Sony Tabletは“ヒーロー”でなければならない:これからの時代を象徴する製品(2/2 ページ)
iPad 2の発売を前に、ソニーが発表したタブレット端末「Sony Tablet」。本製品の開発に携わってきた鈴木国正氏に話を聞いた。
Uniquely Sonyを打ち出すために発売を秋にした
――発売が2011年秋になった理由は?
鈴木 Twitterなどでは「秋では遅すぎる」というつぶやきもあったが、タブレットに最適化されたAndroid 3.0が発表されたのは2011年2月であり、同OSを搭載したモデルはまだ数社しか出していない。もちろん、素のハードやOSに何も手を加えなければ製品をすぐに発売できるが、それではソニーが出す意味がない。「Uniquely Sony」という4つの柱――「最適化されたハードウェアデザインとソフトウェア」「サクサク テクノロジー」「ネットワーク エンターテインメント」「さまざまな機器との連携」――を掲げたが、それを実現するには数カ月の遅れはやむを得ないと判断した。
また、サードパーティーの方々に、Sony Tabletに最適化したアプリケーションを作ってもらいたいので、この秋にタイミングを設定した。ソニーからは、画面解像度やアスペクト比といったスペックをある程度固定した上でSDKを提供していく。
一方で震災後の部品調達という意味では、IT業界や自動車、電機、通信と、震災の影響を受けなかった業界はなく、ソニーも直接的、間接的に影響を受けているが、それを考慮しても秋以降なら大丈夫だと考えている。
――ターゲットユーザーや販売方法は?
鈴木 ユーザー層は、日本と米国、そして欧州で大きく変わるとは思っていない。各国の細かいセグメントや戦略などを順次検討していくが、ソニーとしては、これからタブレットを購入しようとするみなさんに、強く訴えられるものがしっかりとあればいいと考えている。
特にS2については、スマートフォンユーザーもターゲットであると思っている。スマートフォンなどで採用例の多い3.5型クラスの画面でWebブラウザを使っても限界があるが、5.5型×2という大画面で全然違う体験ができるし、SNS系のアプリケーションでもスマートフォンに比べて使い勝手が大幅に改善される。
まずはコンシューマーがターゲットだが、コンシューマーで光るものを持っていれば、B to BやSMBにも売っていけると考えている。事実、VAIOシリーズが典型例だと思うが、コンシューマーでヒットすると、企業向けや教育機関でも売れ行きが伸びるという実績がある。
販売方法については、量販店はもちろんのこと、通信機能を内蔵してキャリアとの連携など、さまざまな方法を検討している。単なるハードウェアの販売というだけでなく、コンテンツや通信といった各サービスを含めてトータルでビジネスを考慮する必要があると思っている。
タブレットはこれから普及していく製品であり、まだまだチャンスはたくさんある。対iPadという意味では、先ほど述べたUniquely Sonyで掲げた4つの柱のうちのどれかがユーザーに響いてくれればいいと思っている。例えばデザインであったり、使い勝手であったり、ネットワークサービスであったり、それらの組み合わせであったりと考えている。Uniquely Sonyをどんどんブラッシュアップして進化していく中で、ソニーらしさを考えていきたい。
――本体価格や出荷台数はどのくらいを想定しているのか
鈴木 まだ未定だが、発売時に最もライバルとなる製品を意識して競争力のある価格帯にしたいと考えている。出荷台数もまだ決めていないが、iPadやAndroid製品も意識しながらもまずは強い商品を作り、ライバル機に優れている点が1つでも多くなるように作り込みをしている段階だ。
――発表会で紹介された新VAIOはどのような製品なのか?
鈴木 あくまでWindowsベースのPCであり、既存のVAIOと同じプラットフォームを採用した製品だ。Windowsベースのタブレット端末が「Freestyle Hybrid PC」であり、液晶ディスプレイをスライドさせるとキーボードが現れるユニークなモデルで、いい製品(笑)。今後の発表に期待してほしい。
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