「後追いauから、先行くauへ」――高橋誠氏に聞く、KDDIの“次の一手”(前編):神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

» 2009年05月25日 21時29分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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高橋氏 ミドルレンジは販売量の確保という点では重要だから、我々としても戦略的に考えていますよ。今回の夏商戦モデルでも、T002やSOLAR PHONE SH002などミドルレンジ向けのスタンダードモデルを投入していますし、これから秋にかけて(ミドルレンジの)補完もしていきます。

Photo auのフラッグシップモデル。左からbiblio、Sportio water beat、Mobile Hi-Vision CAM Wooo

Photo auのミッドレンジモデル。左がT002、右がSOLAR PHONE SH002

「後追い」から「先乗り」のauへ

ITmedia 今年の春商戦くらいまで、auのテーマは「キャッチアップ」でした。KCP+でつまずいた、KCP+の遅れを取りもどす、という発言が経営陣から相次いだわけですけれども、今回の夏商戦モデルで、その状況がずいぶんと変わってきましたね。

高橋氏 そう、我々は「去年と違う夏」とアピールしてますけれど、そこは(苦境だった昨年と)変わったことを強調したい。ラインナップの構成や個々の端末コンセプトを見直しただけでなく、全体的な底上げもしています。例えば、お客様の要望も強く、質疑応答でも毎回指摘された(端末の)microSDHC対応も行いました。

 むろん、攻勢に転じたのは端末ラインアップだけではありません。コンテンツサービスや料金面でも、他キャリアとは違う、一歩先を行くことを念頭に新たなものを投入しました。

ITmedia もはやキャッチアップの段階ではない、ということですね。

高橋氏 そのとおりです。端末・料金・サービスすべてで、追随の段階から脱却できたと考えています。

 振り返りますと、今までどうしてもキャッチアップばかりで、KDDIとしては本意ではなかったのですが、ユーザーの目から(auは)後追いというイメージで見られてしまっていた。しかし、これからは違う。他キャリアより、先に行く「先乗りのau」を目指します。

ITmedia 全盛期のauは、キャリアとしての規模以上の存在感がありました。モバイル市場のトレンドを確実にリードしていた。そのポジションを取りもどす、と。

高橋氏 ええ、キャスティングボートを握ります。つねに先を行くauであることが、我々(KDDI)にとって重要ですから。

au向けだけで「1000万台市場」を確保する

Photo

ITmedia auは今回、かなり意欲的かつ挑戦的な端末ラインアップを投入します。その一方で、市場全体を見れば、対前年比で4割近く落ち込んだ「端末販売不況」という壁があります。

 特にauは、国内外でマイナーなCDMA方式を採用しているため、メーカーが複数キャリア展開で販売規模を稼ぐことができないという不利があります。魅力的なモデルを継続的に投入するためにも、「au向け」で一定量の販売数量を確保する必要がある。

高橋氏 うち(au向け)の販売市場は昨年1080万台だったのですが、今年も同程度の水準となる年間1000万台の販売規模は確保する予定です。

 正直に言うと、巷間で危惧されている以上に端末販売市場の冷え込みは厳しい。これは事実です。(既存ユーザーの)機種変更率が著しく落ちていて、それが総販売数を落とす要因になっています。

ITmedia 機変率の低下は、auに限らず端末販売市場が縮退する直接的な原因になっています。その最たるところはドコモ向け端末市場ですが。それで結果として、「新機種が普及しない」から「(新機種から対応した)新サービスの市場環境が整わない」という複合的なマイナス状況を作り出しています。

高橋氏 そう、だから既存のお客様に(新機種に)積極的に乗り換えていただくことが重要。うちは1Xからの移行もありますしね。新規契約向けの端末需要だけでなく、既存ユーザーの需要分もしっかりと掘り起こさないといけないのです。

ITmedia 他キャリアでは端末総販売量の縮退は、コンシューマー市場の飽和や新販売方式の下では“避けられないもの”と見ていますが、KDDIとしてはau向けとして一定規模はコミットしていく、と。

高橋氏 年間1000万台規模はキープしていきますよ。そうしないと端末メーカーの経営が厳しくなってしまうし、(結果として)お客様に魅力的な端末を継続的にお届けできない。ですから、我々はキャリアとして総販売数の確保を全力でやっていきます。

ITmedia なるほど。iPhone 3Gなど一部の例を除くと、日本では新サービスを利用するには、最新の端末が必要になる。そう考えると、(キャリア内の)コンテンツサービス市場を活性化する上でも、新機種への移行がどれだけ定期的に行われているかが重要になります。年間1000万台規模ということは、auの全契約者数のおよそ3分の1ですね。むろん、新規契約分もあるので1000万台すべてが機種変更で使われるわけではありませんが、au内の“新陳代謝”は、ほかより活発になるという見方もできる。

高橋氏 そのとおりです。キャリアの企業経営という点では「端末を積極的に売ること」は最重要課題ではなくて、(販売コストがかかるので)株主やアナリストなんかに怒られちゃうかもしれないんだけど、モバイル産業全体の発展を考えれば、やはり一定の販売規模の確保は行わなければならない。何よりもお客様に魅力的な端末やサービスを提供し続けられるか、という部分が大切ですから。

 今後もauの市場が継続的に成長していく。そのために必要なのが、総販売数で年間1000万台という数字です。

(後編へ続く)

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