ワイヤレス充電市場が立ち上がりの兆しを見せている。端末メーカーや通信キャリアが、ケーブルを使わず置くだけで充電できるシステムの採用を始めており、医療機器や電気自動車分野でも採用の動きがあるという。
Pike Researchによるとワイヤレス充電市場の拡大は、国際標準の規格が策定されたことや、モバイル端末・家電製品の分野で採用製品が登場していることなどが後押ししているという。現在、ワイヤレス充電の標準規格としては、WPC(ワイヤレスパワーコンソーシアムが策定する「Qi」などがあり、Nokiaの「Lumia 920」、NTTドコモの対応端末はQiを採用している。
Pike Researchの調べでは、ここにきてワイヤレス充電の普及を阻害していた課題が解決され始めているという。さらに環境にやさしい技術であることから、2020年までにはCO2排出量の削減に大きく貢献するとも予想している。モバイル分野では、スマートフォンなど頻繁に充電する必要がある端末の普及が大きな需要を生んでおり、日本最大手通信キャリアのNTTドコモ、米最大手キャリアのVerizon Wirelessなどが自社製品のラインアップにワイヤレス充電システムを採用し始めている。
また、モバイル端末以外にも、EV(電気自動車)や無人航空機、医療端末などの分野でも導入が進んでおり、将来はWi-Fiのアクセスポイントのようにあちこちで充電スポットが提供されるようになるとみている。
こうした背景から、同社では2020年のモバイル端末向けのワイヤレス充電の市場規模は50億ドル、ワイヤレス充電技術全体の市場規模は150億ドルを超えると予想している。
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