「お金が集まらないと言っている人は現実を見ていない」 グリー青柳CFOらがベンチャーにエール(1/2 ページ)

» 2011年06月23日 00時00分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo パネルディスカッションの様子

 ネット系のスタートアップ企業を支援するプログラム「KDDI ∞ Labo」(∞はムゲン)を8月に開始するKDDI。同社は6月21日、参加を検討する企業やエンジニアに向けて説明会を開催した

 説明会には、プログラムに社外アドバイザーとして名を連ねる、グリーの青柳直樹CFO、頓智ドットの井口尊仁CEO、コロプラの千葉功太郎副社長、Lunascapeの近藤秀和CEOらも登壇した。青柳氏は、携帯キャリアとのパートナーシップがベンチャーにとって「何度も実証された成功モデル」だと紹介。また、ベンチャーの「出会い」にまつわるパネルディスカッションも行われた。

携帯キャリアは「日本における優れたベンチャーキャピタル」――グリー青柳氏

photo グリーの青柳CFO

 「日本ではシリコンバレーのようにベンチャーキャピタルからお金が集まらない、と言っている人は現実を見ていない」――説明会の参加者にそう語りかけたのは、グリーでKDDIとの共同事業を長年担当してきた青柳CFOだ。同社のSNS「GREE」は、今やモバイル業界で知らない人はいないヒットサービスだが、その成長の裏にはKDDIとの出会いがあった。青柳氏は「キャリアとのパートナーシップは、日本において数少ない“何度も実証された成功モデル”」だと話す。

 グリーがKDDIから出資を受けたのは2006年。GREEの会員数は30万人程度で、「mixiはその10倍あった」(青柳氏)時代だ。売上高は4000万円程度で、社員は15名ほど。グリーの経営陣は、「地下がキャバクラ、向かいがSMクラブ」(青柳氏)だった当時のオフィスでKDDIの高橋誠専務らと面会を果たす。その後、「1カ月強」(青柳氏)というスピード感でKDDIは4億円弱の出資を決めた。

 それから約5年経った今、GREEの会員は2500万人を超え、売上は当時の396倍となる163億円にまで成長した。「KDDIとの関係がなければ、(別の形で成長していた可能性もあるが)今の姿はなかったと思っている」と、青柳氏は振り返る。


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 青柳氏によれば、日本のベンチャーキャピタルは「資本規模が小さかったり組織が官僚的だったりで、5億、10億をすぐ出すのが難しい」が、「KDDIは経営陣やプロダクトを見てすぐ判断してくれる」。モバオクの事業で協業したディー・エヌ・エーや、EZナビウォークで協業するナビタイムジャパンなど、KDDIと手を組んだベンチャーが成功していることも指摘し、「KDDIは日本で最も成功しているベンチャーキャピタルの1つ」と評価する。

 とはいえ、「組めばすべてうまくいくというわけではない」(青柳氏)とも。提携後、青柳氏は毎週のようにKDDIと会議を行い、「こういうことやらせてくれ!」と説明を繰り返したという。「黙っていては(支援は)受けられない。どんどん引き出していくことが重要」と、参加者にアドバイスした。

 KDDI ∞ Laboの“ラボ長”を務めるKDDIの塚田俊文氏は、KDDIから来たグリーの初代取締役だ。「グリーやDeNAと仕事をして、どんなベンチャーがうまくいくかを知っている人がラボの中にはいる。これは単なる大企業のベンチャー支援ではなく、(ベンチャーキャピタルとしての)実績のある会社が真剣に取り組むものだ」(青柳氏)

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