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» 2009年11月05日 07時00分 公開

神尾寿のMobile+Views:ヤフードームのエリア限定ワンセグに見る、イベントインフラとしての可能性 (1/2)

“その場所でしか視聴できない”映像コンテンツを配信できるエリア限定ワンセグを、野球の応援に生かせないか――。そんな想いから始まったのがヤフードームの実証実験だ。この取り組みへの取材から、“イベントインフラ”としてのエリア限定ワンセグの可能性を探る。

[神尾寿,ITmedia]

 携帯電話などワンセグ受信端末に、「その場所でしか見られない」映像コンテンツを配信するエリア限定ワンセグ。従来のマス向け放送とは異なる独自のコンテンツを、特定エリアにのみ配信できるという特性から、“新たな放送メディア”としての可能性に注目が集まっている。

 そのような中、ソフトバンクテレコムと福岡ソフトバンクホークスマーケティングが、福岡のYahoo!JAPANドーム(以降ヤフードーム)と東京汐留のソフトバンク本社を結ぶエリア限定ワンセグの実験を行っている。同実験はエリア限定ワンセグの技術的な検証のほか、新たな配信サービスやビジネスモデルも模索するという野心的なものだ。

 筆者はこのエリア限定ワンセグの実験を、今年9月に見る機会に恵まれた。そこで今回のMobile+Viewsでは、ソフトバンクテレコムのエリア限定ワンセグをリポートするとともに、今後の可能性について考えてみたいと思う。

Photo エリア限定ワンセグを受信中。画面分割で試合映像とデータ放送を受信している

複数メディアを融合してエリア限定ワンセグで配信

 エリア限定ワンセグは小出力の放送波を用いて、特定の限られた空間(エリア)に対して独自のコンテンツを配信する。小出力・狭空間向け放送という特性により、マスメディア放送では難しい“特定の場所・ユーザーに最適化した放送サービス”が実現できるのが特長だ。また、受信側端末は広く普及したワンセグ対応携帯電話が利用できるため、「受信端末をどのように普及させるか」というハードルが存在しない。安価で柔軟性の高い放送サービスが実現できるのだ。このような背景もあって、新たなメディアとして通信事業者・放送事業者ともにエリア限定ワンセグへの期待感は強く、例えば過去には、讀賣テレビとNTTドコモ関西JCNとKDDIなど多くの事業者がエリア限定ワンセグの実証実験を実施している。

 さて、そのような中で実証実験に“参入”したソフトバンクテレコムだが、同社のサービスは従来型の「特定エリアへのワンセグ放送」にとどまることなく、通信と放送のサービスを連携・融合させた意欲的な取り組みが多く組み込まれている。その肝となるのが、「共通配信プラットフォーム」である。

 共通配信プラットフォームでは、エリア限定ワンセグの送信機から放送する映像やデータ放送に、複数のコンテンツを任意に組み合わせることができる。あらかじめ用意された映像コンテンツやデータコンテンツはもちろん、インターネット経由で届いたメールやデジタル画像/映像を放送中にエリア限定ワンセグの放送に合成することができ、その作成/編集もWebページを扱うくらい簡単にできるという。また、共通配信プラットフォームでは、インターネット経由で複数のスポットエリアでエリア限定ワンセグを行うこともできる。実際、今回の実験でも、ヤフードームをメイン会場に、東京・汐留のソフトバンク本社食堂にもエリア限定ワンセグを中継・放送していた。

Photo 実証実験では東京・汐留のソフトバンクテレコム本社でもエリア限定ワンセグで試合中継されていた。そちらでの応援の様子を動画投稿で表示したところ。ちなみにソフトバンク社員のホークス応援は、ものすごく熱かった!
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