モバイル網が途絶えても情報伝達を――NTTコムウェア、Bluetoothで複数スマホ同士を接続するネットワーク技術を開発災害時に役立つ通信技術

» 2012年12月19日 16時43分 公開
[佐々木千之,ITmedia]

 NTTコムウェアは、携帯端末が持つBluetooth機能を使って近くにある不特定多数の端末同士をP2P(Peer to Peer)で接続し、端末間で相互に情報を伝達できるローカルネットワーク構成技術を開発した。携帯電話網の輻輳(回線の混雑)や途絶時のコミュニケーション手段として機能するという。

 同社はこれまで、東日本大震災時のように通信網が機能しなくなった場合の通信手段の研究開発を進めており、多くの人が快適で簡単に「いつでも、どこでも、誰とでも」コミュニケーションができる環境を実現するためには、(1)誰もが使える汎用的な無線通信方式の採用(2)一定以上の通信距離と通信速度が確保できること(3)ローカル環境下においても多数の端末間を接続して安定した情報伝達ができる という3つを必要条件ととらえている。スマートフォンに内蔵されているBluetoothやWi-Fi機能は(1)と(2)の条件をクリアしているが、Wi-Fiは複数端末間の接続のためにアクセスポイントが必要になる。この点、Bluetoothはアクセスポイントなしでも端末間をP2P接続できることから、Bluetoothをターゲットして研究開発を進めたという。

 一般的にBluetoothを使った接続は1対1となるが、今回、NTTコムウェアでは1対多、多対多で接続させられる新たな通信接続方式を開発し、Bluetoothによって複数の端末間を状況に応じてリアルタイムで自動接続することを可能にした。

Photo Bluetoothを利用した複数端末の接続イメージ

 このネットワーク構成技術は、複数の端末をBluetoothによってリング状につなげていく仕組み。スター型ネットワークでは1端末あたりのBluetooth接続可能数の上限の問題があるが、リング状ネットワークなら1つのローカルネットワークあたりの接続可能数が大幅に増えるという。また、自動で不特定多数の端末をリング状に接続することにより、効率的なバケツリレー方式でデータを送信していくことで、遠く離れた端末との情報共有が可能になる。

 一方でリング状ネットワークには、接続端末数が増えると1つのローカルネットワーク上における情報伝達時間が増加する問題があるが、今回の技術ではリング状ネットワークに参加している端末数を少数単位に分割(マルチクラスタ化)することで伝達速度の遅延を回避した。

Photo 接続端末を増やせる接続方式

 このネットワーク構成技術を利用すると、端末同士が接近したときにネットワークを自動的に構成することができ、その場にある端末同士で情報伝達・共有が可能になる。ほかにも、例えば駅などに情報発信ポイントとして端末を設置すれば、そこにいる人たちへの情報提供も可能だ。接続した端末の記録も残るため、安否情報の収集・確認にも役立つという。

 今回NTTコムウェアが開発した技術を実際に活用するためには、大規模なネットワークになったときのクラスタ間の情報伝達経路管理や、ネットワーク上の端末が電源切れや移動した場合のネットワーク復旧のための高速制御技術などが必要となる。同社ではこれらの課題を解決していくとしている。

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