5分で分かる、先週のモバイル事情――6月6日〜6月12日
Appleが「iPhone 3G S」を発表。日本でも6月26日に発売が決まった。総務省は4キャリアに3.9Gの周波数帯を割り当てると発表。イー・モバイルは、8月上旬から上り最大21MbpsのHSPA+を提供することを明らかにした。
「iPhone 3G S」登場、6月26日発売
米Appleが6月8日(現地時間)、開発者向けの年次カンファレンスWorldwide Developer Conference 2009(WWDC 2009)の講演で、OS 3.0を搭載し、従来のiPhone 3Gから動作速度を大幅に高速化した「iPhone 3G S」を発表した。
iPhone 3G Sは、メールの起動が約2.1倍、SimCityの起動が約2.4倍速くなるなど、各種機能が高速化されたのが最大の特徴。カメラ機能は300万画素に強化され、オートフォーカスもサポート。暗所での高感度撮影や、最短10センチまで近寄れるマクロに対応し、動画の撮影機能もサポートした。動画はVGA(640×480ピクセル)の30fpsで撮影可能。オートホワイトバランス、自動露出に対応し、撮影した動画はYouTubeやMobileMe、MMSやEメールを使って公開・送信できる。
電子コンパスを採用し、端末の向きをより高精度に検出可能になったのもポイントだ。新たに用意されたコンパスアプリで方位を示せるほか、Androidを搭載したHTC Magic(HT-03A)のように、マップでGoogle Mapsの表示を方位に合わせて自動的に調整する機能も提供する。
Appleはまた、カット、コピー&ペーストを含む100以上の新機能を盛り込み、アンドゥのサポートや、メールやメモ、SMSでのランドスケープモード(横画面)サポートなど、これまでユーザーが不便に感じていたポイントを多数改善したiPhone OS 3.0を6月17日から提供。既存のiPhone 3Gユーザーも、新たな機能を使えるようになる。6月10日にはソフトバンクモバイルが、MMSの送受信をサポートすると表明し、6月18日以降、iPhone 3Gで同社のS!メールの送受信が可能になる。
日本では、ソフトバンクモバイルが6月26日にiPhone 3G Sを発売。価格は新規契約で新スーパーボーナス(24回分割払い)を利用した場合、iPhone for everybodyキャンペーン価格が適用され、iPhone 3G S 16Gバイト版の実質負担額は1万1520円(月々480円×24カ月)、iPhone 3G S 32Gバイト版では2万3040円(月々960円×24カ月)となる。
WWDCでiPhone 3Gの発表を取材したジャーナリストの神尾寿氏は、発表会のデモで各種の実用系サービスが取り上げられたことに触れ、「iPhoneが着実に社会インフラになっている」ことを実感したという。iPhoneが社会生活をする上で重要なモバイル情報プラットフォームに成長しようとしているとし、iPhoneのエコシステムがさまざまな分野に拡大していることを強く感じたとしている。
LTE、商用化へ――総務省、4キャリアに3.9Gの周波数帯割り当て
総務省は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、沖縄セルラーが申請していた3.9G(LTE)の基地局開設計画を認定したと発表した。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、沖縄セルラーの5キャリアは5月7日、3.9Gの移動通信システム導入に向けた特定基地局の開設に関する免許を総務省に申請。各社の申請について、総務省が電波監理審議会に諮問したところ、「申請されたすべての開設計画を認定することが適当である」という答申を受けたことから、開設計画を認定した。
なお認定に伴って、周波数帯の割り当ても決まり、ソフトバンクモバイルが1.5GHz帯の10MHz(1475.9MHz〜1485.9MHz)、KDDIと沖縄セルラーが1.5GHz帯の10MHz(1485.9MHz〜1495.9MHz)、NTTドコモが1.5GHz帯の15MHz(1495.9MHz〜1510.9MHz)、イー・モバイルが1.7GHz帯の10MHz(1844.9MHz〜1854.9MHz)を割り当てられた。
ドコモの周波数帯については、東名阪のデジタルMCAの使用期限である2014年3月末まで、一部が利用できないという制限がある。
