業務用端末として人気が高まっているタブレット端末。iPadがけん引するこの市場は、クラウド型サービスの普及に伴って導入のハードルが下がってきたことから、さらなる普及が見込まれている。
こうした中、iPadやタブレット端末、スマートフォン向けのソリューションを扱うソフトバンクBBとBBソフトサービスが販社向け内覧会を開催。引き合いが増えてきたというモバイルソリューションについて話を聞いた。
企業での活用が進むiPadは、営業時のプレゼン効果を高めるツールとして期待が寄せられている。紙の資料だけでは伝えづらいことも、動画などのリッチなメディアを活用することでより分かりやすく説明でき、営業スタッフのスキル不足を補えるからだ。
しかし、効果を最大化するための資料作りや、iPad向けデータの準備でつまづく企業も少なくない。どのツールを使えば、動画や音声、リンクを効率よく埋め込めるのか、作った資料をどうやってiPadに取り込むか――が分からなければ、せっかく導入したiPadも宝の持ち腐れになってしまう。そのため最近では、データの作成や管理、配信機能をクラウド型サービスとして提供するソリューションが増えている。
ソフトバンクBBが提供する「ビジュアルモール スマートカタログ」も、こうした製品の1つ。既存の社内データに動画や音声、画像を付加するためのオーサリングツール、作成したデータの保存や管理、配信を行うクラウド型サービス、iOS端末でデータを閲覧するためのアプリで構成されるサービスだ。
オーサリングツールから、Microsoft WordやExcel、PowerPointで作成したデータを登録すると、自動でPDF形式に変換される。この変換されたデータに動画や音声、ハイパーリンクを埋め込むことで、iPad向けのリッチなカタログや営業データを作成できる。
データの埋め込みは、PowerPointなどのOffceソフトでプレゼン資料を作るのと同じような感覚で行えると説明員。これをクラウド側のストレージに登録すれば、アプリを通じてiPhoneやiPadで閲覧できるようになる。
デモでは、レイアウト図から任意のブースをタップすると、そのブースの商品概要や動画による説明を閲覧できる展示会場の案内図や、見たいエリアをタップすると、部屋の写真が表示される間取り図などを紹介していた。
データの管理機能も用意され、部門ごとにデータを管理したり、閲覧権限を設定することも可能。コンテンツの作成や運用管理にあたって、「特に専門的な知識は必要ない」(説明員)といい、情報システム部門を持たない中小企業が導入できるのも特徴の1つだという。
価格は初期費用が3万1500円、5ID分のカタログアプリ利用権と2Gバイトのストレージを含む月額利用料が3万5700円だ。
オーダーの受付やクレジットカード決済、POSレジなど、ショップに必要な機材にiPadやiPhone、iPod touchを利用できるのが、グローバルネットワークサービスのPOSレジシステム「FLAVIUS」(フラビウス)だ。
基本セットはPOSサーバとレジプリンタ、無線ルータ、キャッシュドロワで構成され、オプションでキッチンプリンタやバーコードリーダー、クレジットカード読み取り用ジャケット、タッチパネルPCも提供している。
FLAVIUSを導入すると、iOS端末をオーダー専用端末の代わりに使ったり、POSレジの入出金操作に使ったりできるようになる。iPhoneで取ったオーダーが、POSレジサーバとキッチンプリンタに送られ、会計操作をiPadの画面上から行うとキャッシュドロワーが開く――という具合だ。
飲食店で使う場合は、席のレイアウト登録やメニューの作成なども必要になるが、こうした機能も管理メニューとして用意されている。「iPadを席に設置して来店者が直接オーダーできるような設定もできますし、キッチンプリンタを置かずにiPadにオーダーを表示するようにもできます」(説明員)
説明員によれば、このシステムの一番のメリットは、汎用端末を使っているため導入コストを抑えられることだという。「大手のPOSシステムに専用端末などのオーダーエントリーの仕組みを付けると300万円から500万円という見積もりが出てくることもありますが、FLAVIUSは必要最低限の基本セットなら端末も含めて100万円前後で導入できます」(説明員)。
オーダーを取る際の画面やレジ画面はWebベースであり、「例えばレジ端末が壊れた場合でも、空いているオーダー用端末の設定を変えればすぐ、レジ端末として使える」(説明員)のも特徴の1つだ。
ネットワーク側は有線でも無線でも利用できるので、屋外の催事や出展でも利用できる。ただ、現時点では短期の利用を想定した料金プランは用意しておらず、今後検討するとしている。
1メールあたり1Gバイトまでの大容量データを、PKI技術で暗号化した上で無料で送ることができる――こんなサービスを提供しているのがZenlokだ。特にモバイル向けというわけではないが、便利なサービスなので取り上げてみた。
サービスに登録し、同社のWebサイトからデータを添付してメールを送ると、送られたデータは暗号化されてZenlokサーバに一時保管される。相手にはダウンロード用URLが記載されたメールが届き、メールサーバに負担をかけることなく大容量データをやりとりできる。相手がダウンロードを開始すると開封通知が届くので、相手がデータを受け取ったかどうかも把握できる。
このサービスは月額315円(1メールアカウント)の有料版も提供しており、有料版では2Gバイトまでのデータを送ることが可能。さらにやりとりした全メールを、容量・期間無制限でアーカイブできるので、企業で一括導入すれば、社内資産としてクラウド上にメールアーカイブを持つことが可能になる。
業務で使うメールは1人に一定の容量を割り当てているケースが多く、この場合には個人の裁量で不要なメールが削除されるため、有事の際に全てのメールを確認することはできない。また、全社員のメールを保存し続けるためには、「それ相当の手間や運用コストがかかるため、後回しにされがち」(説明員)だという。
有料版のZenlokはこれを肩代わりするもので、管理者権限を持つスタッフは件名や期間、差出人、期間からメールをチェックできるようになる。大容量データのやりとりが多い企業や、メール周りのコンプライアンス対策を強化したい企業は便利に使えそうだ。
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