既存のテレコム企業にとってSkype(Microsoft)やFacebookは主力事業を脅かす存在だが、テレコム企業のマーケティング担当者の多くが、売上共有などの協業を積極的に模索しはじめたようだ。
企業の最高マーケティング責任者(CMO)向けの業界団体Chief Marketing Officer Council World Wideが1月24日、テレコム企業のCMOなどマーケティング担当約222人を対象に行った調査の結果を発表した。固定・モバイルテレコム企業、ケーブルテレビ事業者、ISPなどが対象で、調査期間は2012年第2四半期から第4四半期となる。
Skype、Facebook、Googleなどの企業は、無料のVoIPやチャット・メッセージサービスをWeb経由で提供することから、OTT(Over The Top)プレイヤーといわれる。既存のテレコム企業のマーケティング担当にOTTについて聞いたところ、「提携と売上共有の機会を積極的に模索している」と回答した人が44%に達し、31%が「OTTに提供できるサービスや製品を通じた収益を確認中」と述べた。後者の例としては、加入者の分析や行動の洞察などが挙がっている。
1年前の調査でOTTについては、「競合」とする回答が88%にのぼるなど脅威とみられていた。当時はチャンスととらえるマーケティング担当者は少なく、協業を模索するキャリアが増えていることは、テレコム業界の価値観が変化していることの表れともいえる。OTTによる事業損失額は2011年単年で138億ドルといわれており、この市場を開拓したいとマーケティング担当者が考えるのは「当然のこと」というわけだ。
なお、回答者の多くが、ユーザー体験への影響が最も大きい顧客との接点(顧客サポート、チャネル管理、店舗内戦略など)について、より深い洞察や情報を求めていることも分かった。情報体験の改善に必要なこれらのデータを得るのは、上級管理職との月例ミーティング(59%)、月例の顧客データや分析レポート(57%)などで、自動的に得るためのソリューションがないなどの課題も浮き彫りになった。
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