UQ WiMAX 正式サービスの概要を明らかに
UQコミュニケーションズは6月8日、7月1日からモバイルWiMAXの有料サービス「UQ WiMAX」をスタートすると発表した。7月1日には対応機器が多数登場するほか、MVNOによるサービス提供も始まる。
UQ WiMAXの料金は、月額4480円、初期費用2835円の「UQ Flat」1種類。課金開始日から30日以内の解約には契約解除料2100円が必要になるが、そのほかは利用期間の拘束なし、完全定額でサービスを利用できる。端末は割賦販売などを行う予定はなく、一括払いで購入することになる。
月額固定の定額サービスのほかに、登録料無料で24時間だけUQ WiMAXが利用できる「UQ 1 Day」サービスも用意した。こちらは600円で登録から24時間インターネット接続が利用できるサービス。一度申し込みをすると、最終利用日の翌日から30日以内なら、次回以降はMy UQ IDとパスワードだけで利用できる。UQ WiMAX対応機器や、WiMAX内蔵PCなどを持っていれば手軽に利用可能だ。
UQ WiMAXの利用者は、UQが提供する公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi」が無料で利用できるのも特徴。月額利用料・初期費用不要で利用でき、WiMAXサービスの補完として公衆無線LANサービスが使える。UQ 1 Dayのユーザーでも利用可能だ。サービスは東海道新幹線の車内や駅、都営地下鉄の主要駅、空港などで提供する。
このほか、1つの契約で最大3台までのWiMAX対応機器を低額で利用できるのも、携帯電話サービスとは異なることを強調しているUQ WiMAXならではのサービスと言える。「WiMAX機器追加オプション」として同社が提供するサービスでは、初期費用無料・月額200円(2010年1月31日までは無料)で同一契約に最大2台の機器が追加登録できる。2つの機器を同時に接続することはできないが、1契約あたり最大3台までの登録が可能で、利用シーンに応じてデバイスを使い分けられるようになっている。例えば自宅ではWiMAXルーター、外出先ではPC内蔵のWiMAXを、1つの契約で使うことができる。
なお、UQ WiMAXの商用サービス開始に伴い、KDDIが7月1日から法人向けWiMAXサービスを提供。WiMAX接続用データ通信カードやWiMAX搭載PC、WiMAX Wi-Fiゲートウェイなどの通信端末からインターネット回線までをパッケージ化したソリューションとして法人向けに提供し、障害保守窓口についても24時間365日で受け付ける。
エリアはUQコミュニケーションズが提供するUQ WiMAXの提供エリアに準じ、価格は初期費用が3150円/回線、月額利用料が4480円/回線。通信端末の価格は提供時に決定する予定だ。なお、回線のみの提供については「検討中」(KDDI広報)としている。
イー・モバイル、国内初のHSPA+を導入――8月上旬から
イー・モバイルは6月8日、下り最大21MbpsのHSPA+規格に準拠したデータ通信サービスを、8月上旬から開始すると発表した。対応エリアや対応端末は、別途発表する。
3.5世代の携帯電話サービスとして最速となる下り最大21Mbpsの高速データ通信を提供する。専用の料金プランとして、2段階定額制の「スーパーライトデータプラン21」と、完全定額制の「データプラン21」を新たに展開。料金は既存の「スーパーライトデータプラン」「データプラン」より最大で1000円高くなる。
イー・モバイルは8月のHSPA+導入以降、2010年9月をめどに下り42MbpsのDC-HSDPAの商用サービスを展開し、LTEの商用サービスは2012年の開始を予定している。
セブン-イレブンでEdyが利用可能に
セブン&アイ・ホールディングスとビットワレットは6月9日、全国のセブン-イレブン1万2323店舗(5月現在)で電子マネー「Edy」を導入すると発表した。10月以降、セブン-イレブン店頭でEdyによる支払いとチャージ(入金)が可能になる。
セブン&アイ・ホールディングスでは、同社系列のセブン-イレブン、デニーズ、イトーヨーカドー(食品売り場など)で利用できる独自電子マネー「nanaco」を運営している。セブン-イレブンではnanacoのほか、JCBなどが中心となって進めているFeliCaクレジット決済「QUICPay」を導入しており、Edyはセブン-イレブンで利用できる3番目のFeliCa決済方式ということになる。
春商戦、振るわず――4月の携帯出荷台数、200万台割れ
電子情報技術産業協会(JEITA)は6月10日、2009年4月度の携帯電話・PHS端末の国内出荷台数実績を発表した。累計出荷台数は前年同月比58.5%の193万台となり、3カ月ぶりに200万台を下回った。
春商戦は年度が切り替わり新生活が始まるなど、1年で最大の商戦期であるが、新機種の盛り上がりに欠けたことや景気後退の影響を強く受け、3月度の290万2000台から97万台も下回るなど、過去に例を見ない低調なものとなった。
4月度の携帯電話出荷台数は188万3000台(前年同月比60.1%)、PHS出荷台数は4万8000台(前年同月比29%)とともに10カ月連続マイナスとなった。
ウィルコム、「THINK キッズ PROJECT」立ち上げ――女性や子どもにPHSをアピール
ウィルコムが6月17日から、ケータイと子どもの安心を考えるプロジェクト「THINK キッズ PROJECT」を開始すると発表した。
このプロジェクトは、PHSの持つ省電力性や低電磁波という安心・安全につながる特性を妊娠中の女性や小さな子どもを持つ親に訴求するもので、対象ユーザーに合った商品やサービスを提供する。
このプロジェクトの一環として、新ウィルコム定額プランを月額2200円で利用できる「ハートフルサポート」の適用範囲を拡大し、従来の満60歳以上のシニアや心身に障がいのある人、医療・福祉機関に勤務する人に加え、妊娠中の女性と学生以下の子供を持つ人も適用対象とする。このサービスに申し込むと割引開始から6年間、新ウィルコム定額プランを月額2200円で利用できる。6月26日からは、子どもとその母親が2台合わせて利用することで、2台セットの月額料金を2967円にするプランの導入も予定している。
7月3日には、小学生以下の子ども向けケータイ「nicoハート」を発売する。Eメールやブラウザ、カメラ機能を非搭載とした子ども向けの通話専用端末で、あらかじめ登録した電話番号からの着信のみを可能とする「着信制限」機能を装備。通話相手先限定サービス「安心だフォン」に契約することで、あらかじめ登録した3カ所にのみ発信できるようにも設定できる。ISO22196に準拠した抗菌加工が施され、受信専用の赤外線通信は登録したパスワードを入力することでのみ機能する。
ドコモ、端末不正入手への対応策を発表
NTTドコモは6月11日、不正な手段で入手された携帯電話の流通に対する取り組みを発表した。10月以降、端末が不正入手されたものと判明した場合、ネットワーク側から端末の利用制限をかける。
この措置は、盗難や偽造された本人確認書類を使った契約などで入手された携帯電話機の一部が、中古(白ロム)市場やネットオークションで流通していることから取られるもの。盗難や本人確認書類偽造の被害にあったドコモショップの申告をもとに、端末の固有番号から不正入手された端末を特定してサービスを停止する。
ドコモと印タタ、GSMサービスを開始――欧州では電子コミック配信サービス
ドコモは6月10日、インド タタ・グループ傘下の通信キャリアTata Teleservices(TTSL)と共同で展開する携帯電話ブランド「TATA DOCOMO」(タタ・ドコモ)を発表した。6月からGSM網サービスをインド南部地域より開始し、順次全国展開を進める。
TTSLは約3570万契約を擁するインドシェア第6位のキャリア。ドコモは2008年11月、TTSLの株式26%を1307億ルピー(当時約2640億円)で取得し、インドでのCDMA/GSM携帯電話サービスをTTSLと共同で提供することを発表している。またTTSLの事業運営にも積極的に関与し、人材派遣や技術支援のほか、法人市場や国際ローミング、端末の調達面でも連携する方針だ。
NTTドコモはまた、6月11日から同社の100%子会社である欧州現地法人DOCOMO Netherlandsを通じて、モバイル向けマンガコンテンツの配信サービスを開始した。
フランスの通信キャリアBouygues Telecomのモバイルポータルサイトを通じて、日本のマンガコンテンツを提供。集英社が版権を持つマンガを配信するとし、「NARUTO−ナルト−」や「DRAGON BALL」など、海外でも人気の高いコンテンツをラインアップする。コンテンツはBouygues Telecomの携帯ポータルサイトから、ドコモ・ネザーランドが提供する「MANGA MODE」に登録することで閲覧できる。
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