HTML5か、ネイティブアプリか、ハイブリッドか、それが問題だOpen Mobile Summit London 2012(1/2 ページ)

» 2012年06月18日 15時47分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 ワンソースでさまざまなプラットフォームに対応できることから、“モバイルアプリの救世主”として期待されるHTML5。だが、モバイルの世界でアプリといえば、現状では「AppStore」「Google Play」などのストアを通じて提供されるネイティブアプリが主流となっている。今後、HTML5は、モバイルアプリの分野でどのような役割を担うようになるのか――。

 英ロンドンで開催された「Open Mobile Summit 2012 London」で、このトピックをテーマとするパネルディスカッションが行われ、Open Mobile Summitでは、FTのモバイル戦略を牽引する業務執行取締役のロブ・グリムショー(Rob Grimshaw)氏、YouTube(Google)モバイル担当トップのアンドレー・ドロニチェフ(Andrey Doronichev)氏、Rocket Pack(Disney)のCEO兼創業者のイルジ・クピアニネン(Jiri Kupiainen)氏、New York Times(NYT)のCIO、マーク・フロンス(Marc Frons)氏がパネリストとして参加した。

Photo 左からFTのロブ・グリムショー氏、You Tubeのアンドレー・ドロニチェフ氏、Rocket Pack(Disney)のイルジ・クピアニネン氏、NYTのマーク・フロンス氏、モデレータを務めたWIPパートナーのチボー・フォフィノー(Thibaut Fouffineau)氏

HTML5を選んだそれぞれの理由

Photo FTのロブ・グリムショー氏

 この分野の先行事例として世界的に話題になったのが、Financial Times(以下、FT)だ。同社は2011年の6月初めに、HTML5ベースのWebアプリ「FT Web App」を公開し、それまでモバイルアプリを提供していたAppStoreから手を引いた。「登録者数は50%増え、モバイルでのブランド確立にもつながっている」とグリムショー氏は自信を見せる(FTは4月末、デジタル版の加入者数が28万5000に達したと発表している)。

 同社がAppStoreから撤退するきっかけとなったのは、Appleがアプリ内課金で30%のコミッションを徴収すると発表したことだった。「望まないのであれば、Appleを経由せずにモバイルアプリを提供できる」と証明したのがFTといえるだろう。

 FTがAppleからのコミッションを回避するためにHTML5を利用したのに対し、一貫性のある体験(エクスペリエンス)に期待したのが YouTubeだ。YouTubeの初期のHTML5サイト開発でプロダクトマネージャを務めたドロニチェフ氏は、YouTubeアプリはiPhoneや各種Androidにプリインストールされており、「ネイティブアプリでは有利な立場にある」と認めながらも、「異なるOS上でも、ユーザーが一貫性のある体験ができるようにすることを目指してHTML5に投資した。この投資は成果を出した」と狙いを明かした。同社にとってHTML5は、「イノベーションと最新機能の配信という点で中核となる技術」と、その位置付けを説明。最新機能はネイティブアプリとHTML5の両方で等しく提供するという。

 パネルディスカッションではこれに加えて、“ユーザーへのリーチを最大化する”という目的も挙がった。Disneyが買収したHTML5ゲーム企業、Rocket Packのクピアニネン氏が、「より多くの人にリーチすることを常に考えており、端末を問わずにインタラクティブな体験を提供できるWebは重要」というと、YouTubeのドロニチェフ氏も「全員がiOSやAndroidのネイティブアプリを利用できる環境にはない」と、これに同意した。

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