対立から協業へ――通信キャリア、VoIP企業との連携を模索調査リポート

» 2013年01月25日 18時57分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 既存のテレコム企業にとってSkype(Microsoft)やFacebookは主力事業を脅かす存在だが、テレコム企業のマーケティング担当者の多くが、売上共有などの協業を積極的に模索しはじめたようだ。

 企業の最高マーケティング責任者(CMO)向けの業界団体Chief Marketing Officer Council World Wideが1月24日、テレコム企業のCMOなどマーケティング担当約222人を対象に行った調査の結果を発表した。固定・モバイルテレコム企業、ケーブルテレビ事業者、ISPなどが対象で、調査期間は2012年第2四半期から第4四半期となる。

 Skype、Facebook、Googleなどの企業は、無料のVoIPやチャット・メッセージサービスをWeb経由で提供することから、OTT(Over The Top)プレイヤーといわれる。既存のテレコム企業のマーケティング担当にOTTについて聞いたところ、「提携と売上共有の機会を積極的に模索している」と回答した人が44%に達し、31%が「OTTに提供できるサービスや製品を通じた収益を確認中」と述べた。後者の例としては、加入者の分析や行動の洞察などが挙がっている。

 1年前の調査でOTTについては、「競合」とする回答が88%にのぼるなど脅威とみられていた。当時はチャンスととらえるマーケティング担当者は少なく、協業を模索するキャリアが増えていることは、テレコム業界の価値観が変化していることの表れともいえる。OTTによる事業損失額は2011年単年で138億ドルといわれており、この市場を開拓したいとマーケティング担当者が考えるのは「当然のこと」というわけだ。

 なお、回答者の多くが、ユーザー体験への影響が最も大きい顧客との接点(顧客サポート、チャネル管理、店舗内戦略など)について、より深い洞察や情報を求めていることも分かった。情報体験の改善に必要なこれらのデータを得るのは、上級管理職との月例ミーティング(59%)、月例の顧客データや分析レポート(57%)などで、自動的に得るためのソリューションがないなどの課題も浮き彫りになった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月05日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  3. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  4. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  5. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  6. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  7. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  8. サイゼリヤの“注文アプリ”が賛否を呼ぶ理由──「使いやすい」「紙メニュー前提」など多様な意見 (2025年11月23日)
  9. Z世代で“友人のInstagramアカウント乗っ取り”が流行? いたずらで済まない不正アクセス禁止法違反 保護者が注意すべきこと (2025年12月04日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー