士通にとって、直感的なタッチ機能は、高齢化社会を見据える同社の事業戦略に合致したものなのかもしれない。
指でもスタイラスペンでも操作が可能なノートPC
ここで紹介するFMV-BIBLO MT/E50(店頭モデル)は、上述したようにコンシューマー向けのタッチ機能対応ノートPCだ。コンバーチブル型のタブレットPCに、タッチ機能を加えた製品と考えると分かりやすい。
最大の特徴は、12.1型ワイド液晶ディスプレイ(1280×800ドット表示)が、スタイラスペンとタッチの両方に対応することだ。定評あるワコムのEMRテクノロジによるペン入力に、表面静電結合方式タッチセンサー技術(RRFCタッチ技術)を組み合わせたものだ(Wacom Feel IT Technologies)。これにより、イラストや文字の手書き入力など精度を必要とする利用にはスタイラスペンを、直感的なユーザー操作には指を、といった具合に使い分けることができる。
このディスプレイは、通常のノートPCスタイルでの利用に加え、キーボードにアクセスできなくなるコンバーチブルスタイルでの利用も想定されており、液晶ディスプレイ右下に5つのショートカットボタンが用意されている。反対の左下には指紋センサーがあり、コンバーチブルスタイルでも指紋によるログインが可能だ。本体に対し液晶ディスプレイは左右のどちら側からも180度の回転が可能になっており、片側にしか回転できないモデルに比べてストレスが少ない。
CPUにシングルコアのCeleron 900を採用
ベースとなる本体は、インテルの40番台チップセット(開発コード名:Cantiga)を用いたMontevinaプラットフォームを採用する。直販のWEB MARTで販売されているカスタムメイトモデルや、ビジネス向けのT8190では、CPUに上位のCore 2 Duoを選択可能だが、コンシューマー向けの店頭モデルではCPUの選択肢がCeleron 900のみとなる。Celeron 900も45ナノメートルの製造プロセスを用いたPenrynコアのCPUで、動作クロックも2.2GHzと十分なものの、シングルコアであること、2次キャッシュが1Mバイトまで削られていること、といった性能面での制約がある。仮想化支援機構(VT)や、SpeedStepといった付加機能を持たない点も、上位版CPUとの違いだ。
チップセットは、Montevinaプラットフォームの標準とも言えるIntel GM45 Expressだ。2GバイトのDDR3 SDRAM(PC3-6400)DIMMを標準で1枚搭載しており、もう1枚追加することで最大4Gバイトまで増設することが可能だ。メモリソケットには底面のパネルを外すことでアクセス可能で、ユーザー自身で増設することができる。
ストレージは、容量320Gバイトの2.5インチSerial ATA HDD(5400rpm)とDVDスーパーマルチドライブの2スピンドル構成だ。評価機では前者に富士通のMJA2320BH、後者にパナソニックのUJ870BJが使われていた。そのほか、標準でウエイトセーバーが添付されており、DVDスーパーマルチドライブを取り外すことで、重量を2.06キロから1.89キロへと減らしたり(いずれもカタログ値)、オプションのベイ内蔵バッテリー(増設用バッテリ)を内蔵可能だ。
なお、バッテリー駆動時間は公称で約4.5時間、ベイ内蔵バッテリー装着時で約8時間となっている。試しにBBench(海人氏作/設定は60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)と10秒間隔でのキーストローク、ネットワーク機能は無線LANで常時接続し、液晶輝度は最高)を実行したところ、3時間29分動作した(電源オプションの「バッテリ切れのレベル」は5%未満に設定できなかったので、バッテリー残量が5%の値)。
次のページではタッチ操作の使い勝手や、マシンの性能をチェックしよう。
